犬と暮らす
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豪雨災害や台風で愛犬と被災した飼い主さんが「準備しておいてよかったこと」&「予想外に困ったこと」
飼い主さんのリアルな被災体験を教訓に
そして災害の原因は、地震かもしれないし、台風かもしれません。
ゲリラ雷雨や山火事が、災害のきっかけになることもあります。
地球上に住んでいる限り、災害は決して他人事ではないのです。
だからこそ、いろいろな可能性を考えて日ごろから備えておくことが、愛犬と飼い主さんの命を守ることにつながります。
今回は、台風が原因で災害に遭った2組の飼い主さんの体験談をご紹介。
この機会に愛犬との防災について考え、万が一に備えておきましょう。
実録1:台風19号により、近くの川の堤防が決壊。愛犬と避難した
行きつけのドッグサロンが、災害時に犬を預かってくれるお店だったため、いざというときは愛犬をお願いできるよう頼んでおきました。
警戒していた台風19号は、上陸後も各地に大雨をもたらし、Uさんの地域でも川の水位がどんどん上昇します。
「床上浸水を想定し、基礎を上げて家を建てていたことと、犬がいては避難所に入れないだろうと考えていたこともあり、自宅にとどまりました」(Uさん)
その日の夜、自宅近くの堤防が決壊します。
その時点で、Uさんはある重要なことに気がつきます。
家が大丈夫でも、車が水没するおそれがあると気づいたのです。
そこで急きょ、愛犬を連れて車で避難所へ向かうことにしました。
その晩は愛犬2頭と窮屈な車中泊
翌朝、愛犬はドッグサロンで預かってもらうことになりました。
慣れたお店だったことや、ふだん使いのクレートを持ちこませてもらったためか、愛犬は安心して過ごせていたのだとか。
「幸い、床上浸水はしませんでしたが、屋外の汚泥の処理に手間がかかりました。
数日間は自宅に戻れなかったので、愛犬を預かってもらって本当に助かりました」
備えておいてよかったこと「行き慣れたサロンへの連絡」
「愛犬はお店にもスタッフの方にも慣れていたので、安心できたと思います。
私も、よく知っているお店にお任せできて安心でした」
これが困った!「夜の車内が思ったよりも寒かった」
「ただ、夜の車内が予想外に寒かったです。
余裕をもって避難すれば、毛布を多めに持つことに気がつけたかも」
実録2:豪雨災害で川の水位が上昇。愛犬と体育館へ同行避難した!
行政の車が避難を推奨しながら、自宅周辺を周回しはじめたのは夕方ごろだったといいます。
「差し迫った状況であわてて避難するのは嫌だったので、早い段階で避難することにしました。
避難の決断が早かったので、愛犬グッズをそろえるのもゆとりをもってできたのがよかったと思います」とIさん。
避難所は高台にある中学校の体育館だったため、愛犬を連れて車で向かいました。
吠えずにいてくれたので、体育館の中で一夜を過ごした
犬を同行していいかどうかの確認はしませんでしたが、中には犬といっしょに避難してきた人がたくさんいたそうです。
「愛犬は穏やかな性格で、緊張すると固まってしまうタイプだったので、体育館でもおとなしくしてくれて助かりました。
ただ、興奮して落ち着かない犬は中に入らず、体育館の外の雨をしのげる場所にいましたね」(Iさん)
幸い川は氾濫しなかったため、翌朝には帰宅することができたそうです。
備えておいてよかったこと「ふだんから近所の人にかわいがってもらっていた」
そのため「愛犬はただならぬ雰囲気に緊張はしていましたが、知っている人がまわりにいて安心だったはず」とIさん。
これが困った!「ハウスのしつけが大事だと痛感!」
愛犬は避難中、ひざの上や毛布の上でおとなしくしていましたが、犬が苦手な人のためにも、ハウスのしつけは大事なことだと思ったそうです。
「今の愛犬は迎えてすぐにハウスを教えたおかげで、ハウス好きに育ちました」
いかがでしたか?
台風や大雨では、前もって避難することができます。
そのため、「飼い主さんには、避難勧告が出る前の段階での避難を考えてほしい」(防災士・動物福祉活動家 成田司先生)とのこと。
また時期によっては、Uさんのケースのように、昼間は暖かくても夜は冷え込むこともあるようです。
避難の際には、いつもの愛犬グッズに加え、とくに車中避難の際には毛布を多めに用意するといいかもしれません。
いずれにしても、万が一の際は早め早めの行動を心がけて、安全に避難できるようにするといいですね。
参考/「いぬのきもち」2021年3月号『みんなの体験談から学ぶ犬防災』(監修:防災士・動物福祉活動家 成田司先生)
写真提供/Uさん(実録1)、Iさん(実録2)
文/伊藤亜希子
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