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なかなか症状が出ない”沈黙の臓器” 犬にとって怖い「肝臓」の病気とは?

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犬の内臓のうち、腎臓、肝臓、膵臓は、ダメージを受けても症状が出にくく、飼い主さんが気づいたときには病気が進行していることも珍しくないことから「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。今回は、「肝臓」がダメージを受けるとあらわれる症状と病気について、獣医師の室 卓志先生にお話を伺いました。

肝臓の働き

イラスト/福田玲子
イラスト/福田玲子

《体内の毒素が最初に運ばれ、解毒する》
胃の上部に位置するのが肝臓。体内の中で最大の臓器で、犬の体重の2~3%ほどの重量があります。再生能力があるのも特徴です。

肝臓には主に4つの働きがあります。

①栄養を蓄え、加工する
小腸で吸収された栄養素を蓄え、必要に応じて血液中に分泌します。たとえば、ぶどう糖をグリコーゲンに変えて蓄え、血糖値が下がれば、再びぶどう糖に加工して分泌します。

②体内の毒素を無毒化
食品添加物や傷んだフードのカビなど体内に入った有害物質や、消化の過程で発生したアンモニアなどの毒素を分解して無害化。肝臓は、毒素が最初に運ばれる臓器です。

③胆汁をつくる
胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける消化液で、肝臓でつくられています。肝臓の働きが低下して胆汁の流れが悪くなると、ビリルビンという黄色い色素が増えて黄疸の症状が出ます。

④血液量の調整など
余分な血液を貯蔵し、不足したら放出して全身の血液量を調整します。血液を固めるための血液凝固因子をつくるため、肝臓の働きが低下すると、血が止まりにくくなります。

肝臓の働きが低下するとあらわれる症状チェックリスト

□元気がなく、食欲もない
□下痢や嘔吐をする
 (特徴的な症状はあまりなく、「体調がよくないのかな」と飼い主さんが感じる程度の症状)
□腹水がたまり、おなかがふくれる
 (病気が進行し、肝不全の状態になるとあらわれる症状のひとつです)
□多飲多尿になる
 (肝機能の低下により、のどが渇きやすくなったり、オシッコの量が増えたりします)
□黄疸の症状(白目や皮膚が黄色に見える、オシッコがオレンジ色に見えるなど)が出る
 (ビリルビンという黄色い色素が排出できずに、血液中で増えることによって起こります)
□脳神経の症状(ふらふらとする、焦点が合わずぼーっとするなど)が出る
 (毒素が代謝されずに、脳に直接作用して起こる症状です。食後に見られることが多いです)

など。愛犬の様子で気になる場合があればチェックしてみましょう。

イラスト/福田玲子
イラスト/福田玲子

よく見られる肝臓の病気

ここからは、犬によく見られる肝臓の病気をご紹介します。

【肝炎】

急性と慢性の2種類あります。急性肝炎は、アデノウイルスなどのウイルス感染、農薬の中毒などで急性に発症。子犬には、ウイルス感染による急性肝炎が見られます。慢性肝炎は、3カ月以上肝臓に炎症が続く状態で、肝臓に銅が蓄積される、薬物の摂取などが原因に。

【肝臓腫瘍】

肝臓にできる腫瘍は、がんが多いとされています。症状が出にくいため、発見が遅れてしまいがちです。しかし、外科手術でがんを切除できれば、肝臓の機能が再生し、その後長く生きることも期待できます。

【肝性脳症】

 肝臓の機能が低下し、体内の毒素が解毒されずに血流に乗って全身に回ると、神経症状などを起こします。腸と肝臓を結んで栄養や毒素を運ぶ門脈という血管に異常がある門脈体循環シャント、重度の肝不全などが原因に。

肝臓病を防ぐための心がけ

犬の肝臓病を防ぐためには、犬に合った栄養バランスのいいゴハンを与えることが大切です。

古いフードに生えたカビ、人の高カロリーで塩分の多い食品、添加物を多く含む食べ物などは、体内の有害物質を分解する肝臓に負担をかけます。犬のゴハンを良質のたんぱく質を含む総合栄養食にするだけで、肝臓の数値が正常になることもあるほど食べ物は大切。

・良質なたんぱく質を与える
・古いフードを与えない
・添加物の多いものは控える
という点にも気を配りましょう。

イラスト/福田玲子
イラスト/福田玲子

肝臓は、8割程度がダメージを受けても、残りの部分で働きをカバーできることに加え、再生能力が高いことも特徴。肝臓の機能低下の原因となっている病気が治療できれば、肝機能が回復する可能性も充分にあるそう。

シニア期に入る7才以降は肝臓の病気の発症率も高まります。進行が早いものもあるため、半年に1回は健診を受けましょう。また、健診の際には「血液検査」「エコー検査」「尿検査」を必須で行ってくださいね(室先生)。

お話を伺った先生/JASMINEどうぶつ総合医療センター獣医師 室 卓志先生
参考/「いぬのきもち」2022年1月号『腎臓・肝臓・膵臓の病気』
イラスト/福田玲子
文/伊藤亜希子

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