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【獣医師監修】犬にピーマンを与えて大丈夫? 与える際の注意点は
ピーマンは苦味の強い野菜ですが、犬が食べて中毒症状を起こすような有毒物質は含まれていません。栄養成分のなかには、犬の健康に役立つものも含まれています。ただし、犬によっては与える際に注意が必要です。ピーマンに含まれる栄養素とその働き、犬に与える際の注意点について紹介します。
佐野 忠士 先生
酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授
酪農学園大学附属動物医療センター 集中治療科診療科長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
日本大学生物資源科学部獣医学科勤務
●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP
●所属:日本獣医麻酔外科学会/日本獣医学会/日本獣医師会/日本動物リハビリテーション学会/動物臨床医学研究所/日本麻酔科学会/日本臨床モニター学会
●主な診療科目:麻酔科/集中治療科
●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』/『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』/『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数
犬にピーマンを与えるときは与え過ぎとアレルギーに要注意
ただし、ピーマンに含まれる栄養素のなかには、過剰摂取によるデメリットが心配されるものもあります。さらに、犬の体調や年齢によっては、ピーマンを与える際に注意しなければならないことがあります。
犬の体にとってよい働きをするピーマンの栄養素、与える際に注意しなければならないこと、与える際の調理方法などを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
ピーマンのおもな栄養素|9割強が水分、ビタミンが豊富
エネルギー | 20kal |
---|---|
水分 | 93.4g |
タンパク質 | 0.9g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 5.1g |
灰分(無機質) | 0.4g |
文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照
犬がピーマンを食べるメリット|豊富なビタミン・ミネラルで病気の予防とアンチエイジング
ピラジン|血液をサラサラで心筋梗塞や脳梗塞の予防
マグネシウム|心臓、骨、歯を丈夫にして健康維持
カリウム|利用作用と高血圧の予防
ビタミン|健康な皮膚・骨・被毛を維持。病気予防やアンチエイジングも
ビタミンC
なお、健康な犬は、自分の体内でブドウ糖からビタミンCを合成できます。そのため、従来、犬にはビタミンCの摂取は必要ないと考えられていました。しかし、最近の研究結果から犬にも「ビタミンC欠乏症」があることがわかってきました。健康な犬でも5歳を過ぎれば体内のビタミンC合成能力が低下すると考えられているので、シニア犬などピーマンなどからビタミンCの補給を図ってもよいでしょう。
ビタミンP(ヘスペリジン)
βカロテン
クロロフィル|抗酸化作用で病気予防とアンチエイジング
また、クロロフィルには消臭殺菌効果があるといわれ、人間用の口臭予防サプリメントなどにも活用されていることから、犬の口臭予防に役立つのではと期待する声もありますが、ピーマンが犬の口臭予防に役立つのかどうかは明らかになっていません。
犬がピーマンを食べるデメリット|犬によってはカリウム、アルカロイド、アレルギーに要注意
カリウム|腎臓病の犬はとくに要注意
とくに、腎機能が衰えているシニア犬や腎臓病を患っている犬の場合は、カリウムの排出がうまくできない場合があるので、ピーマンを与える前に獣医師に相談してください。また、心機能が低下している犬の場合も与える前に必ず獣医師に相談しましょう。
アルカロイド|消化器官の弱い犬やシニア犬は要注意
ただし、消化器官が弱い犬やシニア犬などは、消化不良を引き起こす可能性も考えられます。犬はもともと植物性の食べ物を消化するのが苦手なので、与え過ぎないよう注意しましょう。
ナス科のアレルギー、食物アレルギーの心配も
また、ナス科の植物にアレルギーはなくても、肉や魚などタンパク質になんらかのアレルギーがある犬にも、注意が必要です。食物アレルギーは外から体内に入ってきたタンパク質に免疫機能が過剰に反応を示すことで起こります。
ピーマンには少量ながらタンパク質が含まれているので、以前にほかのタンパク質系の食べ物で湿疹や嘔吐、下痢などの症状がみられた犬にピーマンを与えるときは注意が必要です。最初に少し与えてみて、体調に変化がないことを確認してからその後も与えるようにしましょう。
「ピーマンは関節炎を悪化させる」はホント?
犬にピーマンを与えるときの注意ポイント|ヘタと種を取り除けば生でも加熱でもOK
与えてよい部位
与えるときの適量
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
---|---|
小型(2~5kg) | 94g~187g(2個~4個) |
中型(6~15kg) | 215g~427g(5個~8個) |
大型(20~50kg) | 530g~1053g(10個~20個) |
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
※ピーマン1個54g,可食部85%として計算
調理のしかた
なお、苦味成分を持つ天然毒のアルカロイドは、熱を加えることで苦味を減らすことができるので、加熱したほうが食べやすいかもしれません。
ピーマンは健康な犬なら食べても大丈夫。病気とアレルギーのある犬には与えないほうが安心
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのいぬのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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