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【獣医師が解説】犬のフィラリア症の症状と治療法|ステージ別に解説

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犬が発症することのある「フィラリア症」は、最悪の場合に死に至ることのある恐ろしい病気です。今回は、フィラリア症の症状と治療法を初期・中期・末期の段階別に解説します。これを読んで、フィラリア症を予防することの重要性を今一度考えてみましょう。

犬のフィラリア症とは?

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フィラリア症の原因(感染経路)・特徴とは?

「フィラリア症」とは、蚊を介して犬の心臓や肺動脈に寄生する「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」が引き起こす病気です。

この犬糸状虫の子虫が蚊の媒介によって犬の体内に入るとそうめんのように細長く白い成虫となり、犬の皮下や筋肉の中で少しずつ成長します。その後は静脈から血管に入り、感染してから約半年後には心臓や肺動脈に住み着いて成虫となり、さまざまな症状が現れるようになります。寄生した成虫は体内で何年も生き続けるため、病状が徐々に進行していくのが特徴です。

フィラリア症の診断方法

フィラリア症の症状が出ていなくても、定期検査やフィラリア症の予防薬投与の前に行う血液検査などで診断することができます。

フィラリア症の初期症状(軽症)と治療法とは

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フィラリア症の主な初期症状

主な初期症状は以下のとおり。

・軽い咳(かわいた咳)が出る
・激しい運動ができなくなる
・散歩を嫌がるようになる/元気がない

ただし、初期の段階では症状が出ていないことがほとんどで、気が付かない飼い主さんも多くいるようです。初期段階で気が付く飼い主さんは、定期的に血液検査などを受けさせている場合がほとんどです。

初期(軽症)の治療法

体内の成虫の数が少なく、フィラリア症の症状が出ていない軽症の場合は「予防薬の長期投与」という治療法を行うことがあります。この方法は、新たに体内に入ってきた子虫に対してだけ予防を続けて既に体内にいる成虫に対しては何もせず、成虫が勝手に死んでいくのを待つというわけです。

フィラリア症の中期症状(中等症)と治療法とは

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フィラリア症の主な中期症状

中期になると、症状が変わってきます。

・慢性的に咳が出るようになる
・食欲不振や元気消失の症状が進む
・さらに散歩や運動を嫌がるようになる
・毛艶が悪くなる
・腹水がたまりはじめる

この時期になると、ごく一般的な飼い主さんでも犬の異変に気が付くようになります。何か変だと病気を疑い、すぐ動物病院を受診することこそが治療のカギを握ると言ってもいいでしょう。

中期(中等症)の治療法

【駆虫薬の投与】
駆虫薬によって、体内の成虫を死滅させる方法です。駆虫薬を2~3回投与したのち数週間以内に成虫は死滅しますが、成虫が心臓で死滅して血管に詰まるなどすると、危険な症状になることがあります。また死滅した成虫が肺動脈の奥に流れることで、一時的に肺への負担が大きくなるため、この状態に耐えられると思われる犬だけが治療の対象になります。

【予防薬の長期投与】
駆虫薬を使えない場合は、獣医師の判断で軽症の際にも用いられる「予防薬の長期投与」によって治療を行うことがあります。

【対処療法】
「予防薬の長期投与」も難しい場合は、「対処療法」を行うことも。この場合、腹水がたまっている場合はそれを抜いたり、咳を抑えたりする治療を行いながら経過観察します。自宅では安静が必要となり、食事管理も徹底する必要があります。

フィラリア症の末期症状(重症)と治療法とは

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フィラリア症の主な末期症状

・元気消失や食欲の減少によって痩せる
・咳だけではなく呼吸が苦しそうになる
・咳をした際に血を吐く/嘔吐する
・腹水がたまる
・運動時に失神する
・心臓・肝臓・腎臓・肺などの臓器が機能不全になる
・血尿(赤みをおびた尿)がでる
・貧血になり唇が白くなる

このような症状が出たら、かなり危険な状態であると認識し、一刻も早く動物病院で診てもらいましょう。通常フィラリア症は時間をかけて進行するため、ここまで悪化する前には何かしらの治療を始めているケースがほとんどです。しかし、「大静脈症候群」とよばれる急性の症状もあるので注意してください。

「大静脈症候群」とは?

「大静脈症候群」とは肺動脈や右心室に寄生していた成虫が、右心房や右心房と右心室をまたいで寄生するため「三尖弁閉鎖不全」が突然おこり、血流を乱すことによって全身状態が急激に悪化した状態です。「大静脈症候群」になると、血色素尿(コーラのような色の尿)や呼吸困難、低血圧などの症状がみられます。治療が遅れると死亡することもあるのですみやかに受診しましょう。

急性症状の際の治療法

【外科的治療】
「大静脈症候群」などの急性症状や寄生している成虫の数が多数の場合は、首にある頚静脈を切開し、特殊な器具を挿入して成虫を摘出する、外科手術が行われることがあります。しかし、この方法でもすべての成虫を完全に摘出することは難しいため、体内の成虫に対する治療を続けるケースも少なくありません。

治療ではなく予防薬で対策するのが重要!

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万が一、フィラリア症に感染しても、早い段階であれば投薬治療なども可能なことがわかりました。しかし、どの治療方法にもリスクがあり、犬の体に大きな負担をかけることには違いありません。

ただし、フィラリア症はきちんと予防薬を与えることで、100%に近い確率で予防できる病気です。飲み薬、スポットオンタイプ、注射などいろいろな種類がありますので、飼育状況や犬に合った方法を獣医師と相談しましょう。

一つ注意したいのが、フィラリア症に感染してしまった犬に予防薬を投与するのは、ショックを症状起こす可能性がある点。この場合は非常に危険なので、予防薬の投与を開始する前には、フィラリア症にかかっていないか必ず検査するようにしてくださいね。

犬のフィラリア症は、飼い主さんの予防への意識の高さが求められると言えるのです。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「犬の病気・症状データベース(フィラリア症(犬糸状虫症))」

出典元/『いぬのきもち』WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(フィラリア症(犬糸状虫症))」
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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