この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、数々の病気を乗り越え、全盲になった現在も家族との旅行を楽しむゴールデン・レトリーバーのハッピーちゃんのお話です。
目は見えないけれど、今も元気なハッピー。次は北海道旅行に連れていく予定です
これからは穏やかな日々を過ごしてほしい、と願うSさんご夫妻でしたが、6才6カ月のシニア期に入ったハッピーちゃんの体には、加齢が原因の疾患が出ることに。まず両目の人工レンズが寿命を迎え、ぶどう膜炎から緑内障を発症。数カ月後には両目の光を失いました。続いて、シニア期の大型犬に起こりやすいという前十字靭帯の断裂も……。ハッピーちゃんは、緑内障の進行を防ぐ目薬4種の点眼を開始し、ひざの関節をつなぐ外科手術を受けました。
「ハッピーは全盲になり、再び手術を受けることになりましたが、それで性格が変わることもなく、明るく穏やかなままなんですね。手術後数日は、ケージの中で安静にしないといけないときもじっと耐え、また、毎日行う4種の点眼も一度たりとも嫌がったことはないんです。ハッピー自身も、病気を治すためにやっていることって理解しているように感じてます」と語るSさん。度重なる愛犬の病気に直面しても、決して悲観的になることなく、いつも前向きにご夫妻が力を合わせて対処されている姿が印象的でした。
ちなみに、これまでかかった医療費も大変だったのでは……、という質問には「保険にも入ってますし、息子たちに払ってきた額に比べればなんでもないです」と笑って答え、「ハッピーが11才の今も元気でいてくれるのは、家の近くに設備の整ったよい動物病院があり、主治医の先生による的確な医療処置と丁寧なアドバイスが受けられたことも大きかったですね」と話します。
そして最後にSさんは「今度は前からの夢だった、車での北海道旅行にハッピーを連れていく計画があるんです。ハッピーが快適に車に乗っていられるよう愛車の改造もしました(笑)」と語ってくれました。
※掲載の情報は「いぬのきもち」2023年1月号発売時のものです。
出典/「いぬのきもち」2023年1月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
取材協力/ミズノ動物クリニック
写真/田尻光久
取材・文/袴 もな