ふわふわで愛らしいポメラニアン、飼いたいと考えている方も多いことでしょう。ここでは、ポメラニアンの生態から飼い方のコツ、注意したいトラブルやその対処法まで、ポメラニアン初心者が知っておきたい情報を詳しくご紹介します!
ポメラニアンってどんな犬?性格はオス・メスで違う!
ポメラニアンの性格・性質
ポメラニアンは甘えん坊で、飼い主さんと過ごす時間が何よりも大好きな犬種です。抱っこしてなでてもらうと幸せそうな表情をするなど、他の犬より感情が読みやすいのも特徴です。利口でしつけがしやすいので、初心者でも比較的飼いやすいと言えるでしょう。
ただし、攻撃的な一面もあるため、しっかりしつけないと無駄吠えや噛むなどの問題行動を起こしてしまう場合があるので注意してください。
オスとメスで性格や能力が異なる!
男性ホルモン「テストステロン」を多く持つオスは、メスよりも警戒心が強く吠えやすい傾向にあります。また、メスよりも体が大きい分食欲が旺盛で、体臭も強めです。
一方メスは、状況に応じて行動を変える傾向が強く、素直で単純な一面のあるオスより賢い性格をしています。その他にも、メスの方が甘え上手で、コミュニケーション能力が高いと言われています。
おさえておきたい飼育方法!コツや注意点は?
必要な室内環境
ロシア原産のサモエドが先祖と言われるポメラニアンは、密集した被毛のおかげで寒さに強いと言われています。しかし、乾燥・高温多湿に弱いため、クーラーや加湿器で適度な室温や湿度に保ってあげる必要があります。
また、骨や関節が弱いため、少しの衝撃で骨を折ったり足を痛めたりする恐れがあります。足をつまずかせる家具や段差は取り除き、マットやカーペットなどで滑りにくい床づくりをしてあげましょう。
散歩量
小さい体をしていますが、遊ぶことや運動が大好きな犬種です。ストレス発散にもなりますので、室内で遊ぶ時間や散歩の時間を毎日作るようにしてください。散歩は1日20~30分を2回、朝夕と時間をあけて行うのが理想です。運動量が足りなさそうなときは、室内遊びで補ってあげましょう。
食事回数
年齢によって食事回数や与える量は異なります。青年期は1日2回、子犬期は消化不良を起こしやすいため、少ない量を3回に分けて与えるのが良いと言われています。しかし、体重や体型によって必要なカロリーが異なるため、獣医師と相談しながら量やドックフードの種類を調整するのが望ましいでしょう。
必要な手入れやケア
ポメラニアンのふわふわとした被毛は、抜け毛や毛玉ができやすいです。スリッカーブラシとペット用コームで毎日ブラッシングして、毛のもつれや毛玉を防いであげましょう。ただし、スリッカーブラシは正しい持ち方と使い方をしないと皮膚を傷つけてしまいますので、購入のお店や動物病院、トリミングサロンなどで教えてもらうといいでしょう。また、月1~2回のシャンプーで、汚れを落としてあげるのも大切です。シャンプー後はタオルとドライヤーでしっかり乾かしてあげてください。
その他、ケガや病気の予防のために、爪切り、耳そうじ、歯みがき、涙の多いコは涙やけのケアも必要となります。以下の期間を目安に、お手入れやケアをしてあげましょう。
・爪切り…床に爪がついたとき、月1~2回を目安に行う。
・耳そうじ…月1~2回を目安に、専用クリーナーで拭きとる。
・歯みがき…できれば毎日、少なくても2~3日に1回、前歯→奥歯の順番でみがく。または、歯磨きガムの利用。
・涙やけケア…できれば毎日、目の下の涙をガーゼで拭きとる。
慣れていないと嫌がる可能性があるので、触れることに少しずつ慣れさせてからお手入れしてあげてくださいね。
しつけ方法
気が強いポメラニアンは、甘やかしすぎると自己主張が強くなりすぎる、わがままになるなどの恐れがあります。日ごろから「アイコンタクト」や「マテ」などのコマンドを活用して、スキンシップや遊びの中でトレーニングすることが大切です。
また、おとなしく静かになったときにおやつを与えてほめてあげると、吠えないことがイイコトだと覚えるようになるので、しつけとしても効果的です。
注意!ポメラニアンはこんなケガや病気にかかりやすい!
小さな体つきのポメラニアンは、病気やケガのトラブルが起きやすいです。原因がわかっていない病気も多いため、定期的な検査や予防が大切です。
外耳炎
アレルギーや細菌、耳に異物が混入することで起こる、外耳に炎症や腫れ、かゆみが出る病気です。外から見えるところに耳アカがつき、耳のニオイがひどくなるなどの症状が出ます。耳をかいたり頭を振ったりするしぐさを頻繁に行うようであれば、外耳炎の可能性があります。
定期的な耳そうじで耳を清潔に保つことが、外耳炎の早期発見と予防につながります。耳アカの色が変化していないか、耳が腫れていないかなどの健康状態のチェックは毎日行ってあげてください。
気管虚脱
6~8才以降の中高齢の小型犬がなりやすい病気で、丸いはずの気管がつぶれてしまうことで呼吸がしづらくなります。「ガーガー」とセキをしたり、口を開けたまま苦しそうに呼吸したり、舌が紫色になるなどの症状が現れます。
肥満でのどに脂肪がつくことで発症する場合があるので、適正体重を維持することが大切です。また、気管を圧迫させないよう、首輪ではなくハーネスで散歩させるなどの対策も必要となります。
アロペシアX
「ポメラニアン脱毛症」とも呼ばれる、頭と足の毛を残して胴体の毛が抜けてしまう病気です。原因がわかっていないため、予防や治療法が確立されていないのが現状です。かゆみや炎症などの体に負担のかかる症状は出ませんが、病院で経過を見てもらうことをおすすめします。
僧帽弁閉鎖不全症
中高齢の小型犬に多い病気で、心臓の弁がしっかり閉じなくなることで血液が逆流してしまう病気です。セキが出たり、呼吸が荒くなったり、今までできていた運動を嫌がったりするなどの症状が現れます。基本的には完全に治すことができない病気のため、定期的なケアや適正体重の維持など、発症しないための体調管理が大切です。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨(しつがいこつ)と呼ばれるひざのお皿部分がはずれて、歩き方に異変が起こる病気です。足を1本上げてスキップするように歩く、後ろ足をかばうように歩く、後ろ足がX脚や内股に見えるなどの症状が現れます。
ひざに負担がかかることで発症するため、適正体重を維持することが大切です。また、飛びつかせたり、高い場所からジャンプさせたりなどの激しい運動は控えるようにしてください。
骨折
小さく骨が細いポメラニアンの足は、ちょっとした衝撃で折れてしまいます。足を引きずるように歩く場合は、すぐに病院に連れていきましょう。ソファーやイスには上らせない、段差や高いところからジャンプさせないなどの予防が大切です。
飼いやすいだけじゃない!ポメラニアンだから起きやすいトラブルと対処方法
興奮しやすく吠えやすい
おねだりするために飼い主さんに向けてよく吠えますが、吠えている自分の声でより興奮して、いつまでも吠え続けてしまうという特徴があります。「アイコンタクト」や「オイデ」で飼い主さんに注目させて、要求から気をそらせて吠えないようにさせるのが大切です。
神経質で犬見知りしやすい
少しの物音にも敏感に反応する神経質な一面があるため、チャイムの音や見知らぬ来客者に警戒して吠えたりすることがあります。昔、貴族の寝室で番をして異変を知らせる「ベルドッグ」として仕事をしていたため、吠えやすい性質を持っていると言われています。また、犬見知りしやすく、他の犬が近づくといなくなるまで吠え続ける場合があります。
抱っこしたり、ハウスに入れて別室で待たせたりするなど、興奮や警戒心を落ち着かせてあげましょう。犬見知りで吠えてしまう場合は、アイコンタクトで飼い主さんに注目させ、他の犬に注意がいかないようにするのが効果的です。
好奇心旺盛で何でもかじる
好奇心旺盛で周りの物への関心が強いため、何でもかじろうとする傾向があります。特に子犬期は何でも口に入れようとするため、誤飲誤食をしてしまう恐れがあります。危険な物は床や見える場所に置いておかず、ポメラニアンの届かない棚や引き出しにしまうようにしましょう。
慣れないことをされると、うなったり噛んだりする
慣れないことを無理強いされるのが苦手なため、嫌がっていることを無理やりやろうとするとうなったり噛んだりします。中でもお手入れや抱っこを嫌がることが多いため、おやつを与えながら少しずつ慣らしてあげるのが大切です。
ポメラニアンは比較的初心者でも飼いやすい犬種と言えますが、性格に合ったしつけや接し方、必要な環境やケア方法をしっかり理解する必要があります。
事前の予備知識なく自身の判断だけで飼おうとすると、さまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。実際にポメラニアンを飼う際は、情報収集をしっかり行い、獣医師などの専門家と相談しながら飼育してあげてください。
参考/「いぬのきもち」特別編集『ポメラニアンとの暮らしがもっと楽しくなる本』(監修:「Can!Do!Pet Dog School」代表 西川文二先生、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授 武内ゆかり先生、ドッグトレーナー 戸田美由紀先生、フジタ動物病院院長 藤田桂一先生)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/pigeon
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。