犬が「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」になると、散歩や運動、自力での排せつができなくなるなど、日常生活に支障をきたすおそれがあります。椎間板ヘルニアを予防するためにも、病気の概要や、なりやすい犬種の特徴を知っておきましょう。
椎間板ヘルニアってどんな病気?
椎間板ヘルニアは、背骨(脊椎)の間にある「椎間板」という軟骨が、正常な位置から飛び出したり、破裂したりして脊髄神経を圧迫する病気です。
椎間板が脊髄神経を圧迫すると、圧迫された神経より後方が麻痺して痛みを感じられなくなったり、運動や自力での排せつが困難になったりすることがあります。
椎間板ヘルニアになりやすい犬種は?
椎間板ヘルニアになりやすいのは、「軟骨異栄養性犬種(なんこついえいようせいけんしゅ)」と呼ばれる犬です。「軟骨異栄養性犬種」というのは、もともと椎間板が飛び出しやすい体質の犬を指します。
具体的にはミニチュア・ダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ビーグル、シー・ズーなどが当てはまります。一般的に胴長短足の犬はなりやすい傾向があると思っておき、ふだんから注意するといいでしょう。
椎間板ヘルニアの治療法や予防法は?
椎間板ヘルニアの治療法
椎間板ヘルニアが軽度の場合、治療には副腎皮質ホルモン薬や抗炎症薬などを使います。この場合、根本的な解決にはなりませんが、症状を和らげる効果が期待できます。一方、重度の場合は手術による治療が必要になることも。
椎間板ヘルニアの予防法
愛犬を椎間板ヘルニアにさせないためには、背骨などに強い衝撃がかかる激しい運動は避けるようにしましょう。急な階段の上り下りも脊椎に異常をきたすことがあるので、なりやすい犬種は気をつけてください。
また足腰への負担を減らすため、愛犬を太らせないようにすることもポイントです。食事管理をしっかり行い、カロリーオーバーにならないように心がけましょう。
そのほか、運動も大切です。運動不足などで背骨を支える力が不十分だと、椎間板が変性して椎間板ヘルニアを発症することがあるので注意しましょう。
犬の椎間板が早期に変性すると、4~6才ごろでも発症しやすくなります。「愛犬はまだ若いから大丈夫」と安心せずに、ふだんから食事管理と運動に気をつけて病気を予防したいものですね。
参考/「いぬのきもち」2015年11月号『犬の病気別 知っておけば、愛犬の健康・長寿の役に立つ なりやすい年齢ランキング 保存版!』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『椎間板ヘルニア[ついかんばんへるにあ]』
文/松本マユ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。