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【獣医師監修】犬の発情期|オスとメスの違いや対処法~手術まで
オスとメス、性別によって「発情」にも違いはあるのでしょうか。今回は犬の発情に関する基本知識や、発情中の注意点、避妊・去勢手術のメリットやデメリットについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください!
加藤 憲一 先生
相模原プリモ動物医療センター院長
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
麻布大学附属動物病院腫瘍科専科研修医
●資格:獣医師/日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種
●所属:日本獣医がん学会
●主な診療科目:一般診療(外科・内科)/腫瘍科/画像診断科
犬の発情期とは?
【メスの発情期】特有の行動や特徴とは?
メスの発情期の特徴は?
なお発情期は、メスのみに見られる現象です。発情期前後になると、メスの心と体にはさまざまな変化があらわれます。
発情期前後の心と体の変化
気分が落ち込み、元気がなくなる時期。食欲が落ちたり、外陰部が膨らんで出血が始まったり、頻尿になることもあります。
発情期(約11日間)
発情期に入ると出血量が減り、やがて止まります。排卵が起き、元々の性格としてほかの犬を苦手に感じて避けたりしがちな犬でも、この時期にはほかの犬に対して自ら積極的に近づいたり、お尻を向ける仕草をすることも少なくありません。オスを探して落ち着きがなくなります。
人間に対する行動も変化することがあり、反抗的になったり、逆に甘えん坊になったりすることも。この時期に鳴き声や夜鳴きに悩む飼い主さんも多いようです。
妊娠期(約2カ月間)
発情期に妊娠が成立すると約2カ月の妊娠期に入ります。
発情後期(~約60日間)
発情期前期~発情期に見られた症状や行動の変化は徐々に弱まり、外見上は落ち着きを取り戻しますが、体の中では妊娠期に近いようなホルモンの変化が継続している時期です。そのため、ホルモンの影響で偽妊娠の症状が現れる犬もいます。
休止期(発情期終了後~次回発情期前期まで)
発情後期の期間を過ぎ、発情に関わる症状や行動の変化が見られなくなる時期です。ホルモンバランスが元に戻り、心身ともに落ち着きを取り戻します。
発情期の過ごし方や対処法
他の犬に会わないように配慮する
散歩中に未去勢のオスと遭遇すると、不要な興奮をさせてしまうことに。また、相手が去勢済みのオスや避妊済みのメスでも、フェロモンなどの刺激によって過剰に興奮させてしまうこともあります。散歩は他の犬が少ない時間帯を選ぶのが得策です。また、オシッコのニオイでも発情がわかるため、他の犬への刺激にならないよう、野外でもトイレシーツにさせて持ち帰りましょう。
マナーパンツを着用して「発情中」の目印に
メスが発情中か否かは、見た目ではわからないものです。マナーパンツをはかせることでオスの飼い主さんへの目印にしましょう。出血を受け止めたり、ニオイを抑えたりするためにも効果的です。
オシッコの失敗は仕方ないと思う
発情期に入ると、オシッコの回数や量が増えるため、普段より失敗しやすくなる傾向があります。この時期の粗相は仕方のないことだと思い、叱ったりせず、きれいにふき取ってあげましょう。
【オス】発情期の行動や特徴とは?
オスには発情期がないって本当?
オスは発情期のメスのニオイ(フェロモン)に反応して交尾が可能となるため、一度そのニオイを嗅げばいつでも発情できるということになります。不要な興奮を防ぐためには、発情期のメスに近づけないようにしましょう。
発情したオスに見られる行動や対処法
本来マウンティングにはさまざまな理由があります。特に、発情したメスが近くにいる場合は、交尾をして子孫を残したいという本能的な行動である場合が多いです。特定のメスを追いかけるようなそぶりを見せたら、すぐに犬同士を遠ざけてその場を離れてください。
・未去勢のオス同士のケンカ
発情中のメスをめぐって、未去勢のオス同士がケンカをする場合があります。大きなケガにつながる前に素早く犬同士を引き離しましょう。
・マーキング
発情中のメスに自分をアピールするためにマーキングをすることも。家でオシッコを済ませてから散歩へ行くようにしましょう。
【愛犬の避妊・去勢手術】気になるメリット&デメリット
【メスの避妊手術】手術内容とメリット&デメリット
【メリット】
・乳腺腫瘍や卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮蓄膿症などの病気の予防
・望まない妊娠を防ぐ
・発情に伴う症状やストレスの抑制
【デメリット】
・太りやすくなる可能性がある
・まれに失禁症になる
・妊娠できなくなる
・麻酔によって一時的に体調不良をおこす可能性がある
【オスの去勢手術】手術内容とメリット&デメリット
【メリット】
・精巣腫瘍や前立腺肥大などの生殖器系の病気、会陰ヘルニアや肛門周囲線腫などの病気の予防
・性格が穏やかになる
・マーキングやマウンティングが減ったりなくなったりすることも
【デメリット】
・太りやすくなる可能性がある
・子犬を作れなくなる
・麻酔によって一時的に体調不良をおこす可能性がある
子犬を望まないのなら、手術という選択肢も視野に!
発情ついてよく理解し、避妊・去勢手術も視野に入れながらベストな選択をしていきましょう。
監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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