犬の耳掃除は、耳の病気予防のためにも必要に応じて行うことが大切です。今回は、耳掃除の必要性やケアの方法、耳掃除のコツを解説します。また、耳掃除が苦手なコへの対処法やおすすめグッズなども合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
犬に耳掃除は必要?頻度や頻繁にケアしたい犬種
犬に耳掃除は必要?
犬は本来、耳垢が出にくい動物です。そのためニオイが気にならず、赤みもなく、見える範囲に耳垢がなければ、無理に耳掃除をする必要はないでしょう。
お手入れの頻度は?
耳のお手入れは、生後2カ月を過ぎたころから、2週間に1回を目安に行います。散歩をするコースや時間帯によって汚れ方が変わるので、汚れ具合を見ながら間隔を調整しましょう。
長毛種や垂れ耳の犬は頻繁にチェックを!
長毛種や垂れ耳の犬は、耳の入り口に生えている毛が伸びると、蒸れて「外耳炎」になりやすくなります。そのため、毎日のチェックは欠かさずに行いたいです。
特に耳のケアに注意したい犬種
アメリカン・コッカー・スパニエル/ミニチュア・シュナウザー/ミニチュア・ダックスフンド/キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル/トイ・プードルなど
黒い耳垢は要注意!耳掃除を怠ると病気になることも!
黒い耳垢は病気のサイン
正常な耳垢は薄い茶色をしていますが、濃い茶色や黒い耳垢が出る場合は病気が疑われます。すぐに動物病院を受診して、治療を開始した方がいいでしょう。
耳掃除を怠ることで発症する病気
外耳炎
犬が最もかかりやすい耳の病気が「外耳炎」です。外耳道に細菌や真菌が繁殖して炎症を起こし、強いニオイの耳垢がたまります。拭き取っても数日後にはたまり、症状が悪化すると出血や痛みが出ることも。
慢性的な「外耳炎」は外耳が厚くなって耳道を塞ぐので治りにくく、さらに炎症がひどくなると鼓膜に穴が空くおそれもあります。
中耳炎・内耳炎
「外耳炎」が悪化して鼓膜が破れると、炎症が中耳や内耳に広がって「中耳炎」や「内耳炎」を引き起こすことがあります。「外耳炎」の疑いがある段階で、早めに動物病院を受診して治療してあげるのが大切です。
耳疥癬(みみかいせん)
犬同士の接触などにより、ミミヒゼンダニが耳道に感染しておこります。耳道内の剥がれた表皮などを栄養源とするダニで、ひどくかゆがる、耳の皮膚が赤くなる、乾燥した黒い耳アカが出るときは、「耳疥癬」にかかっている可能性があるでしょう。
犬の耳の病気については次の記事も参考にしてみてください。
基本的な耳掃除の方法
あらかじめ動物病院で耳掃除のやり方を教えてもらい、必要な場合に耳を掃除しましょう。洗浄液を使用する場合は、動物病院で耳の疾患がないことも確認しておくと安心です。
耳掃除の方法
①耳の入り口の毛が伸びていたら指でつまんで数本ずつ抜きます。ムダな毛がなくなることで通気性がよくなり、耳の中が蒸れにくくなります。皮膚を傷めないように様子を見ながら行い、犬が嫌がる場合は無理をせず病院で抜いてもらうといいでしょう。
②耳の中に洗浄液を注ぎ込みます。このとき片手で耳の付け根をめくり、もう片方の手で洗浄液を持ちます。ボトルに表記された量を守り、直接耳の穴の奥にゆっくりと注ぎ込みましょう。
③洗浄液を入れたら、汚れを浮き出させるために、耳をめくりながら耳の付け根(耳の穴の下側でコリコリした部分)をやさしく10回ほどもみます。
④犬が頭を振った後、耳の中にある洗浄液と浮き出てきた汚れをコットンでふき取れば完了です。
耳掃除のコツや注意点
毛を抜くときは、滑り止めにイヤーパウダーを使う
イヤーパウダーは軟毛を抜く際の指の滑りを抑え、毛を抜きやすくします。耳の入り口付近にパウダーを付け、親指と人さし指でつまんで抜くと滑りにくくなるでしょう。
親指で裏側から押しながら耳のシワを広げる
耳の裏側から耳介を親指で押してシワを広げると、しっかりと耳を広げることができます。耳を広げた状態で、洗浄液をしみこませたガーゼで見える範囲の汚れをふき取ってあげましょう。
力の入れすぎに注意
強い力で耳の中をこすると、耳道を傷つけて「外耳炎」を引き起こすおそれがあります。そのため、お手入れは耳介の見える範囲内で大丈夫です。
綿棒は使わない
綿棒を使うと耳道を傷つけてしまうおそれがあり、耳の奥に汚れを押し込んでしまうことも。ガーゼを用いたとしても、指を耳の中に入れすぎると危険なので注意しましょう。
耳掃除をしても痒がる場合は?
耳掃除をしても痒がる場合は、外耳炎を起こしていることがあります。前述したように、外耳炎の原因は、主に細菌感染とマラセチア感染、耳ダニです。原因にあった投薬治療をしないと治らないので、この場合は動物病院を受診しましょう。
犬が耳掃除を嫌がる場合、どうしたらいい?
耳掃除が苦手の犬も少なくありません。そんな子には、どうすればうまくお手入れしてあげることができるのでしょうか。
子犬の頃から触られることに慣れさせる
耳のみならず、普段から手足など体を触られることを嫌がる場合には、無理に耳掃除をしようとすると自己防衛のために怒ったり、噛んだりするでしょう。この場合は子犬の頃から、人に触られることに少しずつ慣れさせておけるとベストです。成犬なら、飼い主さんが時間をとれるときに優しく話しかけながら、犬の体をそっとなでてあげることから始めましょう。
耳を触らせてくれたらごほうびをあげるのも効果的
耳以外は触られても大丈夫な場合は、ごほうびを使って耳を触られることに慣れさせましょう。少しでも耳を触らせてくれたら、すぐにごほうびをあげます。嫌がる手前でごほうびをあげることがポイントです。
急に嫌がるようになったら病院へ
「外耳炎」などを起こしていると、痛みやかゆみから触らせてくれない場合も。今まで耳掃除をさせてくれていたのに急に嫌がるようになったのであれば、動物病院で診てもらいましょう。
あると便利な犬の耳掃除グッズ
愛犬の耳のケアにどんなグッズを購入すればいいかわからない飼い主さんのために、いぬ・ねこのきもちSTOREがおすすめする耳のケア商品を紹介します。
バイオイヤークリーナー 犬猫用
有機微生物を活用したイヤークリーナーなので、デリケートな耳でも安心して使えます。
DEN セレクトカットメン
消毒剤の塗布など、いろいろな用途に使用できるカットメンです。ウォータージェット加工で、綿表面の毛羽立ちを抑えています。
ノルバサンオチック 犬猫用
直接耳に注いでも使用することもできる、犬・猫の耳専用クリーナーです。
イヤーパウダー 犬猫用
きめの細かい粉末で分泌物をすばやく乾燥させ、汚れを取り除くパウダーです。日本製なので安心です。
外耳・中耳内の拭き取りケアに
特許技術マイクロシン®テクノロジーによる特別な次亜塩素酸で洗浄・清拭するイアーケアウォッシュです。かゆみや炎症のケア 、傷の洗浄、散歩後のお手入れなどに使えます。
Good Choice オールガーゼ
5×5cmサイズのスタンダードなタイプのコットンガーゼです。大容量の200枚入りなので、頻繁に使用するお手入れにおすすめです。
どうしても嫌がる場合は、プロにお任せしてみよう!
耳掃除に限らず、爪切りや歯ブラシなどの「お手入れ嫌い」な犬はたくさんいます。自宅でしてあげたいという気持ちもわかりますが、嫌がるのに無理やりすると、余計にお手入れ嫌いになってしまうのでおすすめできません。
耳掃除は、動物病院やトリミングサロンでも対応してくれるところがほとんどですし、大人しくしてくれないからと何もしないのは耳の病気に繋がります。どうしても犬が嫌がってできない場合は、プロにお願いしてみてはいかがでしょうか。
参考・写真/「いぬのきもち」2016年2月号『ポイントをおさえて愛犬の健康維持に役立てよう!病気・ケガから守るお手入れ厳選10』
「いぬのきもち」特別編集『子いぬと仲良くなる育て方 健康・お世話編』
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/こさきはな
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部の写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
「いぬのきもちCHANNEL」でトップグルーマーが耳のお手入れを動画で解説しています
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