犬と暮らす
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「介護はつらいだけじゃない」自力で立てなくなった愛犬を支える、飼い主さんの今
今回ご紹介するのは、シニアになってから、がん、前庭疾患、慢性膀胱炎、腎不全、足腰の衰えなど、さまざまな不調が起きながらも、それらを乗り越えて暮らす、17才のラブラドール・レトリーバーのレオンくんのお話です。
治療を始めて分かった厳しい現実
新しい主治医の先生のもと、飼い主のKさんとレオンくんの本格的な治療が始まりました。
その結果、オシッコの不調は慢性化した膀胱炎が原因だと判明。
さらに検査からわかった事実がありました。
レオンくんの膀胱内は、抗生剤の効かない耐性菌だらけになっており、
治療に使える抗生剤の種類が2種類しか残されていないことが判明したのです。
「使える抗生剤がほとんどないと聞き、ショックでした。
このころ出ていたオシッコは真っ赤に染まっていましたし、ときどき熱も出していました。食欲も日に日に落ちていき、効く薬もほぼないと言われ、もうダメかもと思うことも……」
とKさんはそのときのことを振り返って話します。
治療により、少しずつ体調が改善
しかし、残された2種類の抗生剤をうまく使ったり、膀胱内を直接洗浄して膿を出すなどして、膀胱炎の状態は少しずつ改善していきました。
そのほか、薬の服用や自宅での皮下補液で腎不全の治療も進め、オシッコが不調になる前から患っていた前庭疾患は、発作の症状が重い場合、無理をせず入院させるなど、獣医師と連携して治療を進めました。
その結果、昨年末に再び高熱に襲われた際も、レオンくんは復活し、元気を取り戻します。
飼い主さんの介護への思い
ただ、さすがにこのときは、年齢も年齢だけに足腰にこたえたのかもしれません。レオンくんは自力で立つことが困難になってしまいます。ふだんは寝たきりで、ウンチはほぼ夜間にしかせず、寝返りも打てないので、就寝時、お尻の下にトイレシーツを敷いて対処することに。
この現実に対し、「昨日できたことが今日できなくなるなんて、レオンにしてみたら当たり前」と話すKさん。
自分で立てなくなった今は、排泄も食事も散歩もすべてKさんのサポートが必要ですが、その介助を苦と思わず、むしろ楽しんでいるようにすら見えます。
「わが子のようなレオンの介護ですから、大変だけどつらくはありません。それにレオンは今までずっと家族の都合やペースに合わせてきてくれました。これからは彼が望むことを最優先に、彼のペースに合わせてお世話をしたい、そう思います」
※各情報は2021年5月15日現在の情報です。
出典/「いぬのきもち」2021年7月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室
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