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愛犬のあま噛みにあらぬ噂を流され騒動に……意外と知らない、法律トラブル

コロナ禍で自宅で過ごす時間も増えているぶん、家の中でのトラブルも目立つようになってきました。発展すれば、裁判で決着をつけなければならない事態になることも。ペットと法律の問題に詳しい弁護士の先生に、飼い主さんから実際に寄せられた相談をいくつかご紹介します。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

住んでいるマンションの規約が変更になり、ペットNGに!

イラスト/二階堂ちはる
イラスト/二階堂ちはる
ペットOKのマンションも増えてきており、愛犬とマンションで暮らしているという飼い主さんも多いことでしょう。しかし、もし途中で規定が改定されて、突然飼育NGになったときはどうなるのでしょうか? 分譲の場合は、さらに簡単にはいきませんよね。出ていくほかにないのでしょうか?

【弁護士の見解】規約変更には従わなくてはなりません

【渋谷先生の回答】
規約の変更には従わなくてはならないため、犬と暮らすことができなくなります。交渉次第では、現在の愛犬一代に限り飼育継続を認めてもらえる場合があります。実際、マンション規約の変更でペット飼育不可と改定したマンションがありました。住人である飼い主さんが訴訟を起こし、規約変更は無効だと争いましたが、裁判所は規約変更を有効と判断しました。

離婚のため、愛犬をどちらが引き取るか裁判で決められる?

イラスト/二階堂ちはる
イラスト/二階堂ちはる
コロナ禍で夫婦間のトラブルも増えています。もし離婚となった場合、さらに愛犬をどちらも手放したくないとなった場合は、話し合いも平行線に。裁判で決めることはできるのでしょうか?

【弁護士の見解】調停中、財産分与として解決するのが一般的です

【渋谷先生の回答】
結婚後に夫婦で犬を迎えた場合は、愛犬は夫婦の共有財産になります。半分に分けることができないので、どちらが引き取るか、まずは話し合います。話し合いがつかないときは、家庭裁判所の離婚調停のなかで財産分与の問題として解決を試み、調停が不成立になると、裁判で決めるという流れが一般的です。

愛犬のあま噛みにあらぬ噂を流され大騒動に……

イラスト/二階堂ちはる
イラスト/二階堂ちはる
続いてはご近所トラブルです。

「愛犬が知人の女性にじゃれついて、あま噛みしてしまったため、治療費を全額支払いました。じつは病院に行っても傷痕はなく、とくに治療する必要はなかったそう。
あま噛みした直後は『大丈夫よ』と言ってくださっていたのですが、後日『噛まれたところからバイ菌が入っておかしな病気になったらどうしてくれるんだ』とすごい剣幕でやってきて……。
近所の方に『あそこの犬は狂犬』などと言いふらしたり、慰謝料を請求されたりで大騒動になってしまいました」

こんなケースでは、どうなるのでしょうか?

【弁護士の見解】状況次第では損害賠償を請求できる可能性も

【渋谷先生の回答】
飼い主さんには、民法第718条に基づき、他人に損害をかけたときにはその損害を賠償する義務があります。もっとも、本件のケガの程度は軽く、傷がないようならバイ菌が入ることもないのではと想像できます。治療費(初診料など)を支払えば済むでしょう。慰謝料は1回の通院だけであれば、支払うとしてもきわめて低額なのが一般的です。

いっぽう、狂犬などと言いふらすことは飼い主さんの名誉を棄損しているおそれがあり、名誉棄損罪の成立も考えられます。
あとから噂を広められて名誉を棄損されたときは、損害賠償請求などが可能です。不当な金銭請求に対して、これ以上支払う義務はないということを裁判所で確認してもらう裁判(債務不存在確認訴訟)を起こすことも可能です。
いかがでしたか? 愛犬が関係するトラブルでは、飼い主さんが冷静でいられなくなってしまうケースも多々あります。万が一のときはひとりで悩まずに、弁護士など専門家に相談してよりよい解決策を探してください。

参考/愛犬との暮らしをもっと楽しむ『いぬのきもち』2021年5月号「犬にまつわる”お金”のトラブル回避術)(監修:弁護士 渋谷寛先生)
イラスト/二階堂ちはる
構成・文/佐藤英美
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