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保護犬たちが、一頭でも多く譲渡されるために……譲渡率が上昇した「京都方式」の取り組みとは

2015年に京都府と京都市が合同で設立した「京都動物愛護センター」。
センターの職員だけではなく外部の専門家の力を借りながら行っている、収容犬の譲渡に関する取り組みについて紹介します。

1回目の記事| 府民と市民、そして愛犬たちが自由に集える動物愛護センター目指すセンターの挑戦

2回目の記事|ドッグランや夜間動物救急センターを併設する、開かれた動物愛護センター

収容犬の譲渡率を上げる「京都方式」とは

収容犬が譲渡先の家庭で馴染めるよう、トレーニングに尽力するドッグトレーナー、山本央子先生
センター長の田邊さんを筆頭に、多くのスタッフの尽力で、収容犬の譲渡率も以前に比べて上昇しているそう。

「保護された犬たちが一頭でも多く譲渡されるように、当センターでは、犬の保護から譲渡までの過程を外部の専門家に積極的に入ってもらって、効率よく進めています。

たとえば、保護した犬が家庭犬に適しているかの見きわめや、問題行動のある犬のトレーニング、そして、譲渡後の犬のアフターケアなど、各分野の専門家の力を借りて行っています。

センターの職員だけですべての業務をカバーするのではなく、外部の助けを積極的に取り入れる、これを当センターでは独自の『京都方式』と呼んでいるんですよ

こうした取り組みは、京都動物愛護センターを筆頭に、全国の動物愛護センターにも徐々に
広がりつつあります。

譲渡した犬が、センターに再び戻ってこないために

ゴンくん(推定5才)はイタズラ好きのやんちゃ犬でしたが、今年1月に温かい家庭への譲渡が決まったそう
2020年は、保護して収容された犬が160頭で、譲渡された犬は114頭(2020年以前から収容されている犬も含む)だそう。

「収容された犬160頭のうち51頭が飼い主さんからの持ちこみでした。そのほかは、おもに放浪犬や野犬なのですが、野犬はなかなか捕まらず、人にも慣れにくいので、今後さらなる対策を考えないといけません」

そして、田邊さんが強調するのは「センターから譲渡した犬が再び戻ってくることがないよう、譲渡希望者の審査は綿密に行うこと」

犬の譲渡希望者は、希望する犬のタイプ、住居環境、家族構成などを明記した申請を出し、その後センター職員と面談。

センターでは各分野の専門家とともに、その家族にマッチングする犬を見きわめ、申し込み順に紹介していくそうです。

「その家族が希望する犬を必ずしも紹介できるわけではないんです。たとえば小さなお子さんがいる家庭には、噛みグセがある犬は適さないなど、判断する必要があるんです」 

今でも心に残る、1頭のトイ・プードル

長い年月をセンターで過ごしたシニア犬のプーさん。14才になって、やさしいご夫婦との縁が決まりました
田邊さんは多くの犬たちを終の棲家(ついのすみか)へと送り出してきましたが、なかでも印象に残っているのがトイ・プードルの「プーさん」という犬だったそう。

「その犬は、飼い主さんに飼育放棄されて、すでに7年もセンターにいました。
警戒心が強く噛みグセもあって、いるのが当たり前になっていたんです。
14才となり目も見えなくなってきたころ、ついに譲渡希望者が現れたんです」

現在もセンターには、譲渡が難しい野犬出身の犬がいるそうですが、田邊さんは、最後に「これからも一頭でも多くの犬たちを譲渡していきたいですね。そして、犬と暮らす皆さんには『終生飼育』を必ず守って、犬との暮らしを楽しんでもらいたいです」と語ってくれました。


※各情報は、2021年4月7日現在の情報です。

出典/「いぬのきもち」2021年6月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな
写真提供/京都動物愛護センター
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