人でいう反抗期のような時期が犬にもあることを知っていますか? 一般的に、犬の“反抗期”と呼ばれる時期は2回あるとされ、1回目が生後6カ月~1才前後の性成熟期で、2回目は2才前後の精神的成熟期だといいます。
今回は、2才前後のおとな犬に見られる“反抗期”のよくあるケースを取り上げ、対応のコツなどについて、獣医師の藤本聖香先生にお話を伺いました。
よくあるケース(1)お手入れの嫌がり具合が強まる
おとな犬の“反抗期”では、精神的な成長から、できることでも自分は嫌なことはしたくないと、主張が強まる傾向が。「嫌なことはイヤ!」と強めの反発で主張を通そうとします。
たとえば、足拭きを嫌がる場合
犬は足を握られることを嫌がる傾向が。手のひらにペット用ウエットシートなど拭くものを置いて「オテ」をさせ、それでOKとしましょう。
無理強いせずにできることを模索するのがポイント
力ずくで犬が嫌がることをしようとしても火花が散るばかりなので、飼い主さんが“反抗期”をぐっとのみこんで歩み寄りを。無理強いをせず、愛犬がどうしたらできるかを模索し、「できること」でOKとして、必ずほめて少しずつレベルアップをさせていきましょう。
よくあるケース(2)要求吠えがエスカレート
おとな犬になり経験値が上がったことで、吠えれば自分の要求が通ると確信したうえでの行動です。吠えを強くして、飼い主さんを思い通りにコントロールしようとしています。
たとえば、遊びの要求吠えの場合
「遊んで」としつこく吠えてきても無視しつづけて、要求が通らないことをわからせましょう。飼い主さんの辛抱強さにかかっています。
静かなときに遊ぶようにする
そして、静かなときを狙って飼い主さんから遊びに誘ってみてください。続けることで、静かなときに遊んでくれるとわかるようになるでしょう。
吠えたときの要求は一切応えないのがポイント
エスカレートした“反抗期”の要求吠えは、なかなか厄介なもの。飼い主さんはとにかく冷静に対応し、愛犬が吠えたら要求には一切応えず、静かなときにこちらの要求を聞けたら応えることを徹底してください。
よくあるケース(3)物に執着して離そうとしない
“反抗期”にはこだわりが強まる傾向があるので、お気に入りのものはとくに執着しがちに。絶対に奪われまいと威嚇をするなど、強気な態度をとります。
たとえば、おもちゃを離さない場合
お気に入りのおもちゃを口にくわえているときに、同じおもちゃを目の前で動かします。
同じおもちゃを遠くへ投げて
動かしているおもちゃに反応してくわえているおもちゃが口から落ちたら、動かしていたおもちゃを遠くに投げて拾いに行かせて。繰り返すことで「離す」の練習になるでしょう。
まずは「離す」トレーニングをするのがポイント
“反抗期”で執着心が強まっているときに無理やり取りあげようとすると、噛まれるおそれもあります。まずは「離す」トレーニングをし、「奪われない」とわかれば、執着心が緩和していくでしょう。
“反抗期”の犬に対しては、同じ土俵に立って闘わないことが肝心です。愛犬の反抗的な態度に感情的になると、火に油を注ぐ結果となり、プラスになることは一切ありません。とはいえ、放置したり言いなりになったりなどの甘やかしも大間違い。冷静に俯瞰(ふかん)で愛犬を見守ることを肝に銘じましょう。
お話を伺った先生/藤井聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年6月号『飼い主さんの対応次第!? おとな犬の“反抗期”をこじらせないコツ』
文/小林けい
※記事と写真に関連性がない場合もあります。