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ネットに「犬を虐待してる」と書かれたブリーダーが起こした裁判、結果は

ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!

過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。

今回ご紹介するのは、東京地方裁判所で平成24年10月12日に判決が出た事例です。

※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

インターネット上の掲示板に、ブリーダーが悪口を書かれた!

掲示板の書き込みでは、子犬に与える食事の量が話題に

あたかも極度の食事制限をしているかのような内容が書き込まれた(イラスト/別府麻衣)
あたかも極度の食事制限をしているかのような内容が書き込まれた(イラスト/別府麻衣)
インターネット掲示板で話題にされていたのは、Aさんが育てていた子犬の毎日の食事量。ブリーダーのAさんが体重およそ500グラムの子犬に対し、1日16グラムのフードしか与えていなかったことで、「哀れすぎる」「ありえない」などの非難が書き込まれていました。書き込んでいた人たちのなかには、Aさんが「極度の食事制限」を行っており、「虐待レベルだ」と批判する人も。Aさんは、自分の与えていた食事量は適正なのに、あたかも動物虐待をしているかのような書き込みをされ、自分のブリーダーとしての社会的信用を低下させられたと主張し、インターネットを管理する通信会社に対し、書き込みを行った人の名前や住所などの情報を開示するように訴えを起こしました。

書き込みはあくまで「感想」の域を出ないとされた

裁判では、Aさんに対するネット上の書き込みが、書き込んだ人の情報を開示しなければいけないほど悪質なものであったかが検証されました。裁判所は、問題の書き込みは、あくまで子犬に与える食事量に対する感想にすぎず、Aさん個人に対する攻撃にまでは及んでいないと判断。さらに裁判所は、Aさんはその記事を削除するより、1日16グラムの、一般的に少なすぎると認められる食事以外に、子犬にベビーミルクなども与えていることを積極的にアナウンスしていくべきとして、訴えを退けました。

判決は……ブリーダーの訴えは棄却された!

書き込みはブリーダーの権利を侵害しているとは認められなかった(イラスト/別府麻衣)
書き込みはブリーダーの権利を侵害しているとは認められなかった(イラスト/別府麻衣)
愛犬に関する情報を発信したり、手軽に犬のサービスなどについての口コミ情報を得られるインターネット。ただし、書き込みの内容によっては、今回のケースのようにトラブルを招いてしまうことも。ネットへの投稿を行う前に、一度自分の書き込み内容を冷静に読み返してみるなど、節度をもった利用を心がけたいですね。

参考/『いぬのきもち』2016年2月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/別府麻衣
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