犬という動物や犬種ならではの見た目の特徴には、そうならざるをえなかった理由があります。今回は、哺乳類学者の今泉忠明先生に、 犬の体の秀逸なデザインとその背景について教えていただきました。
神秘的! 青や緑の瞳になる理由
目の色をつくるメラニン色素は、日射量が関係するといわれています。多くの犬は黒色や茶色ですが、シベリアン・ハスキーなど北方系の犬種は、青色や緑色になることが。これは、北方では日照量が少なく、メラニン色素の生成が抑えられるからでしょう。
ちなみに……
犬の白目は、人と違ってチラッと見える程度。それは瞳孔(黒目)のまわりの虹彩(色のある部分)が大きいことが理由です。そのため、犬の目は印象的に見えるのでしょう。
どうしてつま先立ちなの?
犬は、かかとをつけずつま先立ち出歩く「趾行性(しこうせい)」です。もともとは足裏全体を地面につけていましたが、獲物を捕らえるために長距離を疾走する必要があったのでつま先立ちに。結果、足が長くなるうえ接地面も少なくなり、効率よく地面を離れられるようになりました。このほか、足音を立てずに獲物に忍び寄り、機敏に捕獲するためでもあったようです。
ちなみに……
ゴムのような弾力がある肉球は、人の靴でいえばクッションとなる靴底。カーブした「鈎爪(かぎづめ)」は、急な斜面や崖を上るときなどにスパイクのような役割をしています。
ダックスフンドが胴長短足なのはなぜ?
ダックスフンドは、穴に潜むアナグマをはじめ、キツネ、野ウサギ猟に活躍していました。もともとは胴も足も一般的な体型だったのが、少しずつ胴長短足に変化し、狭い巣穴でもすばやく動けるようになったのです。
シュナウザーなどのフサフサの眉・毛とヒゲ
ネズミやキツネなどの害獣の駆除にひと役買っていたシュナウザーやワイアー・フォックス・テリア。害獣から目や顔を守るために、眉毛やヒゲがふさふさと豊かに発達したという説があります。
機能美あふれる犬の体。進化の過程を知ると、「なるほど!」と思えるものばかりでしたね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「いぬのきもち」2022年8月号『色形すべてに理由があった!犬のカラダなるほどデザイン』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。