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【獣医師監修】犬の寒さ対策~寒さに弱い犬や寒さが犬に与える影響、防寒グッズなどについて~

犬はみんな寒さに強いものと思いがちですが、愛犬も生活スタイルや、寒さへの耐性に合わせて冬支度が必要です。今回は、寒さに弱い犬や寒さが犬に与える影響、散歩などの外出時や留守番時の寒さ対策、室内飼い・外飼い別の寒さ対策などについて紹介します。

今井 巡 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター第2病院院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業

●資格:獣医師

●所属:日本大学動物病院整形外科専科
手術実施症例:各種骨折症例、頸部椎間板ヘルニア(ベントラルスロット)、腰部椎間板ヘルニア、椎体固定他

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、整形外科、神経外科

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寒さに弱いタイプの犬って?

本来、犬は寒さに強い動物です。しかし人に合わせて暮らす飼い犬の場合、家の中にいる時間が多く、一定の温度のもとで暮らしているために寒さに弱くなることもあります。

とくに寒さに弱い犬のタイプは…

・子犬やシニア犬
・暖かい地方原産の犬→チワワ、バセンジーなど
・毛の短い犬→フレンチ・ブルドッグ、イタリアン・グレーハウンドなど
・下毛がない(シングルコートの)犬→トイ・プードル、ボストン・テリアなど
・超小型犬→ヨークシャー・テリアなど
・持病がある犬
・完全室内飼いの犬
・散歩の少ない犬

寒さが原因で、病気にかかってしまうことも

犬も人も、寒さで体温が下がると免疫力が低下し、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。寒さに慣れていない完全室内飼いの犬は、寒さ自体がストレスになって、肺炎など呼吸器系の疾患にかかる恐れも。また、もともと持病がある犬は病気が悪化することも考えられます。

寒いとき、犬はどんなしぐさをする?

寒いときにするしぐさは、犬も人と同様です。震えたり、体温を外に逃がさないよう体を丸めたりすることがあります。ただし、部屋を暖めてもずっと体を丸めていたり、震えが止まらなかったりする場合は、病気の可能性もあるので注意しましょう。

寒いときの犬のしぐさ

・小刻みに震える
・体を丸める

室内犬のための防寒の工夫

室内で過ごす時間が長い犬は、部屋の中が寒いと凍えてしまうことも。冬に備えたお部屋づくりをしたいですね。

快適な温度と湿度に

もともと犬は寒さに強く、暑さに弱い動物です。あまり高い温度に設定すると、かえって暑すぎることも。エアコンの温度は、25℃前後など、人が快適な温度に設定しましょう。また、急激に室温を上げるエアコンを使用すると、室内が乾燥しやすくなります。加湿器などを利用し、室内の湿度が50~60%程度になるように保ちましょう。

ハウスまわりの防寒対策

ハウスの中は一見暖かそうでも、じつは床が冷たくて愛犬が寒がっていることもあります。日中より冷え込む夜の対策にもなるので、ハウスまわりの防寒を見直して次のような対策を。

・ハウスに布や毛布を入れる
ハウスの中にふだんから薄手のタオルを入れているなら、冬はフリースのような毛足の長い布に替えるといいでしょう。
・ハウスやサークルに布をかける
サークルの上から布をかぶせると防寒度がアップ。ハウスやサークルの正面や両サイドの1/2はあけ、天井部分をおおうように布をかけましょう。中に冷気が入り込むのを防げます。

・サークルの下に断熱材を敷く
寒がりの犬なら、サークルの下に断熱材を敷くと、床からの冷気を遮断でき、底冷えが防げます。

防寒グッズの活用法

犬のやけどに気をつけながら、防寒グッズを上手に利用して暖をとる方法もあります。

・湯たんぽ
湯たんぽに入れるお湯は36℃くらいがいいでしょう。その上からタオルを巻くと温かさが長持ちします。電子レンジで温めるタイプは、犬が中身を誤食しないように充分注意しましょう。
・湯柱
ペットボトル数本にぬるめのお湯を入れ、布で全体をおおうようにくるめば完成。数本を立てて置いたり、ボトルを寝かせて上に布を敷いたりしても○。

・犬用ホットカーペット
犬がやけどをしないように、必ず一番低温に設定しましょう。コードをかじらないようカバーをつけ、必ず飼い主さんがいるときに使用するようにしましょう。
・ドーム型のベッド
寒がりの犬なら、こたつ代わりにくるまれる、ドームの形をしたベッドを用意してあげるのも一案です。

防寒の際に注意したいこと

こたつや人用のカイロなども手軽な防寒グッズですが、犬には不向きなものもあるので注意が必要です。

NG例 こたつ
こたつは高温多湿の状態のため、熱中症になったり、マラセチア性皮膚炎や外耳炎になったりする危険性があります。

NG例 人用のカイロ
犬が低温やけどをしたり、袋を破って中身を誤食したりする可能性があるので使わないで。

NG例 ストーブの前
ストーブに近づきすぎると、低温やけどをしてしまうことも。まわりを柵で囲み、直接体に触れないようにしましょう。

冬の外出時の寒さ対策

一年中快適な温度のなかで暮らす家庭犬は、寒さへの耐性が少ない傾向があります。そのため、散歩などの外出時には、寒さに応じたケアをすることが大切です。

散歩は無理せず暖かい時間帯に

寒がりな犬が散歩を嫌がる場合は、寒さがストレスになっていることも。無理やりいつもと同じ散歩量にしなくてもOKです。ただし、散歩量が増えるだけで筋肉量がアップし、寒さへの耐性がつくメリットあるので、できれば日中の暖かい時間帯に、日当たりがよい道を選んで散歩をしましょう。日照時間が短い冬は、午前中やお昼過ぎの時間帯がおすすめです。

外出時には洋服を着せても

寒がりの犬なら、洋服を着せて外出するのもいいですね。冬用の洋服は保温効果が高いものが多いので、散歩のときに着せるといいでしょう。ただし、室内でも着せていると、服を着たときの暖かさになれてしまい、より寒さに弱くなってしまうので脱ぎ着はこまめに行いましょう。

帰宅後の様子によってはケアが必要

寒い外から帰ってきたばかりの犬をそのままにしていると、冷えが体へのストレスになって、体調をくずしてしまうこともあります。足や耳の先、しっぽなどを触ってみて冷たくなっていたら、ホットタオルで温めてあげましょう。

冬の留守番時の寒さ対策

愛犬が寒いだろうと電化製品をつけっぱなしにしていくと、思わぬ事故につながることも。留守番時はハウスまわりの防寒をしっかりしておけば、暖房を消しておいて大丈夫です。

コードが必要な防寒グッズは使わない

愛犬が寒いだろうと、犬用カーペットをつけっぱなしにしていくと、コードをかじるなどして事故につながることもあります。留守番中は片づけておきましょう。ただし、コードレスの床暖房ならOK。暑くなったら逃げられるよう、すのこを置いておくといいでしょう。

ハウスは窓から離れた場所に

窓からは隙間風や冷気が室内に入り込むことがあります。冷気の影響を受けないように、窓から離れたところにハウスを置きましょう。

外飼い犬の必須冬支度

外飼いの犬ほど寒さ対策は必要です。冬支度をまったくせずに過ごさせてしまうと、寒さが厳しい日や夜間には命の危険があることも。犬が寒さをしのげる暖かい場所を用意するようにしましょう。

犬舎の位置を日当たりのよい場所に

日当たりがよく、北風が当たらない暖かい場所に犬舎を移動しましょう。入り口に風よけをつけるとより暖かくなります。

段ボールなどを張って犬舎を保温する

保温効果のある段ボールや発泡スチロールなどを犬舎の外側にぐるりと張り巡らせましょう。外からの冷気を遮断できるため、防寒性がアップします。

犬舎内の冷え対策

犬舎の中に毛布などを敷きましょう。底冷えを防ぐだけでなく、犬が自由にくるまることができ、自分の体温で温まることができます。

フードを増やす

外飼いの犬の場合は、皮下脂肪を増やすため、いつものフードの量の10%を増やして与えましょう。

まとめ

犬は寒さに強いと思いがちですが、それぞれの生活スタイルによってなんらかの寒さ対策が必要です。愛犬の犬種や年齢、飼育環境、健康状態に合わせた冬支度をしたいですね!
参考/『いぬのきもち』2015年12月号「愛犬ぬくぬく冬支度」(監修 野矢雅彦先生)
監修/今井巡先生(相模原プリモ動物医療センター第2病院院長)
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