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犬が自分のしっぽを追うのは病気のサイン!? 意外と知らない「常同障害」
「常同障害」はストレス性の心の病気です
強い不安感から手を洗い続けたりしてしまう病気です。
犬の常同障害は、この強迫性障害と似たものだと考えられています。常同障害では、「自分のしっぽを追う」、「自分の体をなめる」などの症状が繰り返し起こります。こういった症状はもとをたどれば、ストレスや欲求不満などを発散するための行動だったはずです。
それがしだいに、まわりの状況に関係なく起こるようになり、食事や散歩などに影響が出るほどの異常な状態になるのが常同障害です。
よく見られる7つの症状
夜中に突然始まったり、暇そうにしているときに突然始まったりするなど、症状が出るきっかけがわかりにくくなってしまうのも特徴です。
原因には、ストレスや欲求不満といった心の問題のほか、遺伝的な要因が考えられます。また、皮膚病や骨折などがきっかけだったものの、その病気が治っても症状が止められない場合もあります。
よく見られる症状の例
- 自分のしっぽを追ってグルグル回る
- グルグル歩き回る
- 影や光を追う
- 自分の後ろを気にして振り返る
- 自分の体をなめる、噛む
- 自分のしっぽに向かってうなる、噛みつく
- 実際にはいない虫を追うように、口をパクパク動かす
……など
【ジャーマン・シェパード・ドッグ】……しっぽを追う
【トイ・プードル】……自分の体をなめる
【ミニチュア・シュナウザー】……後ろを気にして振り返る
【ボーダー・コリー】……影や光を追う
……など
「常同障害」ってどう診断・予防する?
常同障害と診断した場合は、抗うつ剤などの投薬とともに、その犬の生活環境を見直します。食事や居場所、病気の予防・治療が適切か、精神的な苦痛はないか、運動は十分かといった観点において、足りない部分を飼い主さんが補い、愛犬が生活環境から受けるストレスを減らしていきます。
生活環境が愛犬に合っているかチェックを
愛犬がストレスなく日々を送るために、人との生活に慣れさせる社会化トレーニングは欠かせません。飼い主さんとの日常生活に慣れさせることも、大切な社会化のひとつです。
日常的に行うブラッシングや足裏を拭くなどのお手入れも、愛犬がストレスを感じないよう、おやつを使って楽しく行うといった工夫も大切です。
また、生活環境が愛犬に合っているか今一度チェック。長時間の留守番時に狭いハウスに入れている、活発な犬なのに散歩が1日1回などはストレスになることも。
留守番時や暇そうなときの体力・ストレス発散には、嗅覚や頭を使って遊ぶ知育おもちゃを与えるのがおすすめです。
不安に感じたらすぐに獣医師に相談を
参考/『いぬのきもち』2020年12月号「犬の現代病ファイル」(監修:ファミリー総合動物病院副院長 和田美帆先生)
イラスト/フジマツミキ
取材・文/伊藤亜希子
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