愛犬が飼い主さんの体を執拗にクンクンしてくる…なんて経験はありませんか? 「なにか変なニオイでもするの!?」と困惑してしまうこともあるかもしれませんが、犬が飼い主さんのニオイを嗅ぐのにはちゃんとした理由があるようです。
今回、いぬのきもち獣医師相談室の先生がくわしく解説します!
犬が飼い主さんのニオイを嗅ぎまくるときの心理
たとえば、飼い主さんが外出して帰ってきたとき、さまざまなニオイが体や衣服に付着しているはずです。そのとき、犬はその飼い主さんのニオイを念入りに嗅ぐことが多いでしょう。そして一通り済んで安心すると、ペロペロと舐めてきてくれます。
犬は非常に優れた嗅覚を持っており、「認識」のためにいろいろなもののニオイを嗅ぎます。飼い主さんのニオイを嗅ぐことも、そのニオイからさまざまなことを認識したいという心理が考えられるでしょう。
犬が飼い主さんのニオイをよく嗅ぐ場所5つ
犬が飼い主さんの体をよく嗅ぐ部分としては、以下の5つが多いでしょう。それぞれ嗅ぐ理由についても見てきます。
①手
犬にとって、手のひらのニオイを嗅がせてくれる人は「敵意がない人」とみなすようです。手のニオイを嗅いだ後に舐めてくることがありますが、これは主従関係を認めた行為。お互いの信頼関係を認め、自分のご主人であることを喜び、そして従うことを示すために舐めるのです。
飼い主さんも手のひらのニオイを愛犬に嗅がせてあげて、こちらにも敵意がないことを示してあげましょう。
②足元
足元のニオイを嗅ぐ場合は、飼い主さんがどこに行ってきたのかを知りたいから。
犬にとって私たちがいつもの場所から帰ってきたのか、それともいつもとは違った場所に寄り道したのかはすぐに判断できます。特に初めて訪れた場所から帰ってきたときには、入念なニオイチェックが待っているでしょう。
さらに、私たちの足元は特有の汗のニオイがしています。その汗のかき具合やニオイの濃さなどから、体調や食べたものなどを知ることもできるのです。
③おしり、股間
犬はほかの犬のおしりのニオイを嗅ぐときに、年齢、性別、体調、気分、強さなどを判断しています。恥ずかしいことというよりも、よく相手を知ろうとするための当然の行為なのです。
おしりや股間を嗅ぐ行為は、人に対しても行います。飼い主さんのそのニオイを嗅ぐことによって、コミュニケーションをとり信頼関係を深めようとしているのです。
④口元
食事を済ませた後であれば、口元にその食べ物の情報がニオイとして残っています。飼い主さんの口元のニオイを嗅ぐときには、「自分もごはんをもらえるかな」と思っているのです。
⑤傷口など
傷口からはいつもと違ったニオイがして、薬などの独特なニオイも感じているようです。犬は飼い主さんの変化に気付き、それを調べようとして、ときには病気を見つけてしまうことも。
体のある部分をしつこく長期的に嗅ぐ場合は、その部分が病気になっている場合があるなどといったこともあるようです。
ニオイを嗅ぐ部位によっても、犬の目的は違うのだとわかります。愛犬がどんな気持ちで飼い主さんのニオイチェックをしているのか、わかるとおもしろいですよね!
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/sorami