留守番環境が整っていないと、犬は留守番中に不安になり、イタズラしたり吠え続けたりするなど、困った行動を起こすことがあるので注意が必要です。
今回は、犬を不安にさせない「留守番環境のつくり方」について、家庭犬しつけインストラクター西川文二先生(しつけスクール「Can!Do!Pet Dog School」代表)が解説します。
短時間の留守番の場合は「クレート」で過ごさせる
犬は狭い場所のほうが安心できるため、短時間の留守番はクレートの中で過ごさせるのがおすすめです。「少しの間だから」と部屋の中でフリーにすると、犬は部屋全体を縄張りだと思い、イタズラや粗相(そそう)などのトラブルを起こすことがあるので注意しましょう。
なお、クレートでの留守番時間の目安は、犬が排泄せずに過ごせる時間です。個体差はありますが、成犬なら最大7時間、6カ月未満の犬では月齢+1時間を目安にしてください。
※クレートに慣れていない犬の場合は、クレートで過ごす練習から始めましょう。
8時間以上の留守番の場合は「サークル」で過ごさせる
8時間以上の留守番の場合、犬は必ず1回は排泄をするので、排泄しても快適な環境づくりが必要です。そこで、8時間以上の留守番では、クレートではなくサークルの中で過ごさせましょう。
サークルの中には、安心できるクレート、トイレ、新鮮な飲み水を用意してあげてください。また、単独で遊べるよう、お気に入りのおもちゃなどを与えるのもポイント。犬が破壊できないゴム製のおもちゃやガムなどがおすすめです。
「いつもと同じ」環境で留守番させるのも大切
犬は「いつもと違う」ことに敏感な動物。できるだけ「いつもと同じ」環境で留守番させられるよう、以下のような工夫をすることも大切です。
いつもと同じ場所で留守番させる
留守番のときだけ静かな部屋にクレートを移動させるのはNG。ふだんクレートを置いている場所で、留守番させるようにしてください。
なお、窓の近くにクレートを置くと、外を気にして吠えたり日差しで暑くなったりするので、ふだんから窓から離れた快適な場所に設置するようにしましょう。
部屋の明るさをいつもと同じにする
ふだん日中も照明をつけている場合、外出時に照明を消してしまうと、犬は不安になってしまうおそれが。外出するときは、いつもと同じ明るさにしてあげましょう。
いつも通りにテレビやラジオをつけておく
犬は聴覚刺激にも敏感です。なるべく音の環境も「いつもと同じ」を心がけましょう。
テレビやラジオをつけていることが多い家では、留守番中もそのままにしておくのがおすすめ。ほかの音をカモフラージュできるので、警戒吠えの予防にもなります。
外出前のちょっとした工夫が「安心できる留守番」につながることも
そのほか、外出する前に以下のような心がけをすることで、犬は留守番中に安心して過ごすことができるでしょう。
留守番前に運動してエネルギーを発散させる
理想の留守番は、犬がリラックスして静かに寝ている状態です。そこで、留守番前にたっぷりと散歩をするなどしてエネルギーを発散させ、犬が疲れてぐっすり眠れるようにしましょう。
散歩時間の目安は30分~1時間程度。いつもより長くとるのがポイントです。散歩中に排泄を済ませておけば、留守番中の粗相も減らすことができます。散歩に行くのが難しい場合は、エネルギーを消費しやすい「引っ張りっこ遊び」を取り入れるのもいい方法です。
留守番の気配をつくらずに出かける
犬は飼い主さんの何気ない行動から留守番を察知し、ソワソワしてしまいます。できるだけ不安にさせずスムーズに留守番へと誘導するためには、犬から見えない所で外出の準備をする、準備をしているときから犬をクレートに入れて飼い主さんが見えないようにするなど、外出する気配をつくらないようにしましょう。
犬にとって留守番は、大好きな飼い主さんと離れて不安な状況に置かれることですから、できるだけ安心して過ごせるような環境を整えることが大切です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考/「いぬのきもち」2020年12月号『12回で基本をすべてマスターできる! はじめてしつけコンプリートドリル vol.10 留守番のさせ方』(監修:しつけスクール「Can!Do!Pet Dog School」代表 西川文二先生)
文/Yoko N
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。