犬の体内を流れる血液はさまざまな働きをしていますが、人の血液と比べてみると、「似ている部分」と「異なる部分」があるようです。そこで今回は、犬の血液にまつわる基礎知識やトリビアを、人の血液の特徴と比較しながらご紹介します。
犬の「血液の流れ」は人と同じ
犬の血液は、全身に張り巡らされた血管を伝い、体内を循環しているため、血液の流れは人と同じといえるでしょう。
血液は心臓を起点に一方通行で流れ、酸素を含んだきれいな血は、心臓から全身に送り出されます。そして二酸化炭素などを含んだ血は、心臓が回収して肺に送り、肺が二酸化炭素を酸素に交換することで清められています。
犬の「血液量の割合」は人とほぼ同じ
犬の血液量は体重1kgあたり約90mlとされ、体重30kgの犬で計算すると、血液の重さは約2.7kg。一方、人の血液量は体重のおよそ13分の1といわれ、体重65kgの人で計算すると、血液の重さは約5kgということがわかります。
体重に対する血液量の割合は、人も犬もほぼ同じといえるでしょう。
犬の「血の成分」は人とほぼ同じ
犬の血液は大きく分けて、「赤血球」「白血球」「血小板」の血球(骨髄由来の成分)、「血漿(けっしょう)」(液体)の4種類からできており、人の血液の成分とほぼ同じです。
血球の数が異なる場合もあるようですが、全身に酸素を送り届ける、病原菌から体を守るといった働きについては、人と変わりません。
犬種によって血の成分が違う!?
ちなみに、ミニチュア・ダックスフンドなどの狩猟で活躍していた犬種は、運動量が多いぶん酸素も多く必要となるため、ほかの犬種と比べると体内の赤血球の量が多く、血液中の血球の割合(ヘマトクリット)も高い傾向にあるようです。
犬の「血液型の種類」は人よりも多い
血液型とは赤血球のタイプを分類したもので、人の場合は主にABO式で血液を分類しますが、犬ではDEA(Dog Erythrocyte Antigen)式による分類が多く用いられます。国際的に認知されているのは、DEA1.1、1.2、3、4、5、6、7、8型の8種類ですが、13種類あるという研究結果も。
また、人の場合は1人につき1つの血液型ですが、犬は人よりも赤血球の種類が多いため、1頭でもDEA1.1型と6型と7型など、複数の血液型が組み合わさっていることがあります。
犬の血液型を「ABO式」で分類すると?
犬は人のABO式血液型と似た血液情報をもっているともいわれ、犬の血液をABO式で分類すると、A型かO型と判定されるようです。
犬にも人のように「献血制度」がある
犬にも献血制度がありますが、犬の血液は長期保存ができません。そのため、犬の場合は輸血が必要なときにドナー登録している犬を呼び、その場で献血してもらいます。
ドナーは動物病院で募集している場合もありますが、愛犬に輸血が必要なときに、飼い主さん自身で輸血可能な献血犬を探さなければならないケースも。
あらかじめ愛犬の血液型がわかっていれば、スムーズな輸血の助けにもなるので、もしものときに備えて調べておくのも一案です。
血液は愛犬の生命活動に大きくかかわるもの。正しい知識を取り入れて、健康を意識してみてくださいね。
参考/「いぬのきもち」2020年4月号『犬の血液型って何種類あるの? 血液ドナーになれる犬の条件って? 犬も血はサラサラのほうがいいの? 意外に知られていない! 犬の“血液”の話 まるわかりガイド』(監修:東京動物医療センター副院長 南直秀先生)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。