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熊本地震で被災した、犬と暮らす飼い主さんのリアルな体験談 ~そのとき飼い主さんが取った行動は?~

突然訪れる、地震、台風、豪雨などの災害。昨今のニュースを見て、犬といっしょに暮らす人たちのなかには、「災害に遭ったらどうしよう……」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、愛犬との防災について考えるべく、実際に災害を経験した飼い主さんにお話を伺いました。2016年4月14日に「熊本地震」が起きたときに、飼い主さんはどのような行動を取ったのか。何に困ったのか。飼い主さんの体験談から、いっしょに防災について考えてみましょう。

甚大な被害が出た熊本地震

イラスト/橋本 豊

突如、大きな揺れを感じる

2016年4月14日の夜、家族でテレビを見ていたときに大きな揺れに見舞われたNさん。今まで経験したことがない地震の規模に、恐怖を感じたそうです。

愛犬のれおくん(14才/マルチーズ)は、もともと怖がりの一面があり、地震がおさまってもしばらく震えていました。

「引き続き大地震に警戒するよう報道されていたため、れおに必要なものをひとまとめにして枕元に置いていました。家族全員でひと部屋に集まって寝ましたが、また大きな地震がくるかと思うと緊張し、よく眠れませんでした」

そのとき、落下すると危険な家電などを床に下ろしたり、愛犬グッズをまとめたりして備えました。
まとめていた愛犬グッズ。トイレシーツ、ウエットティッシュ、フード、てんかんの薬、水などをキャリーバッグに。

翌々日の深夜、本震が発生

そして16日の深夜、本震が発生。停電した暗闇の中で家族の無事を確認していたところ、れおくんがいないことに気づいたNさん。

携帯電話や懐中電灯の明かりで探したところ、点々と続くオシッコの先の押し入れの中で発見。れおくんを抱きかかえて、すぐに近所の広場へ避難し、夜を明かしました。
キャリーバッグを用意していましたが、愛犬が怖がって震えていたため、抱いて避難することにしたそうです。写真のように、首輪にリードをつけ、体を毛布で包み、抱っこして徒歩1分ほどの広場へ向かいました。

余震が続き、運動公園で車中泊を

「その後も余震が続き、自宅で夜を過ごすのが怖くて、車で10分ほどの運動公園の駐車場で車中泊しました。駐車場は避難所と違って配給の情報がなかったり、住んでいる地域でしか配給を受け取れなかったりなど苦労しました」とNさん。

避難所には犬を同行できなかったため、駐車場には、たくさんの犬連れの人が車中泊をしていたそうです。そんななか、れおくんの体調に異変が。

「急に変なセキをするようになったのです。動物病院が再開してすぐに受診すると、心臓病と診断されました。地震のストレスも原因のひとつだったようです。とてもショックでしたが、地震でパニックになって外に飛び出し、迷子になった犬もたくさんいましたから、いっしょにいられただけで本当によかったです」

犬たちと被災して思ったこと

車中避難の車内を再現した写真。

よかったこと

前震から本震の間も余震が頻発し、緊張が続いていましたが、愛犬に必要なグッズをそろえる時間があったことはよかったとNさん。

「この経験から、今は愛犬グッズをすべて1カ所にまとめ、すぐに持ち出せるようにしています」

困ったこと

「本震のあと、2週間ほど蛇口から水が出なくなり、飲み水の確保が大変でした」とNさん。

他地域の知人が持ってきてくれたペットボトルの水や、数日に1回の給水車からの水を大事に使ったそうです。

「水はたくさんストックしておくべきです」。

まとめ ~防災士の先生より~

飼い主さんの体験談を聞き、防災士の成田先生は「飼い主さんが、前震のあと避難の準備をしたのは的確な判断だと思いました」と話します。

「前震と本震の間、地震と津波が到達するまでの間には、ある程度時間があるものです。飼い主さんが前震のあと、避難時に持ち出すものを準備したのは的確な判断だったと思います。地震の際はライフラインが止まるので、それを想定して備えましょう。とくに飲み水の備蓄は大切です」と成田先生。


いかがでしたか? この記事が、「愛犬との防災」についてきっかけになれば幸甚です。


参考/いぬのきもち2021年3月号「みんなの体験談から学ぶ犬防災」(監修:防災士・動物福祉活動家 成田 司先生)
写真提供/Nさん
イラスト/橋本 豊
文/伊藤亜希子
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