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愛犬の散歩量は足りてる? 犬種別で異なる「1回あたりの理想の散歩量」
この記事では、犬の散歩について飼い主さんが知っておきたいことを、いぬのきもち獣医師相談室の獣医師が解説します。
犬にとって散歩のメリットは?
「散歩することのメリットとしては、主に次のようなことがいえるでしょう」
①ストレス解消やリフレッシュになる
「外に出て風のニオイを感じたりすることは犬にとって重要な刺激になり、ストレス解消効果やリフレッシュ効果が期待できます。そのコが満足できるだけの散歩をしていると、家に帰ってからの問題行動が少なくなる傾向もあります」
②老化防止になる
「散歩に行くことで外でしか得られない刺激に触れると、脳を活性化することができ、老化を防ぐことにもつながります」
③災害時の訓練になる
「また、毎日散歩をすることで外の環境に慣れておくと、災害時の避難のときにも役に立ちます」
犬種によって違いも! 1回あたりの理想の散歩の量の目安
「散歩の量は、犬種によっても異なります。ここでは、犬種によって1回あたりどれくらい散歩をする必要があるのか、目安を紹介します」
散歩時間:1回あたり20~30分
- チワワ
- 狆
- シー・ズー
- ヨークシャー・テリア
- ポメラニアン
- ラサ・アプソ
散歩時間:1回あたり30~40分
- 柴
- マルチーズ
- フレンチ・ブルドッグ
- ミニチュア・ダックスフンド
- ペキニーズ
- パグ
- スピッツ
- ブリュッセル・グリフォン
- シャー・ペイ
散歩時間:1回あたり40~50分
- トイ・プードル
- シェットランド・シープドッグ
- ビーグル
- ミニチュア・ピンシャー
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- ミニチュア・シュナウザー
- ボストン・テリア
- ウエストハイランド・ホワイト・テリア
- パピヨン
- ビション・フリーゼ
- ブル・テリア
散歩時間:1回あたり60分以上
- ボーダー・コリー
- イタリアン・グレーハウンド
- サモエド
- ダルメシアン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ゴールデン・レトリーバー
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ラブラドール・レトリーバー
- バーニーズ・マウンテンドッグ
- シベリアン・ハスキー
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ジャック・ラッセル・テリア
「上記で紹介したのは、あくまで目安だと考えてください。犬種だけでなく、そのコの年齢や、その日の愛犬の体調によっても、適切な散歩量は変わってきます」
犬の散歩を怠ることのリスクは?
「体への影響だけでなく、日常生活でも気になる問題が出てくる可能性が考えられます」
散歩を怠るリスク1:肥満になったり、糖尿病などの病気になることも
「まず、食べて寝るだけの生活を送っていると、犬も人と同じように運動不足から肥満になります。肥満になると心臓に負担がかかったり、首周りについた脂肪が気管を圧迫して呼吸がしにくくなったり、糖尿病になる可能性もあります。
また、肥満になると重たい体を支える関節を痛めてしまい、回復させることは難しくなります」
散歩を怠るリスク2:運動不足によって筋力が落ちる
「犬は歩かないと筋力がどんどん落ちていき、落ちた筋力を取り戻すためにはかなりの時間を要します。
小型犬では膝蓋骨脱臼の持病のあるコが多いのですが、そうした持病のあるコは筋肉で支える必要があるので、散歩をして鍛えることが大切になります」
散歩を怠るリスク3:問題行動を起こす可能性も
「飼い主さんからの相談で多いのが、『咬む』『吠える』などの問題行動ですが、その多くが散歩をしておらず、ストレスを抱えた犬の様子がうかがえます。
咬む、吠える以外にも『食糞』『家の中の物を壊す』『おしゃぶりのように自分の手足の先をなめ続ける肢端舐性皮膚炎 (したんていせいひふえん)』などの困りごとが引き起こされる可能性もあります」
散歩を怠るリスク4:必要な社会性が身につかない
「犬は散歩をしないと社会性が育たず、敏感な犬であれば小さな刺激に対しても警戒心が強く怯えてしまいます。たとえば、見知らぬ人に吠えたり、雷が鳴ったときにパニックになるなどの問題行動につながることも。
外に出るといろんな刺激に触れられるため、それが犬の脳を活性化させます。車や電車の音、ほかの犬が残したニオイを嗅ぐこと、ほかの犬や知らない人との出会いなどの刺激は、犬の社会性につながっていきます。
社会性が身につけられると、犬も自信をつけることができます。飼い主さんとの生活や関係を安定したものにしてくれるでしょう」
日々の散歩が足りていない犬に見られる特徴は?
「日常的に散歩が足りていない犬は、いわゆる犬の行動欲求としての運動をしてエネルギーを発散できていない可能性が考えられます。
すなわち、犬にとっての必要な行動欲求が満たされていないと、その欲求不満からさまざまな問題行動(無駄吠えやかみつきなど)が起こってしまう原因になることがあります。
もしそうした行動が愛犬に見られるようであれば、散歩不足の可能性もあるかもしれないので、見直してあげる必要があるでしょう」
犬が「今日は散歩に行きたくない」と思う場合もある?
「あるかもしれません。犬側が『今日は散歩に行きたくない』と思う場合としては…
- 体の調子が悪い(病気がある、どこかに痛みを感じているなど)場合
- 雨降りの濡れた地面を嫌がっている場合
- 散歩コースで怖い思いをした場合
- 飼い主さんにかまってもらいたくて甘えている場合
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/Honoka
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