犬の皮膚は人より薄く、乾燥すると皮膚病の引き金になることが。特に冬は空気が乾燥しているため、ダメージを受けやすいので注意しましょう。
今回は、犬の皮膚が乾燥する主な原因や、皮膚を乾燥から守る保湿ケアなどについて、日本獣医皮膚科学会副会長の山岸建太郎先生と、トリマーの二村陽子先生にお話を伺いました。
愛犬が乾燥する原因は主に3つ
冬は空気の乾燥だけではありません。山岸建太郎先生に聞くと、犬の皮膚を乾燥させる主な原因は、以下が挙げられます。
温めすぎ
愛犬が寒くならないようにと、暖房の設定温度を高めにしたり、愛犬のハウスやベッドの近くに暖房器具を置いたりすると、空気中の水分が一気に蒸発。すると、部屋だけではなく、愛犬の皮膚やのど、眼球が乾燥しやすくなります。
シャンプーのやりすぎ
シャンプーは洗浄効果がある反面、頻度が高すぎると皮膚が本来もっている保湿成分や、刺激から守る成分まで洗い流してしまいます。適切な頻度・方法であれば問題ありませんが、やりすぎは乾燥肌の原因に。
栄養バランスの乱れ
皮膚には外敵から身を守る免疫機能があります。冬はイベントごとが多く、“おすそわけ”の機会が増えるかもしれませんが、栄養バランスの乱れは免疫機能の乱れを招くため、皮膚を乾燥から守る機能も低下させてしまうでしょう。
愛犬の乾燥を防ぐ冬の環境づくり
ここからはトリマーの二村陽子先生に愛犬の乾燥を防ぐための環境づくりについて聞きました。
愛犬の乾燥を防ぐためには、愛犬が過ごす部屋に加湿器を設置し、湿度が常に40%以上になるように調整しましょう。特に暖房器具を使う場合はマスト。愛犬の体高にあわせて温湿度計を設置すると、愛犬まわりの湿度や温度がわかりやすいですよ。
なお、ヒーターなどの暖房器具を使うときは、愛犬が近づかないよう工夫しましょう。暖房器具のまわりは特に乾燥しやすいので、近づきがちな寒がりの犬の場合は、侵入防止ゲートを設置するのがおすすめです。
すぐできる犬の保湿ケア
被毛が乾燥していると、ブラッシングをする際に引っかかって、皮膚にダメージを与えるおそれがあります。ブラッシングをするときは、保湿効果のあるブラッシングを使うのがおすすめ。皮膚のうるおいが保てるほか、毛のもつれや毛玉を防ぐことができます。
また、冬に洋服を着せる場合は、摩擦が多い素材のものはNGです。皮膚や被毛への負担が少ないものを選びましょう。綿などの天然素材のやさしい生地やアトピーに対応したもののほか、締めつけが少ないゆったりとしたサイズのものがよいですね。
うるおいをプラスするデイリーケア
最後に、二村先生に聞いた冬の乾燥から愛犬を守るデイリーケアの方法をご紹介します。
デイリーケアのやり方
- ブラッシングやホットタオルで被毛の汚れを取り除く
- 乾燥が気になる部分には保湿剤をやさしくぬり込む
全身の被毛の汚れが取れたら、肉球や耳まわり、おなかや股のまわりなど、乾燥が気になる部分に保湿剤をやさしいタッチでぬりましょう。特に乾燥が気になる犬の場合は全身に保湿剤をぬり込みます。保湿剤は愛犬がなめないように注意が必要です。
犬の冬の乾燥肌は、日々のケアで予防が期待できます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考/「いぬのきもち」2023年2月号『乾燥を放置するととっても危険! 病気・トラブルを防ぐ 冬の保湿ケア』(監修:本郷どうぶつ病院院長 日本獣医皮膚科学会副会長 山岸建太郎先生、トリミングサロンHONDEHOK運営 トリマー 二村陽子先生)
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。