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【獣医師監修】犬にこんにゃくを与えても大丈夫。こんにゃくを食べるメリットと与え方を解説

こんにゃくは、犬が食べても大丈夫な食べ物です。こんにゃくには、犬の体にダメージを与える毒性の成分はなく、水分が豊富で便秘の解消やダイエットに役立つ栄養素も含まれています。ただし、丸呑みして喉に詰まらせてしまいがちなので、与え方には注意が必要です。

佐野 忠士 先生

犬は適量ならこんにゃくを食べても大丈夫、ただしこんにゃくゼリーはNG

白い背景にコンニャク
bonchan/gettyimages
お腹によい食物繊維が豊富で低カロリー、便秘解消やダイエットに役立つ食べ物として知られている「こんにゃく」。中毒を引き起こすような成分は含まれていないため、犬が食べても大丈夫です。
便秘気味な犬、肥満気味の犬、糖尿病などでカロリー制限しなければならない犬などには、こんにゃくを食事のトッピングに使ったり、おやつに与えたりしてもよいでしょう。また、豊富に水分を含んでいるため、水分不足になりがちな夏に水分補給の目的でも役立つかもしれません。

ただし、こんにゃくゼリーほか人間用に味付けされたものは与えないようにしてください。

また、犬が大きな一片を飲み込んで喉や食道に詰まらせると、窒息する恐れがあります。愛犬の健康に役立てるなら、与えるときは小さく刻むなどの注意が必要です。

こんにゃくのおもな栄養素|約97%が水分で低カロリー

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こんにゃくに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー5kal
水分97.3g
タンパク質0.1g
脂質0g
炭水化物2.3g
灰分(無機質)0.3g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がこんにゃくを食べるメリット|低カロリーでヘルシー、快便と成長作用に期待

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こんにゃくに含まれる成分のなかで、犬にとってメリットになるものをいくつか紹介します。

水分|約97%が水分で低カロリー、水分補給やダイエットに役立つ

一般的に市販されている板こんにゃくは、「こんにゃく芋」を精製した粉に水と凝固剤を加えて作られています。できあがった板こんにゃくは、全体の97%強が水分。そのため、カロリーは100gでわずか5kcalしかありません。
暑い季節のあまり水を飲みたがらない犬には水分補給に、また糖尿病などの予防や病気の治療で体重コントロールが必要な犬にはカサ増しの目的で与えるものよいでしょう。

食物繊維|豊富な不溶性食物繊維で快便に

こんにゃくについて、水溶性食物繊維のグルコマンナンの作用を紹介している情報が多いようですが、じつはこんにゃくに多いのは不溶性食物繊維です。こんにゃくの原料となる「こんにゃく芋」の精粉には水溶性食物繊維が100gあたり73.3、不溶性が6.6含まれていますが、凝固剤を加えて板こんにゃくになると、水溶性は不溶性に変化してしまうためです。

不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って便のカサを増し、腸を刺激して排便を促す作用があるので、便秘の解消に役立つと考えられます。さらに腸内にある善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える役割も期待できます。

カリウム|余分な塩分を尿で排出、血圧をコントロール

カリウムは、神経の伝導や筋肉の収縮にも関わるミネラルであり、犬の体にはなくてはならないものです。また、体液の浸透圧をコントロールする役割もあり、余分に摂取した塩分を体外に排出し、血圧を調整してくれます。

その一方で、腎臓の機能が低下した犬がこんにゃくを過剰摂取すると、「高カリウム血症」になる恐れも。尿へのカリウム排出が上手に行われなくなり、血液中のカリウム濃度が高まって四肢の痺れや筋力低下、不整脈などが現れます。

ただし、こんにゃくに含まれるカリウムは、ほかのカリウムを多く含む野菜やくだものに比べれば、それほど多くありません。大量のこんにゃくを長期にわたって与え続けなければカリウム過多になる心配はないでしょう。

ナトリウムやカリウムなど電解質への影響は、健康だから大丈夫!とは言い切れないことも多いです。とくに高齢の場合は、定期的に血液検査などで体の状態をチェックしてください。

カルシウム|骨や歯の健康をサポート

カルシウムは、リンとバランスをとって骨や歯の健康を保つ大事な栄養素のひとつです。犬はカルシウムを体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要があります。適量のドッグフード(総合栄養食)を主食として与えていれば、カルシウムが不足することはありませんが、手作りのご飯を与えている場合は、こんにゃくを活用するのもよいかもしれません。

なお、「こんにゃくを過剰摂取すると、カルシウムとシュウ酸と結びついてシュウ酸カルシウム結石の原因になる」という情報もありますが、こんにゃくが精製される過程でシュウ酸はほぼ取り除かれるので、「シュウ酸カルシウム結石」になる心配はしないでよいでしょう。

犬にこんにゃくを与えるときの注意ポイント|下茹でして小さくカット

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いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬は、唾液の中に澱粉を分解するアミラーゼという酵素を持っていないため、口の中で咀嚼することなく、食べ物を丸呑みする習性があります。そもそもこんにゃくは溶ける性質はなく、喉にツルンと入ってしまうので、喉に詰まらせないような工夫が必要です。

与えてよいこんにゃく

一般に市販されている板こんにゃく、玉こんにゃく、粒状のこんにゃく、糸こんにゃくなど、味付けされていないものなら、犬に与えてよいでしょう。

また、小腹が空いたときのために「こんにゃくゼリー」を常備している家もあるかと思いますが、「こんにゃくゼリー」は、人間でも喉に詰まらせることがあり、人間用に糖分や塩分で味付けされているものが多いので、犬には与えないでください。

与えるときの適量

犬にこんにゃくを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

犬の体重目安
1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)376g~748g(1枚~2枚)
中型(6~15kg)858g~1708g(2.5枚~5.3枚)
大型(20~50kg)2118g~4212g(7枚~14枚)

※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

こんにゃくは、製造過程で凝固剤として水酸化カルシウムが使われることが多いようです。水酸化カルシウムにはエグミがあるので、犬に与える前にさっと茹でましょう。「下茹で不要」と書かれたこんにゃくは、すでにアク抜きがされているので、そのまま使うことができます。
そして、丸呑みして喉や食道に詰まらせないよう、必ず小さくカットしてから与えましょう。

稀に食物アレルギーの原因に、芋アレルギーには特に注意

こんにゃくには少量ですが、タンパク質が含まれています。稀に体内の免疫機能が過剰に反応して食物アレルギーを起こすことがあるので、最初に与えるときは少量にしましょう。少し与えて様子を見て、痒みや嘔吐、下痢などが起こらないか様子をよく観察してください。
また、こんにゃくの主原料はコンニャクイモです。イモアレルギーのある犬には、与えないほうが安心です。

肥満防止に役立つこんにゃく。喉に詰まらせないように気をつけて

犬にとって有毒な成分は含まれておらず、低カロリーで腹持ちがよい、こんにゃく。肥満気味の犬の体重コントロールに役立てるのもよいでしょう。ただし、喉に詰まらせないよう、小さく切ってから与えるのを忘れないでください。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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