犬にも落ち着ける自分専用の空間が必要です。今回は、室内犬にとってのケージの必要性やケージ飼いのメリット、ケージの選び方などをご紹介します。留守番のときや、入らないときなど、ケージの使い方に悩みについてのQ&Aもご紹介します。
※ここでは、家のなかでの犬の居場所を「ケージ」としています。実際には、ケージ・サークル・クレートなどを組み合わせて設置します。それぞれの違いについては下記を参照してください。犬をケージやサークルに入れたままにすることは必要なとき以外はNGです。
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室内犬をケージ飼いするメリット!犬用ケージが必要な理由
留守中や忙しい時間帯の事故を防げるから
犬は何でも口に入れて確かめる習性がありますが、家の中には危険なものがたくさんあるため、誤飲や誤食を防ぐためには人の生活空間と分けて過ごすことが大切です。また、愛犬を1日中自由にしておくと、どうしても目を離す時間ができてしまうため、イタズラや事故のリスクが高まります。外出時や忙しい時間帯にケージを利用することは、愛犬のイタズラや事故を未然に防ぐことにもつながるので、飼い主さんが感じるストレスも軽減されるでしょう。
居場所として活用できるから
犬は野生時代に穴倉で生活をしていた名残から、狭い空間に入ると落ち着く習性があります。ケージを愛犬の居場所として活用することで、安心してくつろいだり、眠ったりすることができるでしょう。
来客の際に中で待機させられるから
来客があると、愛犬をケージで待機させたいときもあります。普段から「ハウス」のしつけができていれば、突然の来客があっても、ケージの中で待機することができるでしょう。
災害時にも落ち着いていられるから
地震などの自然災害が起きたときは、飼い主さんも犬も落ち着いて行動することが大切です。普段からケージやクレートなどに慣れさせ、そこが落ち着いて休める場所になっていると、災害時も犬がストレスを感じにくくなるでしょう。万が一避難所で生活することになっても、ケージが愛犬の落ち着く居場所になります。
愛犬にとってベストなケージの選び方
ケージとサークルの違い
ケージとサークルは曖昧な使われ方をすることがありますが、一般的にケージは上下左右が柵に覆われて折りたたみできるものを指し、サークルは囲み用の柵を指しています。ケージは一時的な預かりや移動に使用することが多いですが、サークルは室内でスペースを確保するために使われることが多く、屋根付きのものやあとから屋根を付け足せるもの、つなげて広げられる「ジョイントサークル」も存在します。
大きさや高さの目安
犬はトイレから離れた場所を寝床にする習性があるため、ケージやサークルを選ぶ際は、寝床とトイレを離して置ける大きさのものを用意しましょう。もし床面積が狭くて寝床とトイレが隣接していると、愛犬がくつろげず、そそうの原因となることも。また、柵から頭が出てしまうほど低いものは脱走の原因になり、屋根に頭がついてしまうと犬が落ち着けないので、犬の頭の高さより10cmほど高いものを選びましょう。
たとえば、小型犬の場合だと90cm×180cmくらいの広さがあれば快適に過ごせるでしょう。
ケージの選び方や置き方などについては、以下の記事も参考にしてみてください。
長時間の留守番にケージやサークルを使うコツ!
短時間の留守番であれば、犬は寝て過ごすことが多いですが、飼い主さんが仕事などで8時間以上家を空ける場合は、起きて過ごす時間もあります。ケージやサークル、クレートなどを使って、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
長時間の留守番には柵つきフリースタイルがおすすめ!
参考・写真/「いぬのきもち」2017年5月号『愛犬は快適、飼い主さんは安心 時間別おすすめ留守番スタイル』
愛犬を長時間留守番させる場合は、広めのスペースを用意して、開放的に過ごさせてあげましょう。危険な場所やイタズラしそうな所には柵を設置して予防します。また、地震などのときに逃げ込めるよう屋根がついたクレートも置いておくと安心です。トイレは広めにするか複数置いておけば、そそうの心配がなく、愛犬も清潔に過ごせるでしょう。
そそうやイタズラが心配な犬は、庭つき一戸建てスタイルで!
参考・写真/「いぬのきもち」2017年5月号『愛犬は快適、飼い主さんは安心 時間別おすすめ留守番スタイル』
先ほどの「柵つきフリースタイル」では、そそうやイタズラをしてしまう犬もいます。そういう場合は、トイレシートを敷き詰めたケージ(サークル)とクレートを紐などで固定し、その中で留守番させる「庭つき一戸建てスタイル」が安心です。トイレがわかりやすいのでそそうが防げますし、広範囲を警戒しなくて済むので、犬が落ち着いて過ごせるでしょう。
狭いケージやサークルはNG!
参考・写真/「いぬのきもち」2017年5月号『愛犬は快適、飼い主さんは安心 時間別おすすめ留守番スタイル』
この写真のように寝床とトイレの区別がつきにくい環境では、犬が不快に感じて排泄を我慢してしまうこともあるので、飼い主さんが帰ってきてケージやサークルから出したタイミングでそそうをしてしまう可能性も。また、クレートのような落ち着ける場所がないため、犬が落ち着かず、吠えグセがついてしまうこともあるでしょう。
以下の記事では、犬用サークルの使い方について詳しく解説しています。
ケージやサークルの利用に関する悩みの解決法
理屈ではわかっていても、いざ愛犬にケージやサークルへ入ってもらおうとすると、思い通りにいかないことも。愛犬がケージに入ることを拒んだり、ケージの中で落ち着いて過ごせなかったりする場合には、どう対応すればいいのでしょうか。
Q1.ケージに入れようとすると逃げる場合は、どうしたらいい?
犬も成長すると自己主張がはっきりしてきます。ケージの中より、外で自由に行動できるほうが楽しいと感じる場合には、中に入れられるのを嫌がるでしょう。ただ、「ハウス」を覚えることで飼い主さんとの関係性もよくなるので、愛犬に訓練して覚えさせたいです。
「ハウス」の覚えさせ方
ケージの中にフードを置き、「ハウス」の掛け声でケージの中に入れてみます。できたら愛犬をほめ、もう1粒フードを与えましょう。これを繰り返して愛犬がケージの中へ入るといいことがあると学習すると、「ハウス」ができるようになるでしょう。慣れてきたら、フードをやめて掛け声だけで試してみてください。
Q2.ケージに入れると吠える場合は、どうしたらいい?
ケージに入れたときに吠える場合は、愛犬がケージに対していいイメージをもっていないのかもしれません。「ケージから出してほしい」「飼い主さんの姿が見えなくて不安」などのさまざまな理由が考えられますが、飼い主さんが声をかけたり、ケージから出したりすると余計に鳴き続けるので、理由を考えて吠えにくい状況をつくってあげることが大切です。
中でおとなしく過ごせるようにクレートトレーニングしよう
まずは、ケージの中に愛犬が気に入っている毛布やベッドを入れて、居心地のいい環境を整えてあげます。そして、ケージの中で愛犬の大好きなおもちゃやフードを与えて、ケージにプラスのイメージを与えていきましょう。ケージにいいイメージが備わってきたら中にいる時間を延ばし、おもちゃなどを使って夢中に遊べるようになったら、そっとドアを閉めてみましょう。それでも落ち着いていられそうなら、少しずつ飼い主さんがそばにいない状況もつくってみてください。
Q3.留守番中に排泄しない場合は、どうしたらいい?
ケージの中で留守番をしている愛犬が、留守番中に排泄しない場合は、寝床とトイレが近すぎるのかもしれません。ある程度離れた場所に置かれていないと、犬がトイレを我慢してしまうことがあります。この場合にはケージの面積を広くして、寝床とトイレの距離を離してみましょう。
Q4.ケージの枠を噛んでしまう場合は、どうしたらいい?
愛犬にストレスが溜まっていたり、運動不足だったりすると、ケージを噛むことがあるようです。また、子犬であれば歯が生えかわるため、むずがゆさを感じて噛んでしまうことも考えられるでしょう。
ケージを噛むのをやめさせるためには?
ストレスや運動不足を感じている場合には、よく遊び、十分に散歩へ行くと噛む行為が軽減されるかもしれません。また退屈を感じると手近なものを噛むこともありますが、ケージはひんやりした感覚が心地いいので、好んで噛んでしまう犬も。その場合はシリコン製の噛むおもちゃなどを与えて気をそらすと、噛む機会が減るかもしれません。
【調査】「愛犬にケージを使っていますか?」
「いぬのきもちアプリ」ユーザーの犬の飼い主さんに「ケージを使っているかどうか」アンケート調査をしました。今回の調査では7割以上が使っているという結果に。
では、愛犬のケージ利用について「使っている」「使っていない」それぞれの飼い主さんの理由をご紹介します。
ケージを使っている
- 「来客時や在宅勤務の際に入ってもらうことがあるから。愛犬も留守番中は入ってるみたいで落ち着くようです」
- 「お留守番の時間があるから。トイレを中に入れているから」
- 「出かける時にケージに入って移動することが多いので、ケージが苦痛な場所では無いこと、休むための場所だということを教えるため」
- 「安心できるスペースを確保するため。災害時などに困らないように」
- 「お留守番の時と寝る時にケージを使います。理由は誤飲や外部の音で興奮した際に怪我をしないようにです。車の中でも安心して乗っていれるようケージを使います」
- 「夜寝る時、車で出かける時」
ケージを使っていない
- 「小さい頃ゲージに入れていましたが、体当たりして倒したり脱走しようとして怪我をしたので、家の中を自由に歩いてます。イタズラもなくなりました」
- 「部屋が狭いので。以前はリビングに置いて、いつでも入れるようにしていました」
- 「お留守番の時も悪さもしないのでソファに寝てるので使っていません」
- 「全く入らなくなりました。おもちゃ・おやつ・ベッド等色々やったがはいらないから」
- 「サークルを使っているので」
- 「ケージがなくても問題がないから」
- 「小さい頃はケージで留守番してたんですが、大きくなり今はサークルで仕切っています」
ケージを利用している飼い主さんのコメントでは、留守番時の安全や、災害時のために日頃から利用しているという声が多く聞かれました。また、ケージを利用していない飼い主さんの中には「過去利用していたが、現在は利用していない」「愛犬が入らなくなった」という声も。
そのときの状況に応じてケージやサークルの中で過ごすことが、愛犬のメリットとなったり愛犬を普段からケージに慣れさせておくと、いざというときも快適に過ごせるでしょう。
参考にしてみてくださいね。
参考・写真/「いぬのきもち」2017年5月号『愛犬は快適、飼い主さんは安心 時間別おすすめ留守番スタイル』
参考/「いぬのきもち」2017年11月号『犬が快適に過ごせる!しつけがしやすい!愛犬にピッタリ♪なGOODSの選び方』
「いぬのきもち」2018年4月号『愛犬の命を守るために知っておきたい!もしものときに役立つ防災準備』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
いぬのきもちWEB MAGAZINE『愛犬のケージに関するアンケート』
文/こさきはな
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。