愛犬と暮らし始めたばかりの飼い主さんは、食フンやマーキングなどの困った行動や食べっぷりに驚くことがあるかもしれません。これらは本来、犬が本能的に行う行動なのです。
犬がなぜその行動を取るのかを理解したうえで、適切な対策をしていきましょう。
困りごと① ~食フン~
どうして食フンをするの?
犬はウンチを汚いものだと思っていないため、食フンは遊びとして楽しんでいる行動です。
犬が食フンをする理由はいくつかありますが、ひとつには、目の前のウンチで遊んでいるうちに口にしてしまい、食べてみたら食べられたという経験から食フンが習慣になってしまうと考えられています。ウンチを食べた口であちこちをなめたりすることも考えると、衛生面からも食フンは習慣化させないことが大切です。
食フンをさせない工夫
排泄後の工夫
愛犬がトイレに入ったら、おやつやおもちゃなど、愛犬の気を引けるものを用意してそばで待ちます。ウンチの直後にそれらを与え、気を取られているうちにウンチをサッと片付けましょう。
排泄のタイミングをつかむ
ウンチタイムをメモして排泄のタイミングを把握できるとよいでしょう。食後はウンチをする傾向があります。排泄するタイミングが分かってきたら、その時間はなるべく目を離さないようにしてウンチを取り除くのがベスト。
排泄のタイミングが分かると、いつの間にかウンチを食べていたという事態も防げます。
退屈な時間を減らす
退屈を感じたときにウンチをすると、ウンチで遊んでみようと考え、口にするケースも。散歩や遊びの時間を増やすと退屈を感じることが減り、食フンの予防になります。
犬がウンチを食べたくなるような振る舞いは見直しましょう
目の前で片付けると横取りされた気分に
目の前でウンチを片付けると、美味しいものを横取りされたように感じることも。「次は取られる前に急いで食べよう」と食フンが習慣化されてしまう可能性があります。おやつなどでウンチから気を逸らしながら片付けましょう。
食べているときに騒ぐと面白がって繰り返す場合も
食フンを見かけた際に飼い主さんが大声をあげる等をすると、犬は騒ぐ様子を面白がって食フンを繰り返す場合があります。食フンを見つけても騒がずに、優しくおやつで呼び寄せるなどして防ぎましょう。
困りごと② ~マーキング~
マーキングは自分のニオイをつけたい気持ちの表れ
犬のマーキングは本能的なものと考えられており、はっきりとした理由は分かっていません。自分のニオイに囲まれて安心するための行動とも考えられています。また、外でのマーキングは、ニオイを介してほかの犬と情報を交換している可能性もあります。
マーキングを減らす工夫
トイレでできたときにほめて、トイレ以外でのマーキングを防ぐ
マーキングをする犬には、ほめるしつけでトイレを教える方法がおすすめ。トイレでオシッコができたら直後にごほうびのおやつをあげるようにしてみてください。愛犬は「トイレでオシッコをするとおやつがもらえる」と覚え、トイレ以外の場所でのマーキングの機会が減ります。
愛犬の過ごすエリアを限定する
犬は一度トイレ以外の場所でマーキングをすると、別の場所にもマーキングをしたいという気持ちになります。
マーキングをされると困る寝室やたたみの部屋には入れないようにするなど行動エリアを限定し、マーキングの機会を減らしましょう。
留守番時に家の中を自由に移動できると、あちこちでマーキングをしてそれが習慣化されることもあります。留守番時にはクレートやサークルで過ごすようにすると、マーキングをしにくくなるでしょう。
犬がマーキングをしたくなる環境をなるべく減らしましょう
取り込んだ洗濯物は出しっぱなしにしない
洗濯後に自分や飼い主さんのニオイが消えた洗濯物を見つけると、自分のニオイをつけようとしてマーキングをしてしまうことも。洗濯物を片付けるまではハウスに入れるなどしてマーキングを予防しましょう。
行動できるスペースが広すぎるのはNG
ニオイをつけられる場所が多くあると、犬はあちこちにマーキングをしたくなります。過ごすエリアが狭いほうがマーキングの機会が減り、習慣化を防ぐことができます。
困りごと③ ~食欲~
犬はごはんがあるだけ食べてしまう習性をもっている
犬は本能的に「食べられない事態に備えて、食べられるときにたくさん食べておく」という能力があります。そのため飼い主さんが与える分だけ食べてしまい、満腹になったから食べるのをやめようと考えることはあまりありません。
食欲があることは健康的ですし、食べたい気持ちを満たしてあげることは大切です。
しかし、食べすぎは健康の害になることも。愛犬に要求されるがままに食べ物を与えないことが大切です。
食事やおやつの回数を増やし、食べたい気持ちを満たしてみて
1回の食事を半量にして食事回数を倍にする
食事回数が増えれば、犬は楽しい時間が増えて満足度がアップします。1日のトータルの量は変えずに、1回の量を減らして食事回数を増やしてみましょう。また、一部を手から与えるのも、満足度を満たす助けになります。おやつを何度も欲しがる場合も同様に、おやつを細かくして与えましょう。
犬が欲しがるままにおやつを与えるのはよくありません
おやつが欲しいと上手にアピールする犬もいますが、おやつや食事を適量以上与えていると、食べすぎによる肥満につながります。また、飼い主さんをツンツンする、おやつがある棚の前で吠えるなどのおやつが欲しいそぶりに応じていると、その行動がエスカレートすることも。
おやつは量を決めて与えましょう。
犬との暮らしの悩みが減ると、愛犬との暮らしが楽しくなります。食フン、マーキングなどの行動は、放っておいて習慣化すると深刻な困りごとにもなりかねません。愛犬の気持ちに寄り添いながら、困った行動への対策を始めてみてくださいね。
参考/「いぬのきもち」2019年1月号『子犬に必要なしつけとお手入れを紹介!さいしょの一歩』(監修:家庭犬しつけインストラクター 「SKYWAN!DOG SCHOOL」代表 井原亮先生)
文/Yoko N
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。