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トイレの失敗とサークル飼いの関係|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.52
今回は、犬のサークル飼いについて。西川先生によると、子犬の飼い主さんの相談でもっとも多いのが、トイレのしつけだそう。その原因の多くはサークル飼いにあると、西川先生はみています。サークル飼いとトイレのしつけに、どのような問題があるのでしょうか(編集部)
行政の依頼で月に一度行っている「犬の無料しつけ相談会」において、飼い始めのお悩み相談が増えているのです。
ちなみに悩みのトップは、トイレに関するお悩み。
トイレを全く覚えない、あるいはサークルの中では覚えたけど、サークルから出すとサークル内のトイレに戻らずリビングのどこかでやってしまう。
これ、6カ月令の犬でも1才の犬でも、お悩みとして出てくるもの。
はてさて、なぜそうなってしまうのか、それには理由があるのです。
購入先で説明される飼育環境に理由が
トイレもベッドも区別できていない段階で、彼らが理解できているのはふかふかな場所と、網々の場所(またはガサガサな場所)の違いだけです。
飼い主はいつも犬を見ているわけではありません。結果、見ていないときに勝手にやられる。
排泄は気持ちのいい行為、あるいは不快感がなくなる行為です。結果的にいいことが起きる、嫌なことがなくなる行動は、習慣化する。
犬は排泄した場所を覚えていて、排泄をしたくなったらそこに行って排泄をすれば「いいことが起きる」(あるいは「嫌なことがなくなる」)と理解するのでしょう。
たまたまやった場所がふかふかな場所であれば、そこをトイレと理解してしまう。そういうことなのです。
排泄は快適な場所から離れて行うのが動物の習性
排泄物で体、寝床、快適空間を汚したくない。排泄は寝床、快適空間から離れて行う。これ、人間も含め動物全般の行動習性です。
なぜならば、快適空間が不衛生になれば病気が発生しやすくなる。病気になりやすい集団は子孫を増やしにくく、結果そうした動物は淘汰される。逆にいえば現存する動物のほとんどは、ここに記した習性を持っているということです。
犬がサークル内のベッドを寝床と理解している場合は、排泄したくなったときにベッドに隣接しているトイレには戻らない。そういうことです。
しかも彼らは自分の体を汚さないために、オシッコは本能的に跳ね返りの少ない場所を選ぶ。
カーペットの上でやられてしまう理由は、ここにあるのです。
なぜ適切ではない方法を説明するのか?
この「な(=なんのために情報か)」と「い(=いつの情報か)」に注目すると、適切ではない方法を説明する、その理由がわかります。
「い」から先に解説すると、このやり方、室内で飼う犬を「抱き犬」と呼んでいた、私が子どものころ昭和40年代からある方法なのです。
犬は常に抱いている。抱いていられないときはサークルに戻すといった、そうした時代の情報なのです。
現在みなさんがイメージしている、家の中はできるだけ自由にさせる、といった姿を目指しているわけではない、ということです。
「な」の方は「犬を売るため」。サークルにトイレとベッドを用意するだけでOK。犬を飼うのって面倒くさい、そう感じさせないで済む方法だからです。
拙著「子犬の育て方・しつけ」では、トイレの教え方に関して20ページを割いています。子犬を育てるのは、人間の子育てと変わりません。時間も、お金も、面倒なことも、そしてそれなりの覚悟も必要です。
でもそんなことをいちいち説明していたら、犬を売り逃してしまう。
まぁかような理由で、「サークル内にトイレとベッド」という飼育環境を勧めるわけです。
さてさて、肝心のトイレの教え方ですが、これは次回に持ち越しということで。なにせそれなりの文字数が必要ですので。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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