犬と暮らす
UP DATE
獣医師監修|犬の腎臓病とは?症状や原因、治療法、食事管理について解説
腎臓病は「犬の3大死因」のひとつといわれているので注意が必要です。そこで今回は、犬の腎臓病の症状や原因、治療法、予防法について解説します。慢性腎臓病の食事管理(食事療法)のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の腎臓病ってどんな病気?主な症状とは?
腎臓病は大きく「急性」と「慢性」に分けられ、それぞれ以下のような症状が見られます。
急性腎臓病
急性腎臓病の主な症状
- 突然ぐったりする
- 嘔吐・下痢
- 意識が低下する
- 呼吸が荒くなる
- おしっこが出なくなる
慢性腎臓病
なお、犬の慢性腎臓病は、進行度合いによって以下の4つのステージに分類されます。
慢性腎臓病の主な症状
- ステージ1……残存腎機能約33%
- ステージ2……残存腎機能約33~25%
- ステージ3……残存腎機能約25~10%
なお、血液検査では腎機能の指標となる数値である、CREA(血清クレアチニン)・SDMA・BUN(血清尿素窒素)の上昇が見られるほか、血圧の検査では高血圧の症状が見られるようになるでしょう。
- ステージ4……残存腎機能約10%以下
犬の腎臓病の原因とは?
急性腎臓病の原因
- 人用の薬品やぶどう、レーズンといった腎毒性がある物質の摂取や、急性の腎炎・感染症などで腎臓が急激に障害を受けた
- 大量の出血や血圧の急激な低下、強い脱水、血栓などによって腎臓に血液供給ができなくなった
- 結石や腫瘍などによる尿道閉塞、事故による膀胱破裂などで排尿できなくなった など
慢性腎臓病の原因
腎臓病にかかりやすい犬種は?
犬の腎臓病の治療法とは?
急性腎臓病の主な治療法
そのため、体内の水分を増やすために血管から輸液を点滴し、それと並行して原因となっている病気がわかればその治療を行うのが一般的です。点滴後もおしっこが出ない場合は、利尿剤を投与することもあるでしょう。
なお、完全に腎機能が回復しない場合は、慢性腎臓病へと移行することもあります。
慢性腎臓病の主な治療法
進行度合いによっても異なりますが、一般的には腎臓に負担をかけないようにするため、療法食と投薬による治療が行われます。また、脱水などの症状が見られる際は、輸液療法などが行われることもあるでしょう。
慢性腎臓病の犬の食事管理(食事療法)はどうしたらいい?
できるだけ早い時期に始める
尿毒症の症状が現れるような段階にまで至ってしまうと、食事の切り替えが困難になり、栄養療法の効果も薄くなってしまいます。そのため、できるだけ早い時期に栄養管理を始めることが大切です。
ただし、すでに吐き気や脱水がみられる場合、栄養療法を導入するのは難しいので、同時に治療も行う必要があります。
必ず専用の療法食を与える
動物病院で取り扱われている療法食には、生存期間を延長する科学的根拠があります。「食べないから」といって療法食の使用をあきらめることなく、根気強く食事の変更に取り組んでください。
なお、療法食はさまざまなメーカーから販売されているため、獣医師とよく相談したうえで与える種類を決めることが大切です。また、療法食は必ず獣医師の指示に従った方法で与え、飼い主さんの判断で中断したり、種類を替えたりするのはやめましょう。
徐々に新しい食事に移行する
現行の食事と新しい食事を混ぜ、時間をかけて新しい食事の割合を増やしていく方法が一般的ですが、新旧両方の食事を隣り合わせの食器に入れて与える二皿給与法という選択肢もあります。
吐き気がある場合やストレス状態にある場合は療法食の給与を避ける
食欲がない場合は工夫も大切
以下のような工夫を試してみてください。
・ 消化吸収をよくするために、毎日の食事を3~4回に分けて与える
・ 愛犬が好む形状の食器を使う
・ 食感やタイプの異なる食事を与える
・ 新鮮な食事を室温で与える
・ 好みの風味やトッピングを加える
また、フードにトッピングをする方法もありますが、加えてもよい食材や量については事前に必ず獣医師に確認してください。
腎臓病の犬に与えてもいい食材は?手作りフードはOK?
腎臓病の犬に与えても大丈夫?よくある食材についてチェック
今回はそのなかでも、飼い主さんが特に気になる食材についてみていきましょう。
なお、一般的に問題ないといわれている食材でも、必ず獣医師によく確認してから取り入れてください。
・ かぼちゃ
しかし、かぼちゃにはカリウムが多く含まれています。腎機能が弱っているとカリウムが代謝しきれずに蓄積してしまい、不整脈などを起こす要因にもなりかねません。腎臓病の犬の場合は与えない方がいいでしょう。
・ キャベツ
・ サツマイモ
なお、サツマイモにもカリウムが含まれているため、腎臓病の犬の場合は避けたほうが無難です。
・ リンゴ
しかしリンゴもカリウムを多く含んでいます。カリウムは腎臓病の予防には役立つものの、発症している犬にとって注意が必要です。
・ ささみ
しかし、腎臓病の犬にとって避けたいリンが多く含まれているため、与えない方がいいでしょう。もし食欲増進などにどうしても使いたいようであれば、ゆで汁を用いるほうがベター。この場合も必ず獣医師に相談してください。
手作りのフードは与えてもいいの?
犬の腎臓病は予防できる?
急性腎臓病の予防法
そのほか、犬が誤って腎毒性がある物質を口にしてしまわないよう、環境を整えることも予防につながります。
慢性腎臓病の予防法
早期発見のために、定期的な動物病院での健康診断はもちろん、自宅では犬の飲水量やおしっこの量をこまめにチェックするようにし、多飲多尿が疑われる場合は早めに動物病院を受診しましょう。
栄養バランスのとれた食事を与え、新鮮な水がいつでも飲める環境を保つように心がけることも大切です。
もし愛犬が発症してしまった場合は、食事療法を含めどのような対応をとっていくか、獣医師とよく相談しながら、愛犬にとっていい方法を模索していきたいですね。
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
UP DATE