犬と暮らす
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電車に乗った犬は、なぜリードが外れたのだろうか|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.156
先日、リードが外れた犬が電車に乗り込み、駅員が噛まれるというニュースがありました。そもそもなぜ、簡単にリードが外れてしまったのでしょうか? また、こういったアクシデントは、自分の犬にも起こる可能性があります。他人を噛まない犬にするためにはどう育てればいいか、西川先生が解説します(編集部)。
現在のように、YouTube他で世界中の犬のおもしろ映像などがあふれる前のことだったかと、記憶しています。
乗客も運転手も、乗ってくる犬に対して、当たり前のように接していました。
犬と人間とが共生している姿に憧れもしたものです。
さて、公共の交通機関に1頭で乗る犬。こちらは日本のニュースです。
そう、東京の某私鉄に乗ってきた、例の犬の話です。
文化も違うし、トレーニングレベルも違うわけで、日本では当たり前のように接することにはならない。
公共の交通機関には、たとえ乗せることが許されているとしても、日本ではクレートに入れるのがルール(サイズも決まっている)。
さて、今回話をしたいのは、なぜにあんな状態(ノーリードの状態)になってしまったか、ああいったことに(保護しようとした人を噛むようなことに)ならないようにどうしたらいいのか、ということです。
「散歩中にリードが外れて犬がいなくなった」
なぜリードから首輪が外れたかは不明ですが、考えられる原因はいくつかあります。
まずは、首輪の金具にかけるリード側の金具(ナスカンといいます)が壊れていたこと。壊れていなくても犬が激しく動いたときに何かの拍子にナスカンが外れる(要は不良品)といったケースもあります。
もうひとつは、リードをつけることを嫌がり犬が暴れて、リードをつけられずに犬が逃走するケース。
前者は金具のチェックを怠らないことと、激しく動いたときに外れないかをチェックすることです。
後者は、オスワリ・マテの状態でリードをつけられるようにトレーニングをすることです。
そもそも首まわりを触られることを嫌がる犬もいます。そうした犬の場合は、首まわりに触られることに慣らすところからトレーニングを行う必要があります。
首輪自体が首から抜けることも
これは、首輪の緩み(首輪と首との隙間)が適正でないのが原因です。
多少ゆるくとも、犬が前に引っ張っている場合は、首輪は抜けません。
抜けてしまうのは、犬が飼い主から離れようと後退りし、または止まった犬を飼い主が引っ張り、ナスカンが顎の下ではなくうなじ側に回ったときです。
耳の後ろ側から鼻先の方へと、首輪が抜けてしまうのです。
首輪の緩みは、親指が首輪と首の間に難なく入れることができ、耳の後ろから引き上げたときに首輪が抜けないように、調整します。
もし、親指が難なく入る緩みを設けると耳の後ろから首輪が抜けてしまうのであれば、2つの輪っかでできているマーチンゲイル(ハーフチョーク)タイプの首輪をおすすめします。調整は大きな方の輪っかを一番小さくしたときに、緩みがないようにします。
通常は緩みが十分にあり、リードが張ると緩みのない状態になる。緩みがない状態になっているので首輪抜けは防げる、ということです。
確実なオイデを教え、他人に慣らすことも
オイデで呼び戻せれば、今回の事故も防げていたでしょう。
それと他人への慣らしを社会化期から十分に行うことです。
他人に触れられても平気にする。そうすれば、他人を噛みつくようなことは防げます。
そうそう、万が一首輪が外れても飼い主から離れないような、そうした関係が築けていれば、そもそも問題は起きない。
首輪やリードが外れて「自由になれた、捕まってたまるか」とばかりに逃げるというのは、飼い主との関係にそもそも問題があるということです。
リードが外れても、首輪が抜けても、飼い主のことが大好きだから離れたくない、視線を合わせたい、そうした犬との関係を育くむことです。
つまるところは、コンパニオン・ドッグに育てるためのトレーニングを行う、ということ。
まぁ、今回も結局は、そうした話へと行き着くわけです。
西川文二氏 プロフィール
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