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なかなか症状が出ない”沈黙の臓器” 犬にとって怖い「肝臓」の病気とは?
肝臓の働き
胃の上部に位置するのが肝臓。体内の中で最大の臓器で、犬の体重の2~3%ほどの重量があります。再生能力があるのも特徴です。
小腸で吸収された栄養素を蓄え、必要に応じて血液中に分泌します。たとえば、ぶどう糖をグリコーゲンに変えて蓄え、血糖値が下がれば、再びぶどう糖に加工して分泌します。
食品添加物や傷んだフードのカビなど体内に入った有害物質や、消化の過程で発生したアンモニアなどの毒素を分解して無害化。肝臓は、毒素が最初に運ばれる臓器です。
胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける消化液で、肝臓でつくられています。肝臓の働きが低下して胆汁の流れが悪くなると、ビリルビンという黄色い色素が増えて黄疸の症状が出ます。
余分な血液を貯蔵し、不足したら放出して全身の血液量を調整します。血液を固めるための血液凝固因子をつくるため、肝臓の働きが低下すると、血が止まりにくくなります。
肝臓の働きが低下するとあらわれる症状チェックリスト
□下痢や嘔吐をする
(特徴的な症状はあまりなく、「体調がよくないのかな」と飼い主さんが感じる程度の症状)
□腹水がたまり、おなかがふくれる
(病気が進行し、肝不全の状態になるとあらわれる症状のひとつです)
□多飲多尿になる
(肝機能の低下により、のどが渇きやすくなったり、オシッコの量が増えたりします)
□黄疸の症状(白目や皮膚が黄色に見える、オシッコがオレンジ色に見えるなど)が出る
(ビリルビンという黄色い色素が排出できずに、血液中で増えることによって起こります)
□脳神経の症状(ふらふらとする、焦点が合わずぼーっとするなど)が出る
(毒素が代謝されずに、脳に直接作用して起こる症状です。食後に見られることが多いです)
など。愛犬の様子で気になる場合があればチェックしてみましょう。
よく見られる肝臓の病気
【肝炎】
【肝臓腫瘍】
【肝性脳症】
肝臓病を防ぐための心がけ
・良質なたんぱく質を与える
・古いフードを与えない
・添加物の多いものは控える
という点にも気を配りましょう。
シニア期に入る7才以降は肝臓の病気の発症率も高まります。進行が早いものもあるため、半年に1回は健診を受けましょう。また、健診の際には「血液検査」「エコー検査」「尿検査」を必須で行ってくださいね(室先生)。
参考/「いぬのきもち」2022年1月号『腎臓・肝臓・膵臓の病気』
イラスト/福田玲子
文/伊藤亜希子
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