みなさんは、犬を正しく抱っこする方法をご存知ですか? 今回は犬を抱っこする方法を画像でわかりやすく解説し、安定した抱っこのコツも解説します。さらに抱っこのメリットや重要性、抱っこに役立つスリングなどのグッズもご紹介しましょう。
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犬を抱っこするメリット
愛犬とのスキンシップ方法として、日常的に行われているのが「抱っこ」です。かわいい愛犬を抱いているときは、飼い主さんにとっても愛犬にとっても至福の時間でしょう。
さらにスキンシップとしてだけでなく、日常生活の中では愛犬を抱っこしなければならない場面もあります。たとえば散歩中に人混みや危険な道を通るとき、病院やサロンで台へ乗せるとき、ケガをして動けない犬を移動させるときなどが挙げられます。愛犬の安全を守ったり、怖がっている愛犬を安心させたりするためにも、抱っこは有効な手段です。
このように、抱っこはスキンシップの意図だけでなくさまざまな場面で活躍します。しかし、中には抱っこを嫌がる犬もいるでしょう。原因としては抱っこの方法に問題がある、愛犬との間に十分な信頼関係が生まれていないなどが考えられます。
愛犬は抱っこが好き?嫌い?
愛犬が抱っこされるのを嫌がっていないか、飼い主さんとの信頼関係が築けているかを確かめるには、愛犬の機嫌がいいときに抱っこしてみましょう。愛犬の様子は、次のどれに当てはまりますか?
- 大人しく抱っこされている
- 抱こうとすると逃げる
- イヤそうにバタバタ暴れる
この中で愛犬との絆がもっとも強いことがわかるのは、もちろん「1」の反応です。大好きな飼い主さんとのふれ合いは、犬にとってもうれしいこと。大人しく身を預けてくれるのは、飼い主さんとの信頼関係が構築されているからといえるでしょう。
しかし愛犬が「2」や「3」の行動をとるようなら、信頼関係が成り立っていないかもしれません。もしくは安定した抱っこができていないなど、
抱っこされること自体にいいイメージを持っていない場合も考えられます。
抱っこすることの重要性
上でご紹介したように、抱っこはスキンシップをとるときだけでなく、危険回避のためや移動時にも役立ちます。主に以下のようなシーンは、犬を安全に抱っこする必要があります。
- 動物病院やサロンで安心させたいときや、診察台にあげるとき
- 災害避難時や避難場所で犬をセーブしておかなければいけないとき
- ペットを抱きかかえて入店できる店へ入りたいとき
散歩中に抱っこが必要なシーンはある?
中には散歩中にも抱っこが必要となるシーンがあります。以下のような場面で愛犬をスムーズに抱っこできるよう、日頃から慣らしておきましょう。
- 人混みや交通量の多い道で、犬を歩かせるのが危険なとき
- 散歩中にほかの犬とトラブルになりそうなとき
- 水たまりやぬかるみ、熱くなったアスファルトの上を通りたいとき
わがままにする抱っこはNG
中には抱っこが大好きで、飼い主さんに抱っこをせがむ犬もいます。散歩中、足に飛びつくように抱っこをねだってきたり、家事の最中にひざに乗ってきたりする犬もいるでしょう。おねだりする様子がかわいくて、つい抱っこしてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかしその要求に応え続けていると、犬がわがままな性格に育ってしまうこともあります。要求を常に受け入れることで、犬は「飼い主さんは何でもいうことをきいてくれる」と勘違いします。そのため要求が満たされないと「なぜ?」と混乱してしまい、無駄吠えや攻撃行動へとつながるおそれも考えられるのです。
問題行動につなげないためには、「抱っこが必要」と判断したとき以外は我慢させることも必要です。愛犬が抱っこをせがんできたときは、オスワリなどのコマンドを出し、できたら褒めるなど気をそらす工夫をしてみましょう。愛犬をわがままに育てないためにも、我慢を覚えさせることが重要です。
正しい抱っこのコツは安定させること
小型犬の抱っこ方法
Step1:かがみ込み、犬の体の側面から片手を犬のお腹の下へくぐらせます。
Step2:もう片方の手を犬の股の間から、お腹の方へくぐらせて支えます。
Step3:犬の胸辺りを抱えるようにしながら、ゆっくり立ち上がり体勢を整えます。このときはできるだけ、犬の体が地面と平行になるように抱っこしましょう。
Step4:犬を抱きあげたら脇を締め、犬と体を密着させるようにして抱き寄せます。前足側を支えている腕を犬の背中に回すようにすると、安定して抱っこできますよ。
中型犬の抱っこ方法
Step1:犬の側面で立てひざの体勢をとります。そして、前足の後ろあたりに片手を添えます。
Step2:前足の後ろ部分に添えた手で犬の胸元を抱えながら、もう片方の手でお尻から太ももにかけて支えるように抱きかかえます。
Step3:その状態で一度体を起こし、片ひざをついたまま背筋を伸ばします。この順序で抱っこしていくと重心が腰にかからず、重さがある中型犬でも比較的楽に抱っこすることができるでしょう。
Step4:そのままスッと立ち上がり、犬の体を引き寄せます。片手を胸辺りから背中へ、もう片方の手はお尻あたりに添えてしっかりと支えてあげると、犬も安心できる安定した抱っこになります。
また、椎間板ヘルニアを予防するためにも正しい抱き方はとても大切です。くわしい内容は以下の記事をご覧ください。
抱っこに役立つグッズとは?
「愛犬を抱っこしたいけれど、長時間抱いているのは大変」という飼い主さんには、犬用スリングなどのお役立ちグッズがおすすめです。以下のようなグッズを日常生活に取り入れてみましょう。
スリングは愛犬と密着しながら使える
人の赤ちゃんを抱える際にも利用されるスリングは、犬用も販売されています。犬用スリングは、肩から斜めがけする抱っこひものようなもの。飼い主さんと密着できるため犬が安心しやすく、飼い主さんは両手が使えるのがメリットです。
デメリットは片方の肩に重さがかかる点。体重が軽い小型犬向きでしょう。
smiledog「オリジナルドッグスリング」
【Amazon】smiledog ドッグスリング 犬 抱っこ紐 スリング 小型犬 中型犬 10kg ペットスリング バッグ (長さ調整可能) 3,980円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
外側には丈夫な綿の生地を、内側には肌触りがいいメッシュ生地を採用したスリング。10kgまでの犬を抱っこできます。スリングの底には飛び出し防止用のループが付いていて、犬の安全も守りますよ。紐の長さは調節可能なので、犬の大きさに合わせて変更しやすいでしょう。家で使っても、お出かけの際に使ってもOKです。
犬用リュックは両手が自由に使えて便利
犬用リュックはお出かけに便利。リュックタイプの一番のメリットは、両肩で犬の体重を支えられることです。中型犬ならこのタイプがおすすめ。また、両手も自由に使えるでしょう。
デメリットとしては、スリングのように小さくたためないこと。必要がなくなっても、その形状のまま持ち運ぶことになります。
RURUPETオリジナル「はぐキャリー」
【Amazon】RURUPETオリジナル【はぐキャリー】デニムカラー 抱っことおんぶ兼用抱っこ紐 スリング (ダークブルー(デニム), S) 2,640円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
抱っことおんぶの両方で使える、リュック型のハグキャリーです。肩パット付きで肩のくい込みを防ぎ、クロスした肩紐で安定感があります。愛犬が痛くならないよう、首元や足口はふわふわ素材でできています。サイズはSからXLまでと、中型犬にも対応できるサイズ展開です。
犬用カートはシニア犬や多頭飼いに
カートはシニア犬の飼い主さんや、多頭飼いをしている飼い主さんにおすすめです。犬を乗せて出かけられるので、遠くにお出かけする際にも重宝するでしょう。しかし段差が多い場所や狭い場所では、扱いが難しいかもしれません。
エアバギー「STANDARD MODEL DOME2 SM」
【Amazon】AirBuggy for Pet(エアバギーフォーペット) ドーム2 ブレーキ付 タンゴレッド SMサイズ 60,500円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
犬の重さをしっかりと支えてくれる丈夫なアルミフレームに、衝撃吸収性の高いタイヤを使用したカートです。ハンドブレーキも付いているので、下り坂でも無理なく進めるでしょう。犬が入る「コット」と呼ばれる部分は取り外せるため、キャリーバッグとしても使えますよ。天井の取り外しも可能です。
犬用キャリーバッグは種類が豊富
犬用キャリーバッグにはいろいろな種類があります。公共交通機関を使った移動に役立つのは、トートバッグタイプの肩掛けバッグ。小型犬や、比較的小さめの中型犬に適しているでしょう。
また「お出かけに役立つアイテムがほしいけれどカートでは大きすぎる」というかたには、キャスター付きの犬用バッグもおすすめ。キャスターが付いているので、転がして楽に移動できます。
アイリスオーヤマ「4WAYペットキャリー」
【Amazon】アイリスプラザ ペット用キャリーバック 4WAY ペットキャリー ブラウン 5,182円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
犬用キャリーバッグとしてはもちろん、リュック、キャスター付きバッグ、肩掛けバッグとしても使える4WAYタイプ。これひとつでさまざまな使い方ができるでしょう。フカフカでやさしい触り心地の中敷きや、飛び出し防止リードも付いています。メッシュ窓で通気性がいいのもポイントです。
こちらの記事では、ほかにもたくさんのお役立ちアイテムをご紹介しています。
抱っこで愛犬との絆を深めよう
愛犬を正しい姿勢で抱っこすれば、犬も安心して身を任せてくれるでしょう。抱っこは飼い主さんとのスキンシップに欠かせないうえ、愛犬の安全を守るためにも役立ちます。メリハリを付け、正しく抱っこしてください。
参考・写真/「いぬのきもち」2016年3月号『目的や体型別のキホンを知っておこう 愛犬が落ち着くなで方&抱っこ』
参考/「いぬのきもち」2016年7月号『もっとイイ関係を築ける方法も伝授 愛犬との絆を試す10のテストやってみて!』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/松本マユ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。