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1才間近の愛犬に避妊手術を受けさせたら翌日に死亡。獣医師が訴えられた!

ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!

過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。

今回ご紹介するのは、名古屋地方裁判所で平成21年10月27日に判決が出た事例です。

※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

避妊手術の翌日、愛犬が夜遅くに亡くなってしまった

検査では血糖値が高かったのに、リスクの説明もなく手術が行われた

イラスト/macco
イラスト/macco
Aさんは間もなく1才を迎える愛犬にB獣医師の動物病院で避妊手術を受けさせました。手術の翌日、Aさんは19時30分ごろに迎えに来るように言われ、その時間に動物病院を訪れ、愛犬を引き取りました。そのときにB獣医師からは、「麻酔からの覚醒が悪かった」「遺伝性の疾患があるかもしれない」などの説明を受け、粉薬を処方されて帰宅。ところが、愛犬は手術翌日の夜遅くに死亡してしまいました。

Aさんは、手術前に愛犬の血糖値が高い状態で手術にはリスクがあったのにB獣医師からはその説明がなかったこと、手術を中止しなかったこと、術中や術後の適切な管理を怠ったため、愛犬が低カリウム血症になり死亡したことなどを理由に、治療費や慰謝料などを求めてB獣医師を訴えました。

手術前に説明をしなかったB獣医師の過失が認められた

B獣医師は「犬の糖尿病は若くても4才ごろからで、1才の犬が糖尿病であるとは通常考えられない」「糖尿病でない血糖値が高い状態の犬には避妊手術を行うことがある」などの理由で過失はないと主張しました。裁判所は「1才未満で発症する若年性糖尿病もまれに存在する」「緊急に手術が必要な場合を除き、血糖コントロールができるまで手術を延期するほうがよいとされている」などを理由に、B獣医師の過失を認定。また、手術前に血糖値が高い状態で手術を行うリスクを説明しなかったという説明義務違反も認められ、慰謝料など合計54万円余りを支払うようB獣医師に命じました。

判決は……B獣医師の過失が認められた!

イラスト/macco
イラスト/macco
このように、愛犬の健康状態によっては、手術におけるリスクが高くなることもあります。日ごろから健診を受けるなどしてかかりつけの獣医師と良好な関係を保ち、手術が必要なときには、よく説明を聞いて納得してから受けさせるようにしましょう。

参考/『いぬのきもち』2018年9月号「ホントにあった犬の事件簿」
構成・文/豊島由美
イラスト/macco
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