犬と暮らす
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ドッグフードに入っている添加物が気になります。酸化防止剤は、どうして入っているのですか?
酸化防止剤が入っていないドライフードは、どうなるの?
酸化防止剤とは、名前のとおり、酸化を防ぐ目的で加えられている添加物のことです。
ドッグフードには、必ず脂肪が含まれています。原材料に「〇〇脂肪」「〇〇油」などと書かれていなくても、チキンやビーフなど、ほかの原材料に脂肪(脂質)が含まれています。そもそも脂肪は、人や犬の健康のために必要な栄養素です。
脂肪は、光に当たったり空気に触れたりすると、酸素と結びついて酸化してしまいます。脂肪が酸化すると、まずフードの嗜好性が低下して食いつきが悪くなるほか、嘔吐や下痢などの消化器の症状を起こすことがあります。
脂肪の最小単位は脂肪酸で、無数の構造があり、体の中ではたらく機能が異なります。このなかでとくに、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、オメガ9脂肪酸と呼ばれる多価脂肪酸という構造の脂肪酸は、とくに酸化の影響を受けやすいという特性があります。とくに、オメガ-3とオメガ-6の脂肪酸の多くは、動物の体内で合成できず食事から摂取する必要があり、ペットフードにじゅうぶんな量が含まれている必要があります。
このため、空気から遮断することが難しく光にもあたりやすいドライフードには、酸化を防止するはたらきをするものが加えられています。これを、酸化防止剤と呼んでいます。酸化防止剤が混ぜられていないと、ドライフードはあっという間に脂肪が酸化して、おいしくなく、体に悪影響のあるものになってしまうのです。つまり、酸化防止剤は、ドライフードの質と安全を守っているのです。
酸化防止剤は、「酸化防止剤」という名前の物質ではありません。酸化を防止するために加えられているものを、目的の説明として「酸化防止剤」と記載しているのです。ですから、ドッグフードの原材料表示の欄には、「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」などと、実際の物質の名前が詳しく書かれています。「剤」という字が使われているので薬品のような印象を受けるかもしれませんが、BHAやBHTといった化学的に合成されたもののほかに、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物などの天然由来のものや、ミックストコフェロール(ビタミンE)、クエン酸など、酸化防止の役割を果たす栄養成分もあります。
ちなみに、酸化防止剤と保存料は混同してとらえられがちですが、酸化防止剤は、酸化という化学反応を防止するもの、保存料は、有害な微生物の発生や増殖をおさえるためのもので、まったく別の目的に使われるものです。
安全基準と表示のルールが定められている
また、どんな物質がどんな目的の添加物として使用されているかは飼い主さんの関心の高い事柄です。ですから、これを正しく伝えるため、消費者保護のためのペットフード公正取引協議会による「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって、記載のしかたの自主基準が設けられています。酸化防止剤、保存料、着色料などの添加物は、「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」というように用途と物質を明確に記載するという取り決めです。
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