愛犬とずっと楽しく暮らすために、子犬の時期にマスターしておきたいしつけ。今回は、基本のクレートトレーニングについて、しつけトレーナーの戸田美由紀先生に教えていただきました。
クレートのなかでリラックスできると犬は快適、安全も確保できる
持ち手と扉のついた箱型のハウスがクレートです。犬は穴ぐらのような狭い空間で落ち着く習性があり、穴ぐらに似たクレートに慣れさせる練習をしておくと、犬は場所を問わずリラックスできて快適。災害時にはクレートが避難所に同行できる条件になることもあります。
クレートトレーニングのメリット
● 災害時にいっしょに避難できる
● 車に乗せるときも安全&快適
● 犬がリラックスできる
● 目を離すときも安全
● そそうを防げる
● 旅先でも安眠できる
など
レッスン1)愛犬の体のサイズに合ったクレートを用意
【サイズ】成長後の大きさを見越して購入
狭すぎると窮屈で、広すぎると落ち着きません。成長後のサイズでゆったりフセできる大きさを選び、予想より大きくなったら買い替えも検討を。
※写真はわかりやすいように、クレートの上半分をはずした状態にしています
【強度】愛犬が中で動いてもへこまないか確認
中で動いたときに床がへこむと、怖がって中に入らない原因に。愛犬が動いてもへこまない強度のあるものを選びましょう。
※写真はわかりやすいように、クレートの上半分をはずした状態にしています
【タイプ】扉がはずせて、扉が外側に開くものを
最初は扉をはずしたほうが慣れさせやすいです。扉が内側に収納されるタイプは、犬の頭に扉がぶつかり、嫌がることも。
扉をはずせるタイプがおすすめ
ひとまわり大きくしたサークル内に設置します
サークル内のトイレと逆側に置き、寝床として活用。トレーニング時は外に出してもOK。動かないよう壁にくっつけます。
トレーニング時は外に出してもOK
レッスン2)ゴハンはクレートで食べさせます
ゴハンは入り口側に置き、少しずつ奥へ移動します。愛犬が顔を入れてゴハンを食べるのを待ちます。慣れてきたらフードボウルを少しずつ奥にずらして食べさせます。
フードボウルを置く位置を少しずつ奥へ
慣れるとクレートの中に入ってゴハンを食べるように
入るのに慣れてきたら、中に入ってゴハンを食べさせます。繰り返すと、犬にとってクレートは、ゴハンが食べられるよい印象の場所になります。
クレートはゴハンを食べられるいい場所に
レッスン3)クレートで楽しいおやつタイム!
「おやつルート」を作り、中に入るのを待ちます
おやつを一直線に並べ中に入るよう誘います。犬は楽しみながらおやつが食べられ、クレートは楽しいところと思います。
おやつルートで愛犬を誘導。※写真はわかりやすいように、クレートの上半分をはずした状態にしています
中に入ったら声をかけてほめます
おやつを食べながら中に入ったら「イイコ」と声をかけてほめます。繰り返して「クレートはおやつが食べられる素敵なところ」と愛犬に思わせて。
中に入ったら「イイコ」とほめる
慣れてきたら奥側におやつを仕込みます
「おやつルート」ですんなり入るようになったら、奥側だけにおやつを置いたり塗ったりして奥まで入ることに慣れさせます。
※写真はわかりやすいように、クレートの上半分をはずした状態にしています
レッスン4)クレートのなかでおもちゃ遊びを
ひとり遊び用のおもちゃで遊ばせます
愛犬が安全にひとり遊びできるおもちゃなどを中に入れ、愛犬が自分から中に入って遊ぶのを待ちましょう。自発的に入るようになります。
レッスン2~4は、扉をはずして行います
レッスン5)扉を閉め、入る時間を延ばします
扉を一瞬閉めてすぐに開けます
出入りするのに慣れてきたら、扉を閉める練習を始めます。最初は一瞬閉めておやつをあげ、すぐに開けます。
扉越しにおやつを与える
※扉を閉める練習は、中で我慢させないように排泄後に練習を。散歩のあとだとクレートで寝ることが多く練習がうまくいきやすいです。
中で落ち着いているときに追加のおやつを
好きなおやつを追加すると、さらにクレートの中が好きになり、扉を閉めてもおとなしく待てるようになります。
横の穴から追加おやつを
閉めた状態で入る時間を少しずつ延ばします
扉を閉めたままの時間を少しずつ延ばします。吠えたり前足で扉をたたいたりしたら落ち着くのを待って扉を開け、また短い時間から練習を。15分を目標に!
まずは15分を目標に!
レッスン6)「ハウス」のかけ声で入る練習をします
愛犬が自らハウスに入った瞬間「ハウス」と声をかけます
愛犬が自分でクレートに入った瞬間「ハウス」と声をかけます。慣れたら少しずつ声をかけるタイミングを早めます。
クレートに入った瞬間声かけを
クレートのそばにいるときに声をかけ、入ったらほめます
愛犬がクレートのそばにいるときに「ハウス」と声をかけ入ったらほめるのを繰り返して練習します。
ハウスに入ったら「イイコ」とほめる
トレーニング中は控えたいNG行動
お尻を押してクレートに押しこむと愛犬にとって嫌な場所になってしまうことも。あせらず、愛犬が自分から入るのを待ちましょう。また、クレートから出たタイミングでほめると「外に出たほうがほめられる」と勘違いします。おやつもクレートの中にいるときに扉や横の穴から与えて。
早めにマスターしておこう!
クレートの中では「おいしい」「楽しい」ことだけ起こると思わせましょう(戸田先生)。
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2018年5月号『さいしょの一歩』
写真/佐藤正之、殿村忠博
文/いぬのきもち編集室