年を重ねるごとに変化していく愛犬の歩き方。まだ若い犬であればいつまでも健脚でいられるように、すでに足腰に衰えが見られるのなら生活がしにくくならないように、今日からサポートしてあげましょう。
今回は「歩行・散歩」のサポートについて、老犬ホーム「オレンジライフ湘南」代表の堀内理恵さん、老犬介護士の堀内章さんに教えていただきました。
撮影/佐藤正之
犬は年齢を重ねると“よろよろ歩き”に
多くの犬は年をとると後ろ足から衰えが出始め、徐々によろよろとしたおぼつかない歩き方になっていきます。当然、それまで普通にできていた散歩やトイレ、食事といったことがしにくくなり、愛犬も不安を感じたり、とまどったりすることが。生活の質をキープし、愛犬が自信を取り戻せるよう、足腰や歩き方の状態に応じてサポートするようにしましょう。
足腰に衰えが出始める“プレよろよろ歩き”の歩行・散歩のサポート
●回数を分けて散歩し、筋力キープを意識したコースを歩く
散歩は1回60分よりも、30分の散歩を2回行ったほうが、ダラダラただ歩くだけになりにくく、効率よく筋肉もついて足腰の衰え予防に。途中、木の根っこをまたがせるように一歩ずつ歩いたり、坂道をじっくり登ったりするとより効果的です。
※骨・関節疾患や麻痺などで運動制限のある犬は、散歩方法についてかかりつけ医に相談しましょう。
足腰が衰えてくると、踏ん張って立つ力も弱くなるので、フローリングの床だと滑って立てなくなることが。じゅうたんやラグなどを敷くことで、踏ん張りやすい生活環境を整えましょう。
撮影/佐藤正之
後ろ足の衰えが目立ってくる“ミドルよろよろ歩き”の歩行・散歩のサポート
散歩中、足元がふらついたり、その場にしゃがみこんで歩かなくなることがあるため、背中側に持ち手のついたハーネスをつけると安心。持ち手をつかんで愛犬の体を起こし、歩行のサポートを。
持ち手つきハーネスで歩行をサポート
踏ん張る力が徐々に弱くなり、歩行にも影響が出てくる場合があるので、滑り止めつきの靴や靴下を履かせると◎。爪に装着するタイプの滑り止めもあるので試してみても。
愛犬自身で歩かせることに加え、車イスでの散歩も行うのがおすすめ。足腰に衰えが出ていても、車イスに乗れば地面に足をつけて歩くようになるので、いい筋トレに。
撮影/佐藤正之
後ろ足が機能しにくく、前足にも衰えが出てくる“ハイよろよろ歩き”の歩行・散歩のサポート
●自立や歩行を補助するため、介助ハーネスをつけて散歩する
散歩の際は、上半身と下半身をいっしょに支えられる介助専用のハーネスをつけて。また大型犬の場合は、着たまま寝られるタイプの介助ハーネスを家の中でもつけておくと、立つことと歩行を補助しやすいです。
※介助ハーネスは種類がさまざまなので、愛犬の状態に合わせて選びましょう。
車イスに乗せると自分の足で積極的に歩く犬も少なくないので無理のない範囲でチャレンジを。ミドルよろよろ歩きのときから使っている場合は、足腰の状態によって車イスの仕様変更が必要なことも。定期的な調整を忘れずに。
撮影/佐藤正之
自分だけでは立ったり歩いたりできない“寝たきり”の歩行・散歩のサポート
外の空気を吸うことは気分転換の意味でも大切なので、歩けなくてもカートなどで連れ出して。芝の上などで体を支え、立たせるまねをするのも◎。足裏にいい刺激を与えられます。
足腰が衰えても体幹がしっかりしていれば、フセの姿勢がとれて体がこわばりにくくなり、寝ていても床ずれを起こしにくくなります。車イスや姿勢保持クッションに乗せて立たせることで、体幹の強化につながります。
姿勢保持クッションに乗せる
愛犬のよろよろの度合や性格などによってサポート方法は変わるので、愛犬に合ったやり方を見つけるようにしましょう。
お話を伺った先生/老犬ホーム「オレンジライフ湘南」代表堀内理恵さん、チーフ堀内章さん
参考/「いぬのきもち」2022年2月号『愛犬がよろよろ歩きになったときのくらしサポート術』
写真/佐藤正之
イラスト/Akira Ayumi
文/いぬのきもち編集室