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【獣医師監修】犬にピーマンを与えて大丈夫? 与える際の注意点は

ピーマンは苦味の強い野菜ですが、犬が食べて中毒症状を起こすような有毒物質は含まれていません。栄養成分のなかには、犬の健康に役立つものも含まれています。ただし、犬によっては与える際に注意が必要です。ピーマンに含まれる栄養素とその働き、犬に与える際の注意点について紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にピーマンを与えるときは与え過ぎとアレルギーに要注意

生有機ピーマン
bhofack2/gettyimages
ピーマンには、犬の中毒の原因なるような有毒成分は含まれていないので、犬が食べてもとくに問題はありません。犬は独特な匂いを好む傾向にあるので、ピーマンの匂いにつられて食べたがる犬もいるようです。このピーマンの匂い成分は「ピラジン」という栄養素で、血液をサラサラにする効果が期待できるといわれています。そのほかにも、ピーマンにはビタミンCやβカロテン、クロロフィルといった抗酸化作用のある栄養素も含まれていて、犬の体にメリットをもたらしてくれるでしょう。

ただし、ピーマンに含まれる栄養素のなかには、過剰摂取によるデメリットが心配されるものもあります。さらに、犬の体調や年齢によっては、ピーマンを与える際に注意しなければならないことがあります。
犬の体にとってよい働きをするピーマンの栄養素、与える際に注意しなければならないこと、与える際の調理方法などを紹介しますのでぜひ参考にしてください。

ピーマンのおもな栄養素|9割強が水分、ビタミンが豊富

オレンジ色の毛足の長いクッションに顎を載せて薄目を開けている茶色の柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ピーマンに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー20kal
水分93.4g
タンパク質0.9g
脂質0.2g
炭水化物5.1g
灰分(無機質)0.4g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がピーマンを食べるメリット|豊富なビタミン・ミネラルで病気の予防とアンチエイジング

床に腹ばいになって顔をカメラのほうに向けている薄茶色のゴールデン・レトリーバー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ピーマンに含まれる栄養素のなかから、犬の体に役立つと考えられる栄養素とその働きを紹介します。

ピラジン|血液をサラサラで心筋梗塞や脳梗塞の予防

ピラジンは、ピーマンを切ったときに感じる青臭い独特の匂いの元になっている栄養素です。ピラジンには血液をサラサラにする作用があり、愛犬の血栓予防効果が期待できると考えられます。

マグネシウム|心臓、骨、歯を丈夫にして健康維持

ピーマンには心臓の健康維持や丈夫な骨や歯をつくるのに必要な栄養素であるマグネシウムも含まれています。

カリウム|利用作用と高血圧の予防

ピーマンにはミネラルのひとつであるカリウムが豊富に含まれています。カリウムには、体液の浸透圧を調整する作用があり、摂り過ぎた塩分を尿と一緒に体外に排出することで、高血圧を防ぐ働きがあるほか、正常な神経の伝達や筋肉の収縮にも役立っています。

ビタミン|健康な皮膚・骨・被毛を維持。病気予防やアンチエイジングも

ピーマンはビタミン豊富な野菜で、とくに多いのが、ビタミンC、βカロテン、ビタミンPです。

ビタミンC

ビタミンCには、 コラーゲンの合成には欠かせない栄養素で、皮膚の健康を維持するのに役立ちます。さらに、鉄分の吸収促進や解毒、ホルモン代謝をサポートする作用、強い抗酸化作用もあるので、病気の予防やアンチエイジングに役立つことが期待されます。ピーマンには、ビタミンCが豊富な野菜のひとつであるトマトと比べても、約5倍(可食部同量比)のビタミンCが含まれています。

なお、健康な犬は、自分の体内でブドウ糖からビタミンCを合成できます。そのため、従来、犬にはビタミンCの摂取は必要ないと考えられていました。しかし、最近の研究結果から犬にも「ビタミンC欠乏症」があることがわかってきました。健康な犬でも5歳を過ぎれば体内のビタミンC合成能力が低下すると考えられているので、シニア犬などピーマンなどからビタミンCの補給を図ってもよいでしょう。

ビタミンP(ヘスペリジン)

ピーマンに含まれる豊富なビタミンCの作用をより有効にするのが、ピーマンに含まれる「ヘスペリジン」というビタミンPの一種です。ビタミンPは、熱に壊れやすく安定しにくいビタミンCを体内で安定させる作用があるので、ピーマンから摂取したビタミンCを犬の体内で有効利用できると考えられます。さらに、ビタミンPには毛細血管の壁を丈夫にする作用があると考えられています。

βカロテン

緑黄色野菜であるピーマンには、βカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは、犬の体内でビタミンAに変換され、視力・皮膚・被毛の健康維持や、丈夫な粘膜や歯をつくるのに役立つ生成に役立つ栄養素です。また、ビタミンCと同じように強い抗酸化作用があり、愛犬が病気にならないよう予防する免疫力の向上や、老化を防止したりする効果も期待できます。

クロロフィル|抗酸化作用で病気予防とアンチエイジング

ピーマンの緑色の元になっているのが、葉緑素のクロロフィルです。クロロフィルには、血管内のコレステロールを吸着することで血中コレステロール値を下げ、血液の流れをよくする作用、活性酸素を除去して病気予防や老化防止に役立つ抗酸化作用があります。

また、クロロフィルには消臭殺菌効果があるといわれ、人間用の口臭予防サプリメントなどにも活用されていることから、犬の口臭予防に役立つのではと期待する声もありますが、ピーマンが犬の口臭予防に役立つのかどうかは明らかになっていません。

犬がピーマンを食べるデメリット|犬によってはカリウム、アルカロイド、アレルギーに要注意

こたつから上半身を出して上を見上げているシー・ズー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ビタミンやミネラルが豊富なピーマンですが、犬によっては与える際に注意が必要な場合があります。犬にピーマンを与えることでデメリットになりうる栄養素とその理由を解説します。

カリウム|腎臓病の犬はとくに要注意

カリウムの過剰摂取は、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあります。カリウム値が高くなると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈など体の不調をきたし、重篤な場合は命を落とす場合もあるので、注意が必要です。

とくに、腎機能が衰えているシニア犬や腎臓病を患っている犬の場合は、カリウムの排出がうまくできない場合があるので、ピーマンを与える前に獣医師に相談してください。また、心機能が低下している犬の場合も与える前に必ず獣医師に相談しましょう。

アルカロイド|消化器官の弱い犬やシニア犬は要注意

ナス科の植物に多く含まれている天然の毒「アルカロイド」。ピーマンもナス科の植物なので、このアルカロイドが含まれています。アルカロイドは下痢や嘔吐などの症状を引き起こすといわれていますが、問題になるほどの含有量ではありません。

ただし、消化器官が弱い犬やシニア犬などは、消化不良を引き起こす可能性も考えられます。犬はもともと植物性の食べ物を消化するのが苦手なので、与え過ぎないよう注意しましょう。

ナス科のアレルギー、食物アレルギーの心配も

愛犬がナスやトマトといったナス科の植物にアレルギーがあるとしたら、ピーマンを与えるのは避けたほうが安心です。ピーマンもナス科の植物なので、ナスやトマトと同様、下痢や嘔吐、皮膚の痒みなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

また、ナス科の植物にアレルギーはなくても、肉や魚などタンパク質になんらかのアレルギーがある犬にも、注意が必要です。食物アレルギーは外から体内に入ってきたタンパク質に免疫機能が過剰に反応を示すことで起こります。

ピーマンには少量ながらタンパク質が含まれているので、以前にほかのタンパク質系の食べ物で湿疹や嘔吐、下痢などの症状がみられた犬にピーマンを与えるときは注意が必要です。最初に少し与えてみて、体調に変化がないことを確認してからその後も与えるようにしましょう。

「ピーマンは関節炎を悪化させる」はホント?

鹿骨ジャーキーをかじる柴
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
「ピーマンは犬の関節炎を悪化させる」という情報を見かけることがあります。おそらく、先述したナス科の植物に含まれる天然毒素のアルカロイドを元凶として捉えていると思われますが、現在のところ、ピーマンに含まれるアルカロイドが犬の関節炎を悪化させたという報告はありません。

犬にピーマンを与えるときの注意ポイント|ヘタと種を取り除けば生でも加熱でもOK

前足を出して絨毯の上に腹ばいになり、カメラのほうを見ている薄茶色のトイ・プードル
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬にピーマンを与えるときは、以下のことに注意してください。

与えてよい部位

ピーマンのヘタや種の部分は固く、犬が消化しづらい部分なので、取り除いた実の部分を与えましょう。

与えるときの適量

犬にピーマンを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)94g~187g(2個~4個)
中型(6~15kg)215g~427g(5個~8個)
大型(20~50kg)530g~1053g(10個~20個)

※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
※ピーマン1個54g,可食部85%として計算

調理のしかた

生・加熱、どちらでも大丈夫です。消化しやすいようにヘタと種を取り除き、細かくカットするなどして与えてください。
なお、苦味成分を持つ天然毒のアルカロイドは、熱を加えることで苦味を減らすことができるので、加熱したほうが食べやすいかもしれません。

ピーマンは健康な犬なら食べても大丈夫。病気とアレルギーのある犬には与えないほうが安心

ビタミンやミネラルが豊富な緑黄色野菜のピーマン。適量であれば犬が食べてもOKです。天然の有毒物質であるアルカロイドの含有量は少なく、普通に犬が食べる程度であれば問題はありません。ただし、腎臓病の犬やなんらかの食べ物アレルギーのある犬は、ピーマンを食べることで体調を崩す可能性もあります。ピーマンに含まれる栄養素のメリットを享受させたいなら、獣医師に相談して、フードやサプリメントによる栄養補強を考えるのも手です。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 准教授 )
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのいぬのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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