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【獣医師監修】犬の糖尿病 飼い主さんの自宅でのケアや末期の治療について

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糖尿病は完治が難しい病気ですが、早期に対処すれば上手に付き合っていける病気でもあります。今回は、糖尿病にかかりやすい犬の特徴、病気の症状と治療法、治療の効果が感じられない理由、ホームケアの実態、末期になった場合の回復見込みなどを解説します。

この記事の監修

いぬのきもち獣医師相談室

愛犬の困りごとや悩みについてアドバイスをする、「いぬのきもち」獣医師チームです。豊富なアドバイス経験をもとにした丁寧な情報発信を心がけています。誰でも無料でご利用いただけるチャット相談 「ペットケアONLINE」も展開中。
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犬の糖尿病について

柵から覗く犬
Kira-Yan/gettyimages

糖尿病とは、膵臓(すいぞう)で作られるインスリンというホルモンの不足や機能不全で血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなり、それによって引き起こされるさまざまな病態の総称です。

インスリンは体内で血糖値を低下させることのできる唯一のホルモンで、血液中の糖を細胞内に取り込む役割をもちます。そのためインスリンが不足すると、細胞に取り込まれなかった糖が血液中に増え、腎臓で再吸収しきれない余分な糖がオシッコとともに体外に排出されます。その結果、生きるために必要なエネルギーがきちんと体に取り込まれなくなるのです。

糖尿病の種類

犬の糖尿病は大きく分けて、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病の2つのタイプがあります。Ⅰ型は膵臓の障害によって引き起こされるインスリン不足が原因で起こるのに対し、Ⅱ型は膵臓からインスリンが分泌されているにもかかわらず、体の細胞がそれをうまく受け取れないことで発症します。

Ⅱ型は遺伝との関係が深いといわれていますが、Ⅰ型は遺伝や体質に関係なく発症します。犬に多いのはⅠ型で、Ⅱ型の場合はインスリンの投与が必ずしも必要ではありませんが、Ⅰ型の場合はインスリンの投与が必要になります。

糖尿病にかかりやすい犬の特徴

糖尿病にかかりやすい犬の特徴として、高脂血症や食べすぎ、肥満、高齢の犬、持病があることなどがあげられます。
肥満の犬は糖が細胞に取り込まれにくくなることや、食べすぎにより糖を過剰に摂取してしまうことがあるため糖尿病の発症率を高めます。また7才以上の犬も、長年の生活習慣の積み重ねや加齢によるホルモン減少が原因となって、糖尿病にかかりやすいといわれています。インスリンのはたらきには女性ホルモンが関係しているため、メスはオスよりも糖尿病にかかりやすい傾向があります。

糖尿病は病気の合併症として発症するケースがあることもわかっているため、副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)や膵炎(すいえん)などの持病がある犬も、糖尿病を発症するリスクが高くなるでしょう。

糖尿病になりやすい犬種

基本的にどの犬種でも糖尿病になる可能性はあります。なかでも特にミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどの犬種は、ほかの犬種と比較して糖尿病の発生率が高いことが報告されています。

※アニコム損保のデータを参考にしています。

糖尿病の症状

水を飲む犬

初期症状

糖尿病の初期症状では、オシッコの量や回数が増える、飲水量が増えるなどがあげられます。また、よく食べるのにやせてきた場合も要注意でしょう。糖尿病では、血液中にある糖が細胞に取り込まれないため、食べても細胞にエネルギーが供給されずに体重が減少する場合があるのです。糖尿病は初期症状があらわれにくい病気ともいわれているため、異変に気付かない飼い主さんもいます。

進行しているときの症状

糖尿病が進行していくと、食欲不振やゴハンを食べなくなる、元気がなくなるなどの様子が見られます。また、オシッコの量が多くなって薄くなるほか、尿に甘いニオイを感じることもあるでしょう。

血液中の糖が増加すると血管がダメージを受けるため、細い血管が詰まり、糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)や糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)などの合併症を引き起こすこともあります。そのほかには、白内障(はくないしょう)や視力低下などの症状を招く場合もあるでしょう。

後期から末期は糖尿病性ケトアシドーシスに注意

血液から細胞に糖が吸収できなくなると、脂肪をエネルギーに変えようとするはたらきが起こります。そのときにケトン体という物質が生成されますが、このケトン体によって体内が酸化すると、糖尿病性ケトアシドーシスを発症するのです。
糖尿病性ケトアシドーシスになると強い脱水や嘔吐、下痢、口臭などの症状があらわれ、最悪死に至ることもあるので、迅速に治療を行う必要がでてくるでしょう。

糖尿病の治療

糖尿病は、一度かかってしまうと完治が難しい病気です。しかし血糖値を適切にコントロールすることで、症状の悪化を防ぐことができるといわれています。

初期の場合

初期の糖尿病の場合は、食事療法で血糖値を管理するのが一般的です。血糖値の上昇を抑える食物繊維を多く含むフード(療法食)にするなど、食事の内容や回数・量を獣医師と相談して、血糖値をコントロールします。しかし、犬では糖尿病の発見が遅いことから、ほとんどの場合でインスリンの投与が必要になっているのが現状です。

進行している場合

糖尿病が進行している場合は、インスリンを注射することで血糖値をコントロールします。このインスリン注射は、正しい注射の方法や回数などを獣医師に指導してもらい、飼い主さんが自宅で行うケースがほとんどです。別の病気の合併症で糖尿病を発症している場合は、基礎疾患の治療によってインスリンから離脱できる可能性もありますが、多くの場合はインスリンを注射し続けることになるでしょう。

インスリン注射の進め方

インスリンの種類と量を決定するためには、数時間おきに血糖値を測定する必要があります。そのため最初は、朝から病院に預けるか入院などをして、インスリン投与後の血糖値の推移を測定する検査を行うことになるでしょう。
その後も1週間から数か月おきに通院して定期的に血糖値を測定し、適切な治療が行えていることを確認する必要があります。

インスリンによる治療がうまくいかないと感じる場合

インスリンにはいくつかの種類があり、効いている時間や取り扱い方、希釈の可否などに違いがあります。そのため使っている薬が合わないケースや、注射のやり方に問題がある場合は、治療がうまくいっていないと感じることがあるでしょう。

また、一定量以上のインスリンを打っても効果が確認できない場合は、別の基礎疾患が潜んでいる可能性も考えられます。

病気を経験した飼い主さんたちの治療法と費用

犬の糖尿病 診断経験がある割合
※2021年8月実施「いぬのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 107人)
犬の糖尿病に関するアンケート(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

いぬのきもちアプリで、「犬の糖尿病」に関するアンケート調査を実施したところ、回答をいただいた107名のうち、飼っている犬が糖尿病と診断された経験のある飼い主さんは約8%という結果に。また、自宅で行った糖尿病の治療や治療費、通院の頻度について質問をしたところ、以下のような回答が得られました。

自宅でインスリン注射を行った人の割合

犬の糖尿病治療 自宅で行った治療
※2021年8月実施「いぬのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 107人)
犬の糖尿病に関するアンケート(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

自宅で行った治療を聞くと、このような結果に。糖尿病の犬の飼い主さんのなかで、自宅でインスリン注射を行った人の割合は53%でした。そして、糖尿病の実際のホームケアでは、インスリン注射と食事療法がメインになるようです。

これまでにかかった治療費

犬の糖尿病治療 治療費
※2021年8月実施「いぬのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 107人)
犬の糖尿病に関するアンケート(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

治療費は、約8割の方が20,000円以上という結果になりました。

通院の頻度

犬の糖尿病に関連する通院の頻度
※2021年8月実施「いぬのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 107人)
犬の糖尿病に関するアンケート(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

ホームケアをきちんと行えば、通院はおおよそ1か月に1度の飼い主さんが多いようです。

糖尿病の末期といわれた場合

シニア犬
Leila Coker/gettyimages

余命はどのくらい

糖尿病の末期になると、腎不全などの合併症や糖尿病性アシドーシスに進行すると、命を落とすことも少なくありません。
特に痙攣(けいれん)などの神経症状が起きている場合は、それほど長くないでしょう。適切な治療を行っているのに、痙攣を繰り返している状況なら、厳しいと言わざるを得ません。

治療しない選択肢はある?

治療の方針を決定するのは飼い主さんです。しかし、犬の糖尿病で多いのはⅠ型のインスリン依存性糖尿病のため、食事療法や運動だけで回復することはないでしょう。
治療を中止することは、愛犬の命の終わりを意味します。とても重大で難しい判断になるため、ご自身はもちろん、家族やかかりつけの獣医師とよく話し合ってください。

糖尿病を予防するためにできること

見上げる犬
getty

愛犬を糖尿病にさせないためにも、次の4つのポイントを押さえて予防につなげましょう。

  • 食事に気を付ける

  • 運動に気を付ける

  • ストレス解消を心がける

  • 定期的に病院へ通う

犬種や年齢に合う食事を与えて摂取するカロリーをコントロールすること、運動により糖の消費をうながすことは大切です。またストレスを感じていると免疫力が下がるので、ふだんからストレスを感じさせない工夫は必要でしょう。
糖尿病はほかの病気から併発することもあるため、持病のケアも大切です。そして初期症状がわかりにくい病気なので、定期的に健康診断を受けておくと安心でしょう。

糖尿病は、場合によっては長期にわたるホームケアが必要な病気ですが、早期発見によって悪化を防ぐことができますし、コントロールがうまくいけば寿命を全うすることができる疾患です。愛犬に気になる症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
そして、日頃の生活習慣に気をつけて、病気の予防につなげましょう。

参考/「いぬのきもち」2012年10月号『生活習慣の見直しで防げる犬の糖尿病』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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