愛犬が遊ぶような感じで人の手や足に噛みついたり、家具を一心に噛んでいたり……。子犬特有の「あま噛み」はタイプによって対応が変わるのだそう。今回はむずがゆさから何かを噛まずにいられない「ムズムズ噛み」の対策をしつけインストラクターの井原亮先生に教えていただきました。
歯の生え替わりがむずがゆくて何かを噛まずにはいられない「ムズムズ噛み」
子犬のころは、基本的に噛んで遊びたいという気持ちがあります。さらに歯が生え替わる4〜8カ月齢のころは、歯がムズムズして、それが気になって、どうしても何かを噛まずにはいられなくなることがあります。そのため、人の手や足などの動くものよりは、長い時間噛んでいられる家具などを噛みがちです。
【ムズムズ噛みの特徴】
・動かないものを噛む(机やイスの脚、スリッパ、壁、カーペットなど)
・少しかためのものを噛む
・物を噛んで、ずっと噛み続けている
・ガムを噛むときのような、奥歯を使った噛み方をする など
物を出すなら犬を出さない。犬を出すなら物をしまう
ムズムズ噛みをする犬は、テーブルやイスの脚など動かないものに執着する傾向にあります。片づけられるものは極力片づけ、噛んでいいものや噛むよりもいいことを犬に教えましょう。
噛んでいるものから注意をそらす
愛犬がテーブルやイスの脚などを噛んでいるところを発見したら、まずはその行動を止めるのが肝心。声や音で、犬の注意を噛んでいるものからそらしましょう。
犬の名前をはっきりと呼ぶ
大きな声で、はっきりと犬の名前を呼んで。飼い主さんが好きな犬にとっては効き目大。飼い主さんのほうに近づいてくるはず。
音で注意をそらす
聞き慣れない音を立てることで犬の注意をそらします。かしわ手を打つように手をたたいて、犬が振り向くくらいの音を立てて。
長く噛んでいられるアキレスなどを与える
歯の生え替わりのムズムズ感を解消させるために、ある程度の時間噛んでいられるものを犬に与えます。誤飲防止のため飼い主さんが見守ることも忘れずに。
犬が単独でしばらく噛んでいられるフードや専用のおもちゃを与え、歯のムズムズ感を紛らわせてあげて。飼い主さんが相手をしてあげてもOK。
●おもちゃ
噛むために作られた木製やナイロン製などのおもちゃを与えて、噛む欲求を解消。
●アキレス
馬肉などを使ったおやつ。噛みごたえがあり、ムズムズ噛みにはぴったりです。
●ゴム製おもちゃ
おやつを入れる穴にチーズなどを塗ると、それを食べようと噛んだり、なめたりします。
犬をハウスから出すときはリードをつける
犬が噛むものをどうしても片づけられないという場合は、犬を室内でフリーにさせずリードをつけましょう。いざというときは、犬が噛む前にストップをかけられます。犬にリードをつけて室内で遊んだり、おやつをあげたりします。物を噛むよりも、飼い主さんのそばでいっしょに遊んでいるほうが楽しいと犬が学習します。
物は片づけるか、囲うか、苦味スプレーをかける
犬に噛んでほしくないものは犬が触れないところに片づけて。片づけられない場合は、サークルや苦味スプレーなどを使って、犬の行動を制限・制止する工夫を。
噛むものは片づける
室内の床に放置しているとムズムズ噛みの餌食に。室内は整理整頓を心がけ、犬の届かない棚や扉のついた収納家具にしまいましょう。
苦味スプレーを塗布
犬が噛みやすい場所には苦味スプレーをかけておきます。噛むと嫌な味がすると覚えて、犬はその場所を噛まないようになります。
サークルで囲う
犬が噛む場所に近づけないようにサークルを設置し、犬の行動を制限します。サークルを飛び越せない体長の犬に有効です。
「ムズムズ噛み」は生理的なものなので、まったく噛ませないのは愛犬のストレスに。噛んでいいものを与えるなど、上手に対策しましょう。
お話を伺った先生/家庭犬しつけインストラクター。「SKYWAN! DOG SCHOOL」代表 井原 亮先生
参考/「いぬのきもち」2023年8月号『子犬のあま噛みSTOP & CHANGE!』
写真/佐藤正之
文/いぬのきもち編集室