犬と暮らす
UP DATE
獣医師監修|老犬(シニア犬)がご飯を食べない理由と対処法を解説
老犬になると以前と比べてご飯を食べなくなるのはなぜでしょう。今回は、老犬がご飯を食べない理由や、老犬にご飯を食べさせるための工夫、ケース別の原因・対処法などについてご紹介します。老犬のお世話の参考にしてください。
老犬がご飯を食べない5つの理由
(1)加齢により食欲が低下したから
ただし、老犬は病気にかかりやすくなるので、加齢が原因だと思っていたら違う原因が潜んでいることも。定期的に動物病院を受診して、健康状態をチェックしてもらうことが大切です。
(2)病気にかかっているから
例えば、下痢や嘔吐などの症状が見られる場合は、消化管、肝臓、腎臓、膵臓などの内臓疾患が、また、歯の汚れや歯ぐきの腫れ、ただれ、口臭などの症状が見られる場合は、歯周病や口腔内腫瘍などの疑いがあります。愛犬の様子に少しでも気になることがある場合は、早めに動物病院を受診してください。
なお、暑い時期であれば、夏バテや熱中症が原因で食欲が低下することもあります。犬の夏バテや熱中症については、下記の記事を参考にしてみてください。
(3)ストレスを抱えているから
犬のストレスの原因などについては、以下の記事を参考にしてみてください。
(4)フードを切り替えたから
フードを新しくするときは、これまで食べていたフードに少量の新しいフードを混ぜ、1週間くらいかけて徐々に切り替えるのがおすすめです。
(5)好き嫌いしているから
老犬にご飯を食べさせるための工夫
フードの味を変えてみる
また、手軽に使えて食いつきがよくなる、ウエットタイプのフードを使うという手もあります。これらのフードは嗜好性が高く、少量でカロリーがとれるので、加齢により食べる量が減った犬は試す価値があるでしょう。
ただし、主食となるフードを選ぶ際は、栄養バランスが整えられた「総合栄養食」のなかから選ぶよう注意してください。
フードにトッピングを加える
トッピングする場合は、追加の食材を1日に必要なエネルギーの1~2割以下の量に抑え、その分フードを減らすようにしましょう。その日におやつも与える場合は、トッピングとおやつの合計の量が必要エネルギーの1~2割以下になるように計算してください。
なお、ふだん療法食を与えている場合は、飼い主さんの判断でトッピングをするのはNG。必ず獣医師に相談してください。
フードをやわらかくする・温める
また、フードをレンジで数秒温めると香りがたつため、犬の食欲をそそることも。温めることにより胃腸を冷やさずに済みますから、消化にもやさしいといえます。
ただし、フードを温める場合はやけどに注意が必要です。与える前に必ず指で触れ、人肌程度の温度であることを確かめるようにしましょう。
フードボウルを高くする
高さがあるフードボウルや食事台がなくても、100均で売っているプラスチック容器や家にあるものを利用すれば、フードボウルを高い位置に置くことができますので、うまく調整してあげましょう。
ご飯に気付かせる
老犬がご飯を食べないケース別の原因と対処法
ケース(1)おやつは食べるのにご飯を食べない
この場合、若い犬であれば主食のフードを与えて1時間(長くても2時間)程度経っても食べないときは、一度そのフードを下げ、次のご飯まで何も与えないようにする方法もありますが、老犬は病気が潜んでいた場合、症状が急速に悪化しやすいので、基本的には様子を見ることをおすすめしません。
体調が悪いと好物しか食べられないこともあるので、一度かかりつけの動物病院に相談したほうがいいでしょう。
ケース(2)水は飲むのにご飯を食べない
また、飲水量が以前に比べて増加している場合は、慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)や糖尿病、子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)、クッシング症候群などの病気にかかっている可能性も。暑い日に運動した直後は、一時的に飲水量が増えることがありますが、ふだんと比べて極端に飲水量が増えている場合は注意が必要です。動物病院を受診してください。
ケース(3)ご飯を食べず水も飲まない
悪性腫瘍が全身に転移している場合や、椎間板ヘルニアのように強い痛みの出る病気、慢性腎臓病のように全身に毒素が溜まる病気、重度の感染症による敗血症がある場合は、ご飯も水も口に運べなくなることがあるので注意しましょう。
命に関わる状態である場合もあるので、すぐに動物病院を受診してください。
ケース(4)吐き気や嘔吐を伴う
ストレスが原因で吐く場合もありますが、深刻な病気が隠れているケースもあるので、かかりつけの動物病院へ相談しましょう。
老犬がご飯を食べないときは獣医師に相談を
なお、老犬のなかでも「ハイシニア」と呼ばれる10才以上の犬がご飯を食べなくなった場合は、シリンジで流動食を与えたり、食べるときに体を支えたりするなど、食事の介護が必要になるケースも見られます。
食事をはじめとする老犬の介助で役立つグッズを知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
UP DATE