日差しが照り付ける場所ではなくても、いつ、どんな地域でもなることがある熱中症。暑い日が増えたといわれる近年は、犬の熱中症リスク対策が必須です。
今回は、飼い主さんから寄せられた留守番時の犬の熱中症体験談と注意点についてご紹介します。
エアコンをつけずに出かけたら熱中症に
その日は朝から涼しく、エアコンをつけずに仕事に出かけてしまいました。夕方帰宅すると、いつもの愛犬の元気なお出迎えがなく、見えたのはリビングで横たわり動かなくなっている姿。あわてて救急病院に連れていきましたがすでに手遅れでした。(北海道/5才・パグの飼い主さん)
【獣医の解説】涼しい地域でもリスク回避を
犬の正常時の体温は38~39℃で、41℃以上の高熱が数時間続くと体内の細胞が破壊されてしまい、死に至る可能性が高まります。涼しい地域でも、思わぬ暑さへのリスク回避をしましょう。
留守番中吠え続けて熱中症に
7月初旬、短時間だからとエアコンをつけずに愛犬を留守番させることに。どうやら留守番中、何かしらの音に反応し吠え続けた結果、興奮して体温が上がってしまったようです。倒れているところを見つけ動物病院に駆けこむと、42.8℃の高熱でした。(石川/5才・チワワの飼い主さん)
【獣医の解説】興奮して吠えるとさらに体温が上がる
興奮して吠え続けたり暴れたりすると一時的に体温が上がります。部屋が暑いことで余計急激に体温が上昇したのでしょう。留守番時の環境づくりと並行して、物音や外の刺激に慣れさせるトレーニングも行いましょう。
大きな音でパニックを起こし熱中症に
用事があって家をあけていた夜、近くで花火大会が開催されました。空からの聞き慣れない轟音にパニックを起こしたようで、帰宅後に様子を見に行くと外の犬舎の中には暴れまわった痕跡があり、愛犬は体が熱いまま脱糞して倒れていました。(愛知/8才・シベリアン・ハスキーの飼い主さん)
【獣医の解説】予期せぬ恐怖は熱中症の原因に
花火の音や夕立のカミナリが苦手な犬は多く、恐怖や不安で精神的にパニックになり、過呼吸状態になって熱中症を引き起こすことも。とくに大型犬は、肺が大きく熱い空気が体内にたまりやすい傾向があります。
愛犬の年齢や体の特徴、持病なども考慮して、留守番時も犬が暑さで限界を超えないように対策をしてあげましょう。
参考/「いぬのきもち」2017年8月号『日本各地の実例から危険を学ぼう 全国から集まった! 熱中症体験談』(監修:東京動物医療センター 南直秀先生、みやの動物病院 宮野浩一郎先生、千村どうぶつ病院 千村収一先生)
文/カガ美五葉
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。