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いぬのきもち【獣医師が解説】ぶどうも関連? 犬の腎不全、慢性・急性別対処法

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シニア犬がかかりやすい病気としても知られる腎不全。犬の死亡原因第3位に挙げられる腎不全から愛犬を守るためには、いったいどのようなことを心がければよいのでしょうか? 今回は急性と慢性の原因や症状の違い、治療法や予防法を解説します。



監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)

犬の腎不全とは?

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腎不全は腎臓自体またはそれ以外の器官の異常や、何らかの病気が原因で腎臓が正常に働かなくなり、老廃物を尿から正常に排出できなくなってしまう病気のことを指します。気づかずに放置すると老廃物が毒素となって体内にたまっていき、やがては脳や全身の臓器に障害を与える尿毒症という深刻な病気を引き起こすこともあります。尿毒症が悪化するとけいれんや昏睡状態となり、そのまま死に至る危険も。
犬の腎不全には急性と慢性があり、急性腎不全では食欲がまったくなくなり、嘔吐や下痢、脱水などの症状が見られ、数時間から数日のうちに悪化します。一方慢性腎不全の場合は症状が出るまでに時間がかかり、症状が出たときにはすでに治療が難しい状態のことも。およそ数カ月~数年かけて腎臓の機能が不全状態に陥るのが慢性腎不全の最大の特徴です。

腎不全になる原因

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慢性腎不全を引き起こす原因

慢性腎不全とみなされるのは、腎臓の細胞の4分の3ほどが機能しなくなったと判断されたとき。おもに10~13才のシニア犬に多い病気といわれています。犬が慢性腎不全を引き起こす原因はさまざまで、いまだに解明されていないものもありますが、なかでも多いのは下記の3つです。




原因発症のメカニズム
老化による腎臓機能の衰え ろ過機能を担っている糸球体や腎小体、尿細管が徐々に破壊され、長い時間をかけて症状が悪化していく
偏った食生活 リンの過剰な摂取、塩分の多い食事をすると腎結石の形成や腎臓の組織の退化を引き起こしやすくなる
他の病気や遺伝性の疾患 ・糖尿病やがん、先天性や遺伝性の疾患、自己免疫疾患などの病気が引き金になりやすい・ミニチュア・シュナウザーやゴールデン・レトリーバー、シー・ズーやビーグルが発症しやすいといわれている


急性腎不全を引き起こす原因

慢性腎不全に比べて発症率は低いものの、早期発見や適切な治療をきちんと行わないと命を落としてしまうことがあるのが急性腎不全です。この急性腎不全が起こる原因は大きく分けると3つあります。



原因発症のメカニズム
尿の排出トラブル(排尿の停滞)腫瘍や、尿道・尿管など尿の通り道に結石ができる尿路結石が原因で尿路が詰まることで発症
血流の悪化および血液量の減少 出血や大量の下痢、脱水症状や熱中症などにより、腎臓に流れ込む血液の量が減少することで、腎臓で尿がつくりにくくなる
腎臓へのダメージ ユリ科の植物や人用の薬など犬にとって有毒な物質を誤飲することで、毒素が腎臓にまわってダメージを与えて機能不全を起こす


植物や薬品以外にも、近年急性腎不全を引き起こす原因として注目されているのが、ぶどうやレーズンなどの果物です。犬がぶどうを大量に摂取したあと、そろって急性腎不全を起こすケースが世界各地で報告されたことがきっかけでした。現在の研究では、ぶどうの成分の何が急性腎不全を起こすのか、そのメカニズムは解明されていません。しかし犬にぶどうやレーズンを与えることは、チョコレートや玉ねぎを与えることと同様に、非常に恐ろしく危険なことだと認識しましょう。

腎不全の症状

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慢性腎不全

慢性腎不全の症状は、腎臓病の進行度合によって異なります。初期の段階では、目立つ症状はほとんどありません。しかし腎機能が33%から25%まで失われてしまうと、水をたくさん飲むようになったり排尿の回数や量が増えたりといった症状が見られます。病気が進行し腎臓の機能が10%から5%まで失われると、毛づやが悪くなり食欲が低下してきます。その後徐々に嘔吐を繰り返したり、貧血が見られるようになり、末期には尿がまったく出なくなってけいれんや昏睡状態に陥ります。

急性腎不全

急性腎不全の最大の特徴は、なんの前触れもなく発症するということ。食欲不振や嘔吐、下痢などの症状に加え、尿の量が急激に減少する乏尿(ぼうにょう)や、尿がまったく出なくなる無尿といった症状があらわれます。

腎不全の予後

慢性腎不全と動物病院で診断された場合の余命は、およそ1年半~2年といわれています。また病気が進行し尿毒症になっていたときには、1週間~1カ月のうちに絶命するケースも。一方急性腎不全は腎臓の障害度にもよりますが、原因さえ特定できれば助かる可能性があります。とはいえ発見が遅れると、動物病院に駆け込んだときにはすでに手遅れの状態で、治療を開始しても数日で息を引き取ってしまうこともあります。

腎不全の対処法・予防法

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腎不全になってしまった際の治療法



症状治療法
慢性・点滴・食事療法、飲み薬、サプリメント
急性 ・尿の量を増やす点滴・飲み薬・食事療法(たんぱく質を抑え、水分を補う食事)

別の疾患によって腎不全が引き起こされているときは、それらの病気への治療も一緒に開始されます。

腎不全の予防法

慢性腎不全を予防するために欠かせないのが、バランスのいい食事を与えること。人の食べ物など腎臓に負担をかける恐れのある食事やおやつは避けましょう。また体内の水分が不足しないよう、つねに水を飲める環境をつくることも忘れずに。愛犬の食事療法については、まずは獣医師の指導を受けた上で行うようにしましょう。
そして、大切なのは前述したように、ぶどうやレーズンなどの危険な食べ物を与えないことや、ユリ科の植物や人用の薬の誤飲誤食を防ぐこと。それらの多くは室内での日常生活や散歩を通じて起こります。犬にとって危険な食べ物などは決してテーブルに上には置かず、犬の届かない場所で保管するようにしてください。

腎不全は早期発見で進行を遅らせることができます

慢性腎不全は早期に発見し治療を開始することによって、症状の進行を遅らせることが可能な病気です。定期的に血液検査・尿検査などの検診をしましょう。また、水をたくさん飲んだりトイレに行く回数が増えたりといった症状が見られた場合は、すぐに動物病院で受診しましょう。急性腎不全も早期に発見すれば助かる可能性がありますので、いつもと様子が違うと感じたら早めに検査を受けるようにしてください。早期の発見、治療を心がけ、愛犬の健やかな毎日を見守ってあげたいですね。




監修/石田陽子先生
獣医師。川崎市の石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長。
おもに歯科・歯周外科診療と行動カウンセリングを行う。
愛犬は和音くん(オス・12才/4.7kg/ミニチュア・ダックスフンド)


※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

石田ようこ犬と猫の歯科クリニック

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