吠えなどの困りごとは、つい感情的な言葉をかけがちですが、愛犬を興奮させるだけなので逆効果ってご存じですか? 否定せず、してほしいことを犬が理解しやすいように「ひと言」で伝えると、困りごとが解決し、関係性もアップします。そこで「伝わる! ひと言しつけ」の方法を、ドッグトレーナーの戸田美由紀先生に教えていただきました。
「ひと言」こそが犬にはイイ理由
愛犬は大好きな飼い主さんの言うことを理解したくて一生懸命聞いています。ですが複雑な会話は理解できません。「ひと言」なら犬も理解しやすく、何をすべきかがすぐに伝わります。
ひと言だから伝わりやすい!
人と同様、要点を押さえた短い言葉は犬にとってもわかりやすいものです。しつけにおける要点とは、愛犬に「何をしてほしいか」ということ。愛犬がとるべき行動を「ひと言」にまとめれば、グッと伝わりやすくなります。
ひと言で関係性UPになる!
「ダメ」と言って行動を抑制するより、してほしいことを「ひと言」で伝えるほうが犬は理解しやすいです。そうすると飼い主さんから愛犬への声かけもポジティブなものが多くなり、愛犬のやる気も上がって関係性向上にも◎。
コツは3つだけ!
1.短くひと言で!
2.否定的な言葉はNG!
3.愛犬に「何をしてほしいか」を伝える
シーン1 チャイムに吠えるときのひと言=「オシマイ」
撮影/尾﨑たまき
吠えをやめさせようとするとき、飼い主さんは感情的になって「吠えちゃダメ!」「静かにして!」などと言いがち。ですが、愛犬も興奮状態にあるので、飼い主さんの感情にあおられて、吠えを余計に悪化させることに。
犬にとってチャイム音は何らかの異変の前触れ。「これから何かが起こるぞ」と飼い主さんに伝えたくて吠えていることも。すぐに「オシマイ」と声をかけ、ごほうびは使わずクールにほめて。吠え終わったらハウスに入れておくと、落ち着きもキープできます。
飼い主さんに異変を知らせたくて吠える犬には任務終了を告げる「オシマイ」が効果的
シーン2 散歩中にほかの犬や人に吠えるときのひと言=「こっち行こっ!」
吠えるより先に安心させて回避
ほかの犬や人が怖くて吠えるのは、犬の本能による吠えなので、「うるさいってば!」「ダメダメッ!」などのネガティブな声かけは余計に恐怖をあおります。助けてくれない飼い主さんにネガティブな印象をもつことも。
ほかの犬や人が近づいてきて、愛犬が吠えそうだなと思ったら、吠えるより前に回避することが有効です。軽く提案するような気持ちで「こっちに行こうか」と声をかけて、来た道を引き返したり、別のルートを選ぶなどで、相手の犬や人からすばやく距離をとりましょう。
いかがでしたか? つい発してしまいがちな「ネガティブワード」を言い換える意識をもって、困りごとに向き合ってみましょう!
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2022年9月号『伝わる! ひと言しつけ』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室