犬と暮らす
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「余命宣告を受けた友人から引き継いだ」愛犬松ケンくん、肝臓と心臓に疾患をもちながら新しい飼い主さんのもとでの生活を聞いた
今回ご紹介するのは、肝臓と心臓に疾患をもちながら、新しい飼い主さんのもとでけなげに生きる松ケンくんのお話です。
余命宣告を受けた友人から引き継いだ大切な命
2021年12月末、MさんからTさんに電話がありました。その内容は「私が末期がんの宣告を受けて、先が長くないかもしれないので、最愛のケンくんをTさん家の家族として迎えてもらえないか……」ということでした。
個人で保護活動を行っているTさん(2020年6月号本誌連載「犬のために何ができるのだろうか」で紹介)とMさんは保護活動を通じての友人で、お互い不幸な環境に置かれた犬や猫を救うために尽力しあった仲でした。
天国の友人から託された命。松ケンの幸せのために全力を尽くすと決意
そして、少し考えたあと「Mさんは自身の命をかけてケンくんのことをお願いされたのだから、私がケンくんの命を引き継いで絶対に幸せにしてあげよう」と決意したそうです。
「ケンくんの名前は、友人の名字の一字をとって新たに『松ケン』にしました。天国のお母さんもいつもいっしょだよって意味を込めたんです」
Tさん家に来た直後の松ケンくんは、家の中を元気に動き回り、とてもはしゃいでいるように見えたそうです。
「でも、そのとき松ケンはいきなり新しい環境になって、どこに身を置けばよいかわからなくて動き回っていただけなんです。その後1カ月くらいたってから家でゆっくり落ち着けるようになったのですが、ある日、松ケンを友人宅に連れていくと、最初のころとまったく同じ行動をとったんです。松ケンなりに慣れるまで大変だったんだね、とあとになってわかりました」
動物たちのお世話の達人、Tさんが目指すやり方
「持病のある犬の場合、まずはかかりつけ医の先生としっかり話し合いをして、そのコの年齢や体力を考慮したうえで無理のない治療法を選択していこうと思っています」と語るTさん。
松ケンくんを迎えた直後、かかりつけ医の大師前どうぶつ病院であらためてエコーなどの検査をしてもらったところ、片目に少し白濁があるほか、肝臓に小さなしこりがあるのと、心臓に僧帽弁閉鎖不全症の症状があるのが判明しました。
※掲載の情報は2023年3月号発売時のものです。
取材協力/大師前どうぶつ病院
写真/尾﨑たまき
取材・文/袴 もな
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