ストレスが愛犬の健康に悪影響を及ぼすことは知っていても、「これってストレス?」と迷うことがありますよね。『いぬのきもち』読者がいだいている犬のストレスに関するギモンや不安について、獣医師でドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました! 今回は「留守番編」です。
Q.留守番は犬にとってストレス?
A.最初はストレスでも、慣れれば平気です
留守番自体は本来、犬にとってストレスです。しかし飼い主さんは必ず戻ってくると教えれば、慣れさせることができます。慣れさせるときは、まず1分間飼い主さんと離れるところから始めて、1分半、2分……と待たせる時間を徐々に延ばしていって。順を追って慣れさせれば、留守番のストレスは感じなくなります。
Q.留守番前に声をかけるのは、かえってストレス?
A.声がけしたほうがストレスなく留守番できる犬も
黙って外出したほうが、愛犬が騒がずに留守番できるケースが多いようです。ただ犬によっては「行ってきます」「留守番よろしく」とひと声かけられることで気持ちが切り替わり、ストレスに感じないケースも。その場合でも大げさに声をかけると不安をあおるので、サラッとあいさつする程度に。
Q.留守番中にトイレシーツやクッションなどを破くのはストレス?
A.ストレスで噛んで破壊した可能性が高いです
留守番中に物を破壊していた場合は、不安感や退屈からストレスを感じ、その発散のために噛んだり引っかいたりしています。犬がストレスを感じて物を破壊するのは、留守番開始直後の30分間といわれているので、その時間に発散できるような、ひとり遊び用の噛むおもちゃやガムを与えると◎。
※おもちゃを破壊したり、ガムをまる飲みするおそれのある犬は、留守中に与えるのをやめましょう。
Q.留守番中ずっと寝ているのはストレスを感じているから?
A.いいえ、むしろリラックスできている証拠です
留守番中の昼寝はとてもいい状態で、ストレスがなくリラックスできているサイン。決して留守番させられてふて寝しているわけではありません。反対に、5、6時間以上の長時間の留守番なのに寝ずにずっと起きているほうが、ストレスを感じている可能性が高いです。
Q.留守番中におやつやゴハンを食べないのはストレスを感じているから?
A.その可能性もあるし、単に食べたくないだけのことも
犬はストレスをいだくと、自律神経のバランスが崩れて食欲を感じにくくなります。そのため留守中に不安や恐怖を感じれば、おやつを食べないことが。ほかに、ずっと寝ていたから、食べたいと思わなかったから、飼い主さんの前で食べたほうが喜んでもらえるから、といった、ストレス以外の理由も考えられます。
Q.帰宅してすぐに大げさにかまうと次の留守番のストレスになる?
A.なります! 帰宅直後は相手にしないで!
帰宅直後に大げさにかまえば、愛犬は数時間ぶりに飼い主さんに会えた喜びも相まって気持ちが高ぶります。帰宅後の気持ちが高まれば、必然的にもう一方、つまり留守番中の気持ちは沈んだ状態になるため、ストレスを感じる状態に。「ただいま」のあいさつは、帰宅後しばらくして愛犬が落ち着いているときにするようにして。
いかがでしたか? 人と暮らすうえで少なからずストレスを感じてしまうのは仕方がないかもしれませんが、そのストレスをできるだけ減らせるよう、飼い主さんが配慮してあげたいですね。
お話を伺った先生/英国APDT 認定ペットドッグトレーナー。獣医師 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2023年10月号『犬ストレスのギモン一問一答』
イラスト/小栗麗加
文/いぬのきもち編集室