ウンチは健康のバロメーター。1日ウンチをしていないとこれって便秘なのかな?病院へ行くべき?と不安になりますよね。今回は、健康なウンチの見分け方から、便秘の症状や予防・解消法、便秘から考えられる病気についてご紹介します。
愛犬の便秘基礎知識:健康なウンチはどんなウンチ?
犬も人同様に食べたものが体の中を通り、必要な栄養と水分を吸収した後、残りがウンチになって出てきます。そして体のどこかに異常があるとウンチにも異変が生じるため、健康管理のバロメータとして活用できるのです。愛犬のためにも毎日ウンチのチェックをして、体の異変を早い段階で発見してあげましょう!
〜健康ウンチはどんなウンチ?〜
・固さ
つまんでも崩れず、トイレシートにも跡が残らない固さがベスト。
・色
こげ茶、茶褐色、黄土色なら問題ありません。真っ黒やグレー、白、赤色が混じったウンチが出たら要注意です。
・量
1日2回〜3回。普段から観察をして平常時の量を把握しておきましょう。
・ニオイ
毎日のウンチのニオイをチェックしましょう。いつもよりも強い、生臭いなど普段のニオイと異なる場合はSOSサインです。
便秘ウンチの特徴は?
「いぬのきもち」2017年6月号『愛犬のウンチで健康チェック』
水分量の少ない粒状のコロコロしたウンチが出た場合は、便秘の可能性があります。1日程度の便秘なら大丈夫ですが、あまり放っておくと腸が便の水分をどんどん吸収し、さらに便が固くなって便秘が悪化することも。そうなる前に早めに便秘解消の対策をとっていきましょう!
犬が便秘になる原因は?
犬が便秘になってしまう原因はいくつかあります。今日はウンチがでなかったなと思ったら、思い当たる原因はないか確認してみましょう。
愛犬の便秘の原因1. 食事や水分不足
普段よりも水分の摂取量が少ないときやフードを変えたばかりのころは、便秘になりやすい傾向にあります。もしくは年齢に合っていないフードを与えていると、腸内環境を悪化させる原因となることも。
愛犬の便秘の原因2. 運動不足
激しすぎない適度な運動によって副交感神経が刺激されると、胃腸の働きは活発になります。また、腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になるため、排便が促されます。しかし、運動不足から胃腸の働きが低下すると、便秘になってしまうことがあります。また運動不足が長く続くとお腹や足腰の筋力も落ちるので、高齢になるのに伴い充分にいきんだり踏ん張ったりすることが困難になることも。
愛犬の便秘の原因3. ストレス
引っ越しや、新しく迎え入れた子犬など、環境の変化などで強いストレスを感じると自律神経が乱れ、便秘になることがあります。
愛犬の便秘の原因4. 腸内環境の悪化
腸は食べ物から栄養を吸収する大切な器官です。腸内環境が悪化すると便秘になったり、下痢になったり、体調不良を起こしてしまうこともあります。腸内環境を整えることは、健康への第一歩です。
愛犬の便秘の原因5. 老化による便秘
シニア犬になると、体力の衰えによる運動不足や、水を飲みに行くのを面倒がることで水分不足になり、便秘になってしまうことがあります。
愛犬の便秘予防&改善対策をしよう!
便秘が数日以上続くなら、便秘改善の対策をしてみましょう。それでも改善されない場合は獣医師へ相談してください。
愛犬の便秘予防&改善対策1. 食事&水分
腸内の善玉菌を増やす食品をフードに混ぜて与えるのも、便秘解消に効果的です。善玉菌は増加していくので、継続して与えてください。アレルギーや持病がある犬は必ず獣医師に確認して、1日に与える種類は1〜2種類程度にしておきましょう。
※以下の量は5kgの健康な犬の場合の目安です。
〈乳酸菌〉
ヨーグルト:1日小さじ2杯程度。無糖タイプのプレーンを選んでください。
納豆:一日小さじ1杯程度。潰して与えてあげると消化にも良いでしょう。なお、タレやからし、ネギ等は絶対に入れないでください。
〈オリゴ糖〉
バナナ:1日20g程度。皮をむいて与えます。
さつまいも:1日15g程度。食物繊維も含まれており便通に良いですが、一方で糖質も多いので与え過ぎに注意しましょう。茹でたり蒸したりして小さく切ったものを与えます。
〈食物繊維〉
大根:1日5g程度。生でも加熱しても与えることができます。すりおろしたり小さく切ったりして与えましょう。
りんご:1日20g程度。低カロリーで食物繊維を多く含みます。減量中のおやつにも良いでしょう。
シニア犬の場合は、食事からなるべく多くの水分が取れるように、ウエットタイプのフードに切り替えたり、ドライフードを水に浸したりして与えてあげるのもいいでしょう。
愛犬の便秘予防&改善対策2. サプリメント
腸内環境を整えるには日頃の食生活を改善することが重要ですが、もっと手軽に摂取できるのがサプリメントです。ウンチの状態の改善や毛ツヤ、免疫力のUPが期待できる商品もあります。
愛犬の便秘予防&改善対策3. ツボマッサージ
便秘や下痢には、腸の働きを整える「大腸兪(だいちょうゆ)」と「小腸兪(しょうちょうゆ)」の2つのツボが効果的です。大腸兪は背骨を挟んで2箇所あり、しっぽの側の肋骨から突起を5つ分しっぽ側に下りたところにあります。そこからさらにしっぽ側に進んだ、骨盤に当たる部分が小腸兪です。大腸兪から小腸兪までを両手の親指で背骨を挟むようにした状態で、5秒程度かけてゆっくり20〜30回押しましょう。
【愛犬の便秘】こんな症状なら病院へ!
たかが便秘とあなどっていると、意外な病気が潜んでいる可能性もあります。愛犬がぐったりしている、元気がない、お腹に触れると痛がり身体を丸める、嘔吐などの症状が見られるときは、ただの便秘ではない可能性もあるので注意が必要です。
腸閉塞
犬は食道の太さに対して腸のほうがやや細いので、愛犬が何かを誤飲・誤食してしまうと、腸を通過できず途中で詰まってしまうことがあります。腸閉塞になると、はげしい嘔吐やぐったりとした様子が見られるのが一般的です速やかな治療が必要になることがほとんどですが、まれに強い症状を示さず便秘や脱水の症状が見られることもあるようです。
巨大結腸症
猫での発症が一般的ではありますが、名前の通り腸の働きが悪くなって内容物が溜まってしまい、大腸が膨れてしまう病気です。便秘を繰り返すうちに便が腸に溜まってしまい、結腸が拡大してしまうのです。
そのほか、会陰ヘルニアによる排便障害などもあります。
便秘は日頃のケアで、ある程度の予防・改善はできるので、愛犬の健康のためにも意識しておきましょうね。
参考・写真/「いぬのきもち」2017年6月号『愛犬のウンチで健康チェック』(監修:南直秀先生)
参考/「いぬのきもち」2016年4月号『愛犬ツボMAP』(監修:石野 孝先生、相澤まな先生)
「いぬのきもち」2017年11月号『腸内環境・筋トレ・脳トレが健康寿命を伸ばす秘訣だった!』(監修:西川文二先生、深田恒夫先生、横山恵理先生)
「いぬのきもち」2018年2月号『トイレのお悩み丸ごと解決』(監修:南 直秀先生)
「いぬのきもち」2016年11月号『犬のウンチ・オシッコができるまで』(監修:野矢雅彦先生)
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。