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ドッグフードに入っている添加物が気になります。保存料は、どうして入っているのですか?
保存料とは、微生物の繁殖を防ぐための添加物
保存料とは、名前のとおり、食品の保存性をよくする目的で加えられている添加物のことです。
水分が含まれている食品やドッグフードは、微生物が繁殖しやすいものです。腐敗によって食品やドッグフードの質が損なわれることはもちろんのこと、大腸菌などのように体に悪い影響を及ぼす微生物が繁殖して体内に取り込まれると、健康に被害が出たり、最悪の場合、死んでしまったりすることもあります。また、繁殖する過程で毒素を生産するカビなどもあります。微生物の繁殖は、たいへん恐ろしいことなのです。このため、加工食品やドッグフードは、人や犬の健康を守るために、微生物が繁殖しないように製造・保管しなければなりません。
① 乾燥
ドライフードには水分が10%程度しかなく、微生物が活動しづらい環境です。ですから、ドライフードには通常、保存料は使用されていません。もちろん、開封したまま湿気の多い場所に長時間放置するなどすると、フードが水分を吸って微生物の繁殖しやすい環境をつくってしまいます。
ちなみに、ドライフードを冷蔵庫で保存すると、冷蔵庫から取り出したときに結露して、フードが水分を吸ってしまうことがあるので、注意が必要です。
②遮断
水分が豊富なウエットフードは、缶詰やパウチに入れて加熱することで内部を殺菌し、外気から遮断することで微生物の侵入と繁殖を防いでいます。このため、ウエットフードには通常、保存料が含まれていません。ですから開封したあとは傷みやすく、速やかに消費すべきです。その場で食べきれない場合には冷蔵庫に保存して2~3日で食べきる必要があります。
③微生物の繁殖をおさえる環境にする
物質には、微生物が活動しづらい環境にする作用のあるものがあります。ドライフードより水分を含み、空気に触れるセミモイストフードやジャーキーなどは、保存料を加えることで微生物の繁殖をおさえています。水分量が比較的多めのドライフードに加えられていることもあります。
④温度を下げる
ソーセージのように成形、ラッピングされたペットフードには、加熱殺菌や外気とのある程度の遮断に加え、食品のソーセージなどと同様に冷蔵することで微生物の繁殖を抑制する管理がされているものがあります。賞味期限は他のフードに比べて短く、流通、販売、購入後すべて冷蔵で管理しなければなりません。
ところで、「保存料」というのは、物質の名前ではありません。微生物の繁殖をおさえるために加えられているものを、目的の説明として「保存料」と記載しているのです。ですから、ペットフードの原材料表示の欄には、「保存料(ソルビン酸カリウム)」などと、実際の物質の名前が詳しく書かれています。
安全基準と表示のルールが定められている
また、どんな物質がどんな目的の添加物として使用されているかは飼い主さんの関心の高い事柄です。ですから、これを正しく伝えるため、消費者保護のためのペットフード公正取引協議会による「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって記載のしかたの自主基準が設けられています。酸化防止剤、保存料、着色料などの添加物は、「保存料(ソルビン酸カリウム)」というように用途と物質を明確に記載するという取り決めです。
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【用語解説】保存料
(テキスト)
監修/徳本一義(獣医師)
取材協力/ペットフード公正取引協議会
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