災害発生時に、避難所ではなく自宅で避難生活を送るのが在宅避難です。いつ起きるかわからない災害に備えて、在宅避難のための「おうちシェルター」づくりについて、ペット防災危機管理士の鈴木清隆さんに聞きました。
災害時の避難方法のひとつとして愛犬との在宅避難も考えよう
イラスト/井上明香
災害時に大きなよりどころとなる避難所。ただ災害はある日突然起きるもの。愛犬だけで留守番をしているときに起きるかもしれません。また新型コロナウイルス感染症の流行以降、収容人数を削減している避難所も。そんなとき、在宅避難という方法がとれると安心。そのためには自宅を、身の安全を守れるほど丈夫で、生活用品や食料が備わった「おうちシェルター」にしておく必要があります。
おうちシェルターとは
自宅を避難所・防災倉庫にすること。各部屋に必要なものを備えたり、安全対策を施したりすることで、災害時に在宅避難可能を目指します。
おうちシェルターのメリットは?
・避難所より、人も犬もストレスがかかりにくい
・愛犬のすぐ近くにいられる
・吠えたりニオイがしても、周囲に気をつかわなくてすむ
・プライバシーが守られる など
環境や状況が許すなら、在宅避難のメリットは意外にも多いもの。そのためにも、たとえライフラインが止まっても、目安として最低2週間、できれば1カ月間は、愛犬と自宅で過ごせる備えが必要です。
ただし、こんなときは迷わず愛犬を連れて避難所へ!
・自宅や周辺の家が倒壊、焼損する危険がある
・自宅に備蓄がない、なくなった
・ライフラインの復旧が見込まれない
・飼い主さんの体調が悪化した
・自宅が浸水する危険がある
あらかじめハザードマップで自宅と周辺の浸水リスクを確認し、いざ大雨のときは天候が悪化する前に避難します。「浸水の危険がある地域には、最悪2週間近く水が引かない場所も」と鈴木先生。自宅では危険と感じたら、愛犬を連れて避難を!
〝わが家仕様〞の防災対策を考えよう
たとえば「多頭飼いなので2頭分の備蓄が必要」「家の近くに川が流れているから水害対策をしっかりしておく」など、備えるべきことやものは各家庭で異なります。もし明日からライフラインが止まったとしたら、自分と愛犬に何が必要か? そんな想像をしてみると「わが家の防災対策」が見えてくるでしょう。
災害はいつ起きるかわからないからこそ、すぐにでも愛犬との自宅避難、防災対策について家族で話し合ってみましょう。
お話を伺った方/一般社団法人全日本動物専門教育協会(SAE)ペット災害危機管理士®統括責任者。特定非営利活動法人ペット災害危機管理士会理事長。鈴木清隆さん
参考/「いぬのきもち」2025年3月号『おうちシェルターのつくり方』
イラスト/井上明香
文/いぬのきもち編集室