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「余命宣告を受けた友人から引き継いだ」愛犬松ケンくん、肝臓と心臓に疾患をもちながら新しい飼い主さんのもとでの生活を聞いた

この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。

今回ご紹介するのは、肝臓と心臓に疾患をもちながら、新しい飼い主さんのもとでけなげに生きる松ケンくんのお話です。

余命宣告を受けた友人から引き継いだ大切な命

松ケンくん(オス・16才/2.0kg/パピヨン/クールでマイペース)
松ケンくん(オス・16才/2.0kg/パピヨン/クールでマイペース)
東京都にお住まいのTさんは、2022年の初めに、肝臓に持病がある15才8カ月の「松ケンくん」を家族として迎えました。じつはそれ以前、松ケンくんは「ケンくん」という名前で、Tさんの友人のMさんとずっといっしょに暮らしていました。

2021年12月末、MさんからTさんに電話がありました。その内容は「私が末期がんの宣告を受けて、先が長くないかもしれないので、最愛のケンくんをTさん家の家族として迎えてもらえないか……」ということでした。

個人で保護活動を行っているTさん(2020年6月号本誌連載「犬のために何ができるのだろうか」で紹介)とMさんは保護活動を通じての友人で、お互い不幸な環境に置かれた犬や猫を救うために尽力しあった仲でした。
2022年1月5日、Tさん家に迎えられた松ケンくん。その後、1月18日にMさんは逝去されました
2022年1月5日、Tさん家に迎えられた松ケンくん。その後、1月18日にMさんは逝去されました

天国の友人から託された命。松ケンの幸せのために全力を尽くすと決意

「最初にその連絡を受けたときは『そんなことない、きっとよくなるから!』って、余命宣告なんて信じたくなかった。でも、本当にMさんに残された時間はわずかだったんです。また、その連絡を受けたとき、私は約18年間連れ添った愛犬のリルを亡くしたばかりで、肝臓に持病を持つシニア犬のケンくんをはたして責任持って迎えられるのか……、少し不安な気持ちもありました」とTさん。

そして、少し考えたあと「Mさんは自身の命をかけてケンくんのことをお願いされたのだから、私がケンくんの命を引き継いで絶対に幸せにしてあげよう」と決意したそうです。
散歩の途中、松ケンくんの体が冷えていないか抱きしめてチェックするTさん。今ではかけがえのない大切な家族に
散歩の途中、松ケンくんの体が冷えていないか抱きしめてチェックするTさん。今ではかけがえのない大切な家族に
こうして2022年1月にケンくんはTさん家に迎えられましたが、その約2週間後、Mさんの訃報が知らされました。
「ケンくんの名前は、友人の名字の一字をとって新たに『松ケン』にしました。天国のお母さんもいつもいっしょだよって意味を込めたんです」

Tさん家に来た直後の松ケンくんは、家の中を元気に動き回り、とてもはしゃいでいるように見えたそうです。
「でも、そのとき松ケンはいきなり新しい環境になって、どこに身を置けばよいかわからなくて動き回っていただけなんです。その後1カ月くらいたってから家でゆっくり落ち着けるようになったのですが、ある日、松ケンを友人宅に連れていくと、最初のころとまったく同じ行動をとったんです。松ケンなりに慣れるまで大変だったんだね、とあとになってわかりました」

動物たちのお世話の達人、Tさんが目指すやり方

ところでTさんは、自身でペットシッターの会社「にくきゅうのおせわ屋」を立ち上げ、プロのペットシッターとしても活動しています。持病があったり、ハンデがあったりする犬のお世話についてはベテランです。

「持病のある犬の場合、まずはかかりつけ医の先生としっかり話し合いをして、そのコの年齢や体力を考慮したうえで無理のない治療法を選択していこうと思っています」と語るTさん。
松ケンくんを迎えた直後、かかりつけ医の大師前どうぶつ病院であらためてエコーなどの検査をしてもらったところ、片目に少し白濁があるほか、肝臓に小さなしこりがあるのと、心臓に僧帽弁閉鎖不全症の症状があるのが判明しました。
胃腸が弱いため、たびたび食欲がなくなり、元気が出ないことが
胃腸が弱いため、たびたび食欲がなくなり、元気が出ないことが
「肝臓は、全身麻酔によって摘出手術をするのには松ケンの年齢を考えると、かなりリスクがあるので、投薬治療で様子を見ていくことにしました。そして心臓は、幸いまだ初期のステージだったので、気温差に注意するなどの予防をしていくことに」
今は亡き元飼い主のMさんの家族が、松ケンくんに会いに来てくれました。元気に暮らしている姿を見て目を潤ませます
今は亡き元飼い主のMさんの家族が、松ケンくんに会いに来てくれました。元気に暮らしている姿を見て目を潤ませます
次回は複数の疾患を抱える松ケンくんの毎日のお世話と工夫をレポートします。

※掲載の情報は2023年3月号発売時のものです。
出典/「いぬのきもち」2023年3月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
取材協力/大師前どうぶつ病院
写真/尾﨑たまき
取材・文/袴 もな
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