犬と暮らす
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犬と飼い主の関係、令和の時代は「服従ではなく“共生”」|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.67
今回は、「服従」を目的としたしつけのやり方が、いかに危険であるかを考えさせられるお話。今年に入って報じられた、犬にまつわる悲しいニュースから、西川先生が改めて飼い主さんや、犬に接するすべての人たちに、「服従ではなく、共生」の大切さを解説します(編集部)
嫌なニュースというか、いまだそんな飼い主や犬のプロたちがいるのか、という驚きと落胆を禁じ得ないニュースです。
当コラムを常日頃をご覧の方なら、はは〜ん、あのニュースのことだなとお気づきかと思います。
順に話せば、まずは飼い主が柴犬を角材で叩いていたという虐待のニュース。
もうひとつは、ペットサロンで溺死させられたシェパードの話。
どちらも、加害者?側は、「しつけの一環」的な言い訳をしている。
いつの時代の話かって、口を出さずにはおられませんので、声を大にして口を出させていただきます。
昭和の時代は許されていても、令和の今は虐待
コツンじゃありませんよ。ゴン!とです。
これ、昭和の時代は問題に大してなりませんでしたけど、令和の今やったら、理由はどうあれ大問題です。
先の柴犬を角材で殴っていたっていう話も同じ。
犬は服従させるのが当たり前。そんな昭和の時代ならいざ知らず、理由はどうあれ角材で犬を殴ったら、令和の今は虐待です。
ちなみに飼い主の年齢は70代だそうで、学生運動でもやってたんですかね。なにせ角材なるものを、ニュースや記事で耳や目にするなんて学生運動華やかし頃から、そうはない。あったとしても暴走族のニュースくらい。
70代で暴走族ってのも考えにくいですから。
死に至るような行為はしつけにあらず
犬は服従させる存在、嫌がることは力づくでも言うことをきかす、そうした考えが、その犬のプロの根っこにはあるのでしょうね。
現行の愛護法(動物愛護管理法)ができる前は「犬には服従本能があり、その服従本能を引き出すのが訓練でありしつけである」なんて、今では科学的に嘘とされている内容が記されている手引書が、訓練士の監修の元で作られ、保健所や行政に置いてあったりしましたからね。
しかし現行の愛護法においては、犬は共生する対象とされている。
犬はいまや、服従させる対象ではないのですよ!
共生とはお互いの幸せを目指すこと
この科学的な事実は、昭和の時代にはわかっていませんでした。
見ている、と言っても警戒して注意を払っている状態の話ではありません。好きだからつい見ちゃう、見られちゃう、という関係においての話です。
そして、そうした関係を築き上げるためにやってはいけないこと。それは「犬を服従させようとする」ことです。
服従させようとする相手をあなたは好きになれますか? 服従させようとする相手と好きだからつい見ちゃう、という関係を築けますか?
「しつけの一環で……」って言い訳がいつまでもなくならない現実を見るにつけ、やっぱり「しつけ」という言葉は別の言葉に変えていくべきではないか。
どんな言葉へかって? それはもちろん「幸育」という言葉へとです。
え、「幸育」って何かって?
それは当コラムVol.22をご参照くださいな。
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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