「どうして犬は全身が毛でおおわれているの?」。そこにはそうならざるをえなかった理由がありました。哺乳動物学者の今泉忠明先生に、犬の秀逸なデザインとその背景について教えていただきました。一度知ったら誰かに話したくなる情報をお届けします。
つま先立ちで歩くのは、すぐれた“長距離ランナー”&“ハンター”になるためだった!
犬はかかとをつけずに歩く「趾行性」
犬は、かかとをつけずつま先立ちで歩く「趾行性」です。もともとは、足裏全体を地面につけていましたが、獲物を捕らえるために長距離を疾走する必要があったのでつま先立ちに。結果、足が長くなるうえに接地面が少なくなり、効率よく地面を離れられるようになりました。ほかにも、足音を立てずに獲物に忍び寄り、機敏に捕獲するためでもあったようです。
ちなみに、弾力のある肉球は“靴底”、鉤爪は“スパイク”だった!
ゴムのような弾力がある肉球は、人の靴でいえばまさにクッションとなる靴底。そして、犬のカーブした「鈎爪」は、急な斜面や崖を上るときなどにスパイクのような役割をしています。
肉球はクッションとなる靴底
全身をおおう毛は、高機能な“万能アウター”だった!
ときに身を守る防具にも!
犬の全身をおおう毛は、いわばオールマイティなアウター。天気や気候に応じて、寒さや雨、紫外線などからデリケートな薄い皮膚を守っています。さらに、病原体の皮膚への侵入も防ぐので防護服として、敵からの攻撃からも身を守るので防具としての機能も併せもっているのです!
ちなみに、プードルなどの巻き毛は“浮き輪”だった!
プードルなどの巻き毛は、「バルベ」という犬種が由来。巻き毛は、空気を含み水に浮きやすいので、カモ猟で活躍していたそう。
いかがでしたか? 犬の体のデザインには、ちゃんと理由があるんですね。
お話を伺った先生/哺乳動物学者 今泉忠明先生
参考/「いぬのきもち」2022年8月号『犬のカラダなるほどデザイン』
写真/尾﨑たまき、殿村忠博、佐藤正之
文/いぬのきもち編集室