昔から人々に愛され、共に暮らしてきた柴犬は、身近な存在でありながら知られていない一面も多い犬種です。今回は、そんな柴犬の体の大きさや特徴、平均体重、サークルやクレートを選ぶポイントに加え、肥満度チェックの方法やダイエット法を解説します。
柴犬の体の特徴や大きさとは
柴犬の体の特徴
柴犬は体が頑丈で、足と胴の長さのバランスがよく、美しいプロポーションをしています。特に、真横から見るとやや前かがみに倒れている耳や堂々とせり上がった胸、まっすぐで太い足、背中の一直線のラインなどは、柴犬らしい美しさを象徴する代表的なパーツでしょう。また、素朴な表情も印象的で、日本人の雰囲気とよく合っているとされています。
平均的な大きさと理想体重
柴犬は、犬種全体で見ると「中型」に分類されますが、秋田犬や紀州、甲斐犬などの日本犬というジャンルのなかでは「小型」の分類になります。他の日本犬と比べると全体的にこじんまりとしていて、個体差にもよりますが、標準的な体重はオスが10.5㎏~、メスが8㎏~、体高はオスが39.5cm、メスが36.5cmほどです。
また、柴犬のなかには体が小さいために「豆柴(まめしば)」と称されている個体もいますが、正確には豆柴という犬種はなく、すべて柴犬というくくりになります。
柴犬に合ったサークルやクレートを選ぶポイント
犬にとってサークルやクレートは、心を落ち着かせるために必要な場所です。サークルやクレートを使って、愛犬がリラックスできる空間をつくってあげられると、急な来客時や留守番時、災害時などにも安心です。
ここでは、柴犬の体の大きさに合ったサークルやクレートを選ぶポイントをご紹介します。
柴犬のサークルを選ぶときのポイント
柴犬のサークルは、サークル内でご飯を食べたり留守番ができたりするよう、60cm×90cm程度のサイズを選ぶのがよいでしょう。素材は金属製のものが壊れにくく、丈夫だといわれています。
柴犬のクレートを選ぶときのポイント
クレートを購入するときは、狭すぎず広すぎない大きさのものを選ぶのがおすすめです。子犬のときにクレートを買う場合は、成犬になったときの大きさを見越して中型犬用のものを選ぶようにしてください。
あなたの愛犬は大丈夫?肥満度チェック!
平均的な大きさの柴犬は、腰が引き締まっていて腰のくびれが見られます。しかし、体重が増えて太ってしまうとこのくびれが目立たなくなります。
体重が平均よりも重いときは肥満に注意
個体によっても異なりますが、愛犬の体重が平均よりも重くなってしまったときには肥満になっている可能性が高いです。特に柴犬は太りやすい体質だといわれており、油断するとすぐに肥満体型になってしまうので注意が必要です。
肥満の原因と病気のリスク
そもそも、肥満とは正常な状態に比べて体重が重くなり、体内に脂肪が過剰に蓄積された状態のことをいいます。主な原因としては「過食」と「運動不足」が挙げられます。
肥満がもたらす弊害として多いのは、関節や呼吸器、心臓などへの負担です。肥満が引き金となって起こる疾患には治療が長引くものが多く、さらに心臓の病気や糖尿病などのリスクを高めたり、寿命を短くしたりすることも分かっています。
肥満度をチェックする方法
愛犬が肥満かどうかを自宅で簡単にチェックする方法として有名なのが「ボディコンディションスコア(BCS)」と呼ばれる評価法です。BCSとは、犬や猫の体を観察したり触ったりすることによって、肥満体型、痩せ体型、標準体型のどれに属するのかを確認する方法のことです。
愛犬の体を上から見たときに腰のくびれがない場合、あるいはほとんど見当たらない場合、また横から見たときに、腹部の吊り上がりが分からず垂れ下がっている場合には、肥満を疑いましょう。
他にも、胸やわき腹を軽くなでて肋骨部に手を当てたときに、厚い脂肪におおわれて肋骨を容易に触れない状態や、腰椎や背中に脂肪が沈着しているときにも、肥満のおそれがあります。
柴犬が肥満になってしまったときのダイエット法
万が一愛犬の柴犬が肥満になってしまったらどうすればいいのでしょうか。
①まずは獣医師に相談して肥満の原因を探る
BCSで測定した結果、愛犬に肥満の疑いがある場合には、まずは獣医師に相談して肥満の原因を探ることが大切です。フードの量は計量せずに与えていないか、運動はしっかりと行っているか、愛犬が喜ぶからとおやつを与えすぎていないかなどを確認して、どうしたら痩せられるのかを考えます。
②食事の摂取量を調整しよう
肥満の原因が分かったら、愛犬に与えるべきフードの量や種類、適正な摂取カロリーを獣医師に相談し教えてもらいます。その結果、フードをダイエット用のものに変えることになったら、これまで食べていたフードに混ぜながら与え、徐々に慣れさせていくことを意識してみてください。
ダイエット中に愛犬がどうしてもおやつを欲しがった際は、食事の量と合わせても一日の摂取カロリー内でおさまるガムやビスケットを与えるようにしましょう。
③健康な体を目指して体を動かそう
食事量の調整とともに行いたいのが、愛犬の体を健康に保つための運動です。運動のなかでも特におすすめなのは、ダイエットだけでなく肺活量を鍛える効果が期待できるプールエクササイズです。
愛犬をプールで泳がせるときには、飼い主さんが愛犬の胸元やわきの下に手を添え、頭が沈まないような姿勢を保持して支えてあげてください。泳いでいる最中も様子を見ながら休憩をとり、歯ぐきや舌の色で血の巡りを確認したり、呼吸や体温、脈拍に大きな変化がないかをチェックしたりすることも大切です。
食べ過ぎてもいないのに体重が増えたら要注意
関節痛や糖尿病、心臓病などの恐ろしい病気の引き金となることもある、犬の肥満。そんな肥満から愛犬を守るためには、肥満の原因を探って適切な食事制限と運動を行い、健康に痩せさせることが重要です。
ただし、愛犬が食べ過ぎてもいないのに体重が増加したりお腹が膨らんだりしている場合には、肥満ではなく心臓や肝臓の疾患、ホルモン異常などの病気にかかっている恐れもあります。もし愛犬にいつもと違う様子が見られたときや何か気になることがあるときには、早めに獣医師に相談するようにしてくださいね。
参考/「いぬのきもち」特別編集『柴犬の飼い主さん3万人の体験から作った!柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』(監修:「Can!Do!Pet Dog School」代表 日本動物病院福祉協会認定家庭犬しつけインストラクター 西川文二先生、東京農業大学農学部教授 長島孝行先生、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授 武内ゆかり先生、ジャパンケネルクラブ・日本警察犬協会および日本動物病院福祉協会認定インストラクター 戸田美由紀先生、フジタ動物病院院長 獣医学博士 藤田桂一先生)
「いぬのきもち」2016年8月号別冊『いぬのきもち+1 あれっ太ってる?かも!? 愛犬肥満解消プロジェクト』(監修:日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学教育推進室助教 岡田ゆう紀先生、日本獣医生命科学大学 大学院獣医応用生命科学研究科 獣医生化学研究室教授 新井敏郎先生、酒井獣医科病院 石神井病院 酒井道子先生、酒井獣医科病院 保谷病院 酒井譲先生)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/子狸ぼん
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。