犬にも人の反抗期に似た、反抗的な態度をとることがあることを知っていますか? 犬の“反抗期”は性成熟期と精神的成熟期の2回あります。今回は、精神的成熟期である2才前後のおとな犬にありがちなケースをもとに、対応策について獣医師の藤本聖香先生に伺いました。
犬の“反抗期”とは
犬も人の反抗期に似たような反抗的な態度をとる時期があり、一般的に犬の“反抗期”と呼ばれています。犬の“反抗期”は、成長過程において身体と精神が変化する時期と重なりやすいことがわかっていて、性成熟期である生後6カ月~1才前後に1回目が、精神的成熟期である2才前後に2回目の“反抗期”があるといわれています。
1回目と2回目の“反抗期”のときの対応に問題があると、3才以降でも“反抗期”のような態度をとることも。
おとな犬の“反抗期”の「あるある」ケースと対応のコツ
犬の2回目の“反抗期”である、2才前後のおとな犬によくあるケースの理由と対策をご紹介します。
名前を呼んでも反応しなくなる
知恵がつきズル賢くなってくると、無駄なことはしたくないのです。名前に反応しても意味がないという経験が続けば、愛犬は「ウザイ」と思うようになるでしょう。大きな声だったり何度も呼んだりすると、愛犬はさらに「ウザイ」気持ちに。反応すれば「イイコト」を与え、反応しなければ与えないことで、反応に意味があることを教えましょう。
反応すれば「イイコト」があり反応しなければ「イイコト」がないと教える
たとえば散歩が好きな愛犬の場合は、名前を呼んで反応したら大いにほめて散歩へ。すぐに寄ってきたら遠くまで散歩に行くなど、反応のレベルで「イイコト」をグレードアップしていくとより効果的です。逆に、反応しなければ毅然とした態度で、愛犬の顔を見ずにひとりで散歩へ行きます。心苦しいですが、厳しい態度と置いていかれることで、返事をしないことが損になると思わせましょう。
自分勝手に行動するようになった
要求が強まることもあり、自分が思うままに行動したい気持ちが強くなる傾向が。このときの犬は、なんでも勝手にしていいと思っているでしょう。“反抗期”の犬を真正面から制御しようとすれば、より反抗的になるもの。飼い主さんにアイコンタクトで「許可をとること」を教え、自分勝手な行動をセーブしましょう。
飼主さんにアイコンタクトで「許可をとること」を教える
たとえば散歩のときに愛犬が自分勝手に動く場合、散歩の際に、飼い主さんは人差し指と中指におやつをはさんでおきます。そのうえで、愛犬が興味を示しそうな人や物を先に見つけ、対象に向かって「○○だね」と言いおやつをはさんだ指を差します。愛犬が対象を見たら、そのまま指を自分の目元に持っていくと、自然にアイコンタクトができるように。アイコンタクトがとれたら「許可を与えて」その対象に近づくようにするといいでしょう。
犬の“反抗期”対応の心得
愛犬の反抗的な態度に感情的になり闘うと、火に油を注ぐ結果になるので、プラスになることは一切ありません。ただし、そのまま放置したり言いなりになったりなどの甘やかしもまたNG。飼い主さんは、冷静に俯瞰(ふかん)で愛犬を見守ることを肝に銘じましょう。
愛犬の“反抗期”を乗り越えるには、飼い主さんは闘おうとせず冷静に応じましょう。“反抗期”も成長のひとつの証なので、愛犬と一緒に乗り越えていきたいですね。
お話を伺った先生/藤井聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年6月号『飼い主さんの対応次第!? おとな犬の“反抗期”をこじらせないコツ』
文/小林けい
※記事と写真に関連性がない場合もあります。