「しつけ」は愛犬をさまざまな危険やトラブルから遠ざけ、命を守るために絶対に必要なもの。ここでは、しつけがどんな災難から愛犬を守れるかを、獣医師でペットドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。しつけができているベテラン飼い主さんもあらためて見直してみてくださいね。
愛犬を【事故】から守るしつけ
『オイデ』道路への飛び出しや危険物から守る!
オイデは、愛犬を飼い主さんのそばに来させるしつけ。愛犬が脱走をして道路に出てしまったときや、災害で愛犬が危険な場所にいるときなど、すぐに呼び寄せたいときに使うととても有効です。
『ハウス』災害時の落下物などから守る!
ハウスは、愛犬をクレートなどの特定の場所に入れ、落ち着かせるしつけ。地震が起こったときに落下物から身を守るためや、避難所で安心させるために使えます。
『マッテ』割れたガラスや脱走から守る!
マッテは、愛犬をその場にとどまらせるしつけ。地震で愛犬のまわりに割れたガラスなどの危険物があるときや、愛犬が脱走してしまったときに使うといいでしょう。
『ダシテ』命にかかわる誤食から守る!
ダシテは、愛犬が口にくわえたものを出してもらうためのしつけ。近年のコロナ禍ではマスクが道に落ちていることが多いので、そうした危険なものを口にしたときに使えます。
愛犬を【病気】から守るしつけ
『引っ張らせないしつけ』気管虚脱など、呼吸器トラブルから守る!
愛犬がリードをぐいぐいと引っ張らずに歩けるようになるしつけ。気管虚脱などの呼吸器のトラブルを防いだり、頚椎など首への負担を減らしたりすることができ、病気から守れます。
『飛びつき禁止しつけ』骨や関節の持病の悪化や、足腰のケガから守る!
人に飛びつく動きは、足腰に負担がかかり、骨や関節の持病が悪化する原因に。また、小型犬など骨が細い犬では、繰り返し飛びつくことがケガの原因に。飛びつかないようにしつけておくことが大切です。
『おねだり吠え軽減しつけ』のどのトラブルや熱中症から守る!
おねだり吠えしやすい犬は、のどを痛めたり、吠えて体温が上がったりすることで熱中症にかかりやすい傾向に。愛犬の体のためにも吠えをコントロールできるようになりましょう。
『投薬&点眼しつけ』治療をスムーズに行い病気から守る!
投薬や点眼をできるようにしつけておけば、病気の治療や予防をスムーズに進められます。投薬や点眼の機会が増えやすいシニア期を見据えて、若いうちからしつけをしておきましょう。
『体にタッチしつけ』健康チェックで病気から守る!
体にタッチしつけは、体に触れられるのを平気にするしつけ。動物病院での健康診断や自宅での健康チェックがしやすくなり、病気の早期発見につながります。
『お手入れへっちゃらしつけ』かかりやすい病気から守る!
歯みがきは歯周病、ブラッシングは皮膚炎など、お手入れは犬がかかりやすい病気にならないために大切なケア。病気予防のためにそれらのケアを嫌がらずにできるようしつけをしておきましょう。
愛犬を【ストレス】から守るしつけ
『場所慣れしつけ』不慣れ、苦手な場所への不安から守る!
旅行先や動物病院など不慣れだったり苦手だったりする場所に対する不安を減らすのが、場所慣れしつけ。あらかじめ慣れさせる工夫をすることで、ストレスを軽減できます。
『人慣れしつけ』苦手な人に会う恐怖から守る!
人慣れしつけとは、苦手な人に慣れさせて恐怖心を少なくするしつけ。散歩やお出かけなど、人との生活では多くの人に会うので、このしつけをすることでストレスを減らすことができます。
『留守番慣れしつけ』一頭だけでいるストレスから守る!
留守番によるストレスは、飼い主さんがいないことによる極度の不安や退屈などが原因です。その不安や退屈の対策をして慣らしておくのが留守番慣れしつけです。
『車慣れしつけ』恐怖や車酔いから守る!
得体の知れない音がする、いつもと違うニオイがする、急に動くなど、慣れないことばかりで車が苦手な犬は多いでしょう。車酔いはそうした不安や恐怖などのストレスからくることも多いので、慣れるようにしつけておくとよいでしょう。
いかがでしたか? 愛犬がまだできていないしつけがあったら、「愛犬を守る」ためにもあきらめずに取り組んでみてくださいね。
お話を伺った先生/英国APDT 認定ペットドッグトレーナー、獣医師 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2023年2月号『守るしつけ』
イラスト/SORRY.
文/いぬのきもち編集室